夏の終り 一房の葡萄と向き合っっている
赤紫の果実の周りの白い粉 ブルーム
果実を守り その鮮度を保つ働きとか
私の周りにも ついてほしいものだ
うまそうだといって 食べられてしまうかも
八月の初め 岐阜県のコロナ感染者は
ありがたいことに 連日 一桁
これで収束したとは 思わなかったが
小康状態であることは 明らか
近所のサークルで 奥美濃ひるがの高原付近へ
ここひるがの いまは有数のリゾート地だが
かつては蛭がうじゃうじゃいた湿地帯
だから「蛭ヶ野」 今も正式な地名はこれ
いまはすっかり 開拓され
観光客に 印象悪いと 「ひるがの」
切り拓いたのは 戦前からの
「蛭ヶ野大日開拓団」
大日とは 近くの 大日ヶ岳のこと
戦後それに 満蒙開拓団の
帰還者たちが加わり 大陸で果たせなかった
夢の続きを 再開した
道の駅で買った 648円 美味しかった
開拓団を起草した 辻村徳松氏の遺詠
「いざ友よ 共に築かむ
日留ヶ野(蛭ヶ野)に
乳と蜜との 流るる里を」
乳は酪農 蜜は養蜂か
あるいは 一般的な豊かさの象徴か
開拓の結果の 今のひるがの「三白」
ブランドの ひるがの高原大根
やはりブランド ひるがの高原牛乳
大日ヶ岳と鷲ヶ岳、ひるがの高原スキー場
この三つの白が 四季 人びとを招く
春の花 夏の涼しさ
秋の紅葉 そして豊かな雪の贈り物
もう 蛭の姿は見えない
あちこちに 水芭蕉が 群生し
白樺のほとりを 流れる渓流
躍動する イワナ アマゴ
四季折々 家族連れなどで賑わう
リゾート施設も あちこちに
でも今回 やはり蜜は 避けて
個別に分かれた 里山の散策
マスクはいらない 山を駆け下り
美田を揺らす 風が 爽やか
野鳥のさえずり 側溝の水の音
遠くで作業する人の 草刈り機のモーター音
後は 私の足音のみ
少なくとも ここにいる間は
コロナ云々 とは無縁でいられる
まだ 日の高いうちに 岐阜に戻ったら
どっと 猛々しい暑さが
あっ ここにはコロナが いそうだ
空気の重さ 色合い 味わいが違う
慌てて 蟄居モードへ スイッチオン
一房の 葡萄を前にした 夏の終り
おずおずとしか 外界との接触がない 二年間
晩年の この年月は いかにも惜しい
もう 足腰が立つのも 僅かな間なのに
一房の 葡萄に託した 私の 夏の 夢の 終り
*詩ではありません。ただの言葉の繋がり。
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