ある雑誌の記事によりますと、「急速に縮小したフィルム市場は底を打ち、徐々にではあるが復活しつつある。(略)国内のフィルム市場規模はまだ横ばいだが、北米では約1.5倍、ヨーロッパでは約2倍に伸びている」ということです。その状況が本物で今後も更に伸び続けるのであれば私にも再び満足感、充実感が戻ってくるかも知れません。ただ、その時の諸物品の価格が問題ではありますが。かなり以前になりますが、写真店に長年勤務しておられた方が「デジタル写真は確かに画面が明るくシャープですが、味わいが無い」と云われました。私も同感です。デジタル写真は極めて鋭いカッターナイフみたいで恐ろしく鋭く、付けいる隙間がありません。また、1+1+=2以外の何ものでも無く正に、合理性そのものを感じます。それに比べてフィルムからは何処か曖昧さ、ファジーなところ、包容力、優しさなどが生まれてきます。また、前者は“機械”が撮影しているように感じられて仕舞いますが、後者では“人“がそれをしている感覚が生まれます。フィルムでの撮影になりますと事後の対応は凄くおおごとで、各種の薬剤、容器、フィルム現像用器具、タイマー、温度計などが絶対必需となります。また、作業も多くの時間、労力、体力を要します。ただ、それらのことが自分が確かに写真活動に携わっているのだ、という、言葉に出来ない満足感、充実感に浸らせてくれます。薬剤以外、全ての器具類をまだ所有している今なら、また、体力的にも何とか応えられるだろう、と思われる今なら、暗室作業の要領がまだ頭に残っている今なら、必要な物品の価格さえ元に戻れば直ぐにでも着手出来るのですが・・・・。