「NHK朝ドラのOPの、ヒロイン顔出し/顔出し無しから作品作風との相関性を考えてみようシリーズ」(シリーズだったのか)、続く続くでエントリを重ねてはや……はや……何回めだ。こんなに視聴済み作ごとに逐一書くつもりもなかったのですが、どこまで行きましたっけ?
そうそう、2011年上期の『おひさま』OPは堂々の井上真央さん顔出しフィーチャーでした。
…でしたが、しかし、白ドレスに髪を下ろして、眠りから醒めたような、天使っぽい、終始非地上的な表情で、役名の“須藤(丸山)陽子感”のあんまりないヴィジュアルだったせいか、放送まる1年未満のいま振り返っても、サウンドトラックCDのジャケなど手元になければ顔出しOPだったことを思い出せなかったりします。
そう言えば確かに“陽子”って「ワタシは太陽の陽子です!」と、名乗りは「海空花子です!」ばりに威勢が良かったわりに、女学生時代も教員時代も、そば屋嫁時代も、母親篇も、“この時代の、この境遇の女性でこの言動は有りか?”と微妙に首をかしげる、なんとなく地に足のついていない、綺麗に言えば天使的なヒロインではありました。
話題になった安曇野の野の花の押し花は文句なく美しく、背景色ともども朝の帯で毎日見るには最適でした。白トップス(下半身なし)で天使スマイルの井上真央さんも込みで、ヴィジュアルの目に優しいこととOP曲とのマッチングなら歴代屈指と言っていいでしょう。2000年代の熟年陽子(若尾文子さん)まで行ったから、“お花畑”も生花でなく、乾燥した押し花になったとも考えられます。
………いま、さりげなく失礼なことを言ったような気もしますが、気のせいでしょう。気のせいだということにしましょう。
放送途中、陽子が長女・日向子を授かって母親になった週から、OP曲に平原綾香さんによる歌唱つきヴァージョンが土曜限定で登場しましたが、正直コレは、無くてもよかった。太陽=母性、というメッセージを、後から取って付けてアンダーラインしたような作為性のほうをより強く感じてしまいました。
そもそもこのドラマで“母性押し”だったのは最序盤の陽子母=紘子さん(原田知世さん)の病没と、ときどき出てくる夢枕姿ぐらいのもので、まだ三つ編みセーラーの女学生姿のほうが嵌まる井上さんの妊婦姿や初産シーン、子育て物語からは、胸に来る母性賛歌は感じ取れませんでした。
3.11直後の、とにかく日本が落ち込んでいる時期の放送でもあったし、是が非でもメッセージ性を入れたい気持ちもわからぬではないけれど、ならば新曲の挿入歌を作って劇中で流したほうがよかった。渡辺俊幸さんによるOP曲が、懐かしさとフレッシュさを兼ねそなえて“朝ドラの玄関”として完成度抜群だったし、ドラマ本編の尺を極力削らないようにとOP総体45秒に圧縮するという控えめさも好ましかったので、歌詞とか歌唱で“混ぜ物”しないでほしかった。月河はいまだにCDプレーヤーのおめざめタイマーに、サントラCD1曲めのこのOP曲を使っています。
……よしっ、今日も1作分析し終わった(分析だったのか)。先週(=第10週~6月9日)〆の「日替り定食おいしいし~」の思い切り良い脳天気曝けっぷり以来、意外にもめきめき精彩が出てきた『梅ちゃん先生』に思いを馳せつつ本エントリはここまで。この項さらに続く。