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最強のふたり 【感想】

2012-09-10 01:02:36 | 映画
昨日観た「プロメテウス」とはうって変わって、
各方面から大絶賛を受けている「最強のふたり」を観た。

東京国際映画祭でグランプリ、
ネットの一般レビューを見てもほぼ好評。

公開スクリーンが少ないながらも、大ヒットを飛ばしているようだが、
日曜日のレイトショーにも関わらず(いつもなら空いている)、
シネコンで3番目に大きいスクリーンの7割近くが埋まっていてビックリ。
しかも客層の大半が女子であったことにもビックリ。

公開して2週目なので、クチコミで広がるには早すぎる。
普段あまり公開されないフランス映画で、
ユーモアたっぷりの小粋な感動ヒューマンドラマ・・・
みたいなイメージが女子にウけているのだろうか。

映画関係の仕事をしている会社の同僚も試写会に行って大絶賛していた。

なので、期待して観たのだが、
う~ん残念。。。自分にはハマらなかった。

本作は、事故で全身麻痺となった大富豪と
彼の介護人となった貧困黒人青年との友情を描いた話だ。

「障害と介護というデリケートな問題だけれども、
 ユーモアで吹き飛ばせ!笑って泣ける感動作だぜ!!」

という大方の感想にもあるように、その方向性は全然嫌いじゃない。

だけども、そういった実感が本作からは正直得られなかった。

まず、そんなに笑えない。
黒人青年のドリスの破天荒な所業が、
本作のユーモアの源泉となるわけなのだが、
ドリスのやることが度を越して、結構しつこい。
なので逆にそのユーモアが押し付けに感じてしまうことも多い。
冒頭のシーンで素直に笑えるかどうかが、本作にノれるかどうかの
分かれ道になるだろうが、自分は「それはやり過ぎじゃん」と普通に閉口した。
これは障害者相手だからということではなくて、普通に見ていてイタい。

そして、大富豪フィリップとドリス、両者の感覚にもあまり共感できず。

フィリップのドリスへの許容が広すぎる。
これまで障害者として「同情」をもって接してこられたフィリップだけに、
ドリスの遠慮のない言動は光明だったのかもしれないが、
なんでもかんでも受け入れるのは見ていて説得力に欠けるし、センスがない。
「そこはあくまでアンタッチャブル」という範囲がなければ生身の人間じゃない。

またドリスから多くの影響を受け、柔軟に順応するフィリップに対して、
変わらないドリスのマイペース具合にイラつく。

フィリップの影響を受けて始めた絵画も、
フィリップの出過ぎた甘やかしで、結局よくわからなくなった。
あんなことする必要があったのかな。。。

伝えたいメッセージは明確で、そのためのプロットも完璧なのだが、
シリアスとユーモアのバランスが微妙。

素直に笑える箇所も多々あれど、
終始違和感が拭えず、ラストの感動も得られなかった。

このあたりの描き方は、ハリウッドコメディの方が断然巧いと思った。

【55点】