オイ、オイ、オイという話ではありませんか。
確かにマスコミが食いつきそうなネタではあります。
しかし、冷静にみれば、ひとりの若者が酔っぱらって公園で裸になり叫んだというだけなのです。
あらかじめ言っておきますが、私は草彅君に特別な好感も嫌悪感ももっていません。
天下のNHKをはじめ、各社がトップやトップ2で報じる話でしょうか。
その間に、自衛隊のソマリア沖での活動範囲についてや、世襲議員の見直し論議などが問題となり、補正予算案の審議入りや年金機構の法改正などが控えている時になんたるチア、惨たるチアであります。
普通なら、これは芸能ニュースとして控えめに報じられるような話なのです。
それを、あの鳩山総務大臣までがしゃしゃり出て、あられもなく、草彅君の全人格をも否定するような差別的発現をなさいました。これはまさに、NHK自身が認めている2011年の地デジ移行の不可能性を、まるで草彅君のせいにしかねないヒステリックな対応といわねばなりません。
さすがに、すぐ乱心するこの殿の側近たちが「あれはまずいのでは」と奏上されたのでしょうか、翌日には幾分のトーンダウンが見られました。
しかしながら、問題はマスコミのこの問題に対する比重の置き方というより、その質の低劣さ、批判精神の欠如にこそあるといわねばなりません。彼らはどこを見てものを言っているのでしょうか。
冒頭にも書きましたように、ようするに酔っぱらった若者が裸で騒いだということです。しかも、人が往来する場所ではなく深夜の公園です。誰も傷つけていませんし、確たる被害もなかったようです。普通ならこれは、「オイ、オイ、おまえ飲み過ぎだぞ」といってトラ箱へ保護すれば済む話です。
それを警察は逮捕しました。百歩譲って「公然わいせつ物陳列罪」による逮捕だとしましょう(それ自身成立が危ぶまれるのですが)。しかし、何のための拘留、何のためのガサ入れでしょうか。
これは明らかに別件逮捕による不当捜査に他なりません。
彼が裸になったことの裏付けは家宅捜査をしなければ得られなかったのでしょうか。そんなことは決してありません。警察は、これを足がかりに何かほかの功績(例えば薬)を得られないかと画策したのです。
だから彼が酔いも醒めやらずもうろうとしていて、弁護士らと連絡をしたり、適切な対応が出来ない段階でガサ入れをしたのです。
これは明らかに別件逮捕であり、違法捜査であり、かつ基本的人権の侵害です。
草彅君の釈放に当たっての警察、検察の発表は、逃亡や証拠隠滅の恐れはないということです。当たり前でしょう。彼がどこへ逃亡できるというのでしょうか。ましてや、裸でいたことの証拠をどうやって隠滅出来るのでしょうか。
問題は、これをちゃんと取り上げてその違法性に触れた報道が一切ないということです。
酔いつぶれていただけで、家宅捜査までされるということは異常なことなのですが、どこもその違法性や過剰捜査、そして重大な人権侵害に触れようとはしません。
各社一斉にどぶに落ちた犬をつつき回しているのが実情です。
恐ろしい国になったものです。
マスコミが各種の行き過ぎを指摘できなくなった時、民主主義は終わります。
日本のマスコミが、語り口こそソフトだけれど、あの硬直した口調で将軍様のお達しを語りかける北朝鮮の報道姿勢と本質的には変わらないことを見せつけられた何日かでした。
ここから始ってこれからも、単にクサナギくんにとどまらず、おかしいと思った時には「おかしいよ」と声を挙げてくれることを願って、風邪の床に伏すことにします。
警察権力の。テレビも騒ぎすぎ。保護するならまだしも。むつえもんさんのいうとおり、若い人が、警察や、最低の人間、などといった鳩山某に、抗議の電話を掛け捲ったのは、良かったですね。
こういうことは、誰の身に起こっても、見過ごしてはいけないと思います。スマップでなくても、抗議してね、イケメンでなくてもね、美人でなくてもね。お願いします。
これは、「わいせつ物陳列」ではなく、
公然わいせつ罪(刑法174条:6月以下の懲役など)
の現行犯ですし、現場の状況から薬物使用が疑われてもおかしくない状況でした。ですから、逮捕の必要性(刑事訴訟規則143条)が認められ、現行犯逮捕は適法です。
そんなことをすると、帰って騒ぎが大きくなる、とか、勾留請求される恐れがある、とジャニーズ事務所が判断したのか分かりませんが、弁護人の対応として、不適切です。
以上の通り、捜査機関に問題はなく、問題があるのは、弁護人に準抗告させなかった、ジャニーズ事務所です。
N響さん、興奮されたのですか?
そう言えば、学校の先生でよく、N響さんのようにこのように一段高見から物申す人いました。
「わいせつ」とは、時代と場所を超越した固定的な概念ではありません。その時代、社会、文化に対応した一般人の性に関する規範意識が前提になっています。よって、草薙君は、軽犯罪法違反といったことで、家宅捜索は何故でしょう。麻薬反応はなかったといいます。
「または、社会の善良な性的道義的観念に反し」という文言が入っています。
ですから、興奮させる必要は、ありません。「または」ですから。
また、これは、刑事手続の問題ですから、逮捕の段階で、厳密に、実行行為性を論ずる必要はありません。逮捕の必要性、理由、相当性の問題です。
それから、公然性については、わいせつ犯罪は、いわゆる「危険犯」であることに、留意してください。実害の発生は必要ありません。
また、軽犯罪法の第何条第何項の適用が問題になるのでしょうか?教えてください。
仮に、軽犯罪法違反なら、現行犯逮捕の要件がさらに厳しくなりますが(刑事訴訟法199条第1項ただし書き)、そちらの方が、むしろ問題です。その点は、どう考えるのですか?
もちろん、私も前述したとおり、尿検査で薬物反応がなかったのですから、薬物違反の嫌疑はなく、捜索差し押さえに及んだことは、不当であり、許可した裁判官、準抗告しなかった弁護人に問題があると思います。
ちょっと留守にしていた間に結構話が弾んでいますね。
それにしても「N響大好き。」さんは法にお詳しいですね。
確かに法律的には「N響大好き。」さんのおっしゃるようかも知れません。
ただし、法の運用には、その条文そのものもですが、その解釈や適用に伴う恣意性によって、随分結果が違う場合があります。
憲法の、とりわけ九条が歴史的に被ってきたようにです。
今回の草彅某の件では、その解釈や適用が厳格主義の方向にぶれていたのではないかと思うわけです。それは、例えば尿検査がシロだったにもかかわらずガサ入れをしたり、わいせつ罪の現行犯逮捕にもかかわらず釈放に際しては「証拠隠滅の恐れはない」という事大主義的なコメントをつけたりしたことにあります(前者については「N響大好き。」さんがご指摘のように、ジャニーズの弁護士が無能か、この事務所自体が警察との日常的な取引関係にあるかのようですね)。
私がなぜこの記事を載せたのかは、実は、草彅某にはほとんど関心がなくて、むしろ上に述べた法適用の恣意性にあるのです。(字数制限により続きは以下へ)