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エクソダス:神と王 【感想】

2015-02-05 22:36:56 | 映画


北米興行における2015年一発目の大コケ映画「エクソダス」を観た。リドリースコットの大スペクタクル映画といえど、それだけではなびかない北米映画ファンの嗅覚は鋭い。
映像の熱量は圧倒的なのに、不思議なほど熱くならない映画だった。

映画の内容は1956年の「十戒」(オリジナル)とほぼ同じ内容だった。神の啓示を受けたモーゼが、奴隷のヘブライ人たちを解放し、引き連れ、エジプトから脱出するという話だ。そのあらすじはオリジナルと同じだが、リメイクではなく、新解釈によりアクション映画に作り替えた映画といえそうだ 。物語の軸は、エジプト王のラムセスとモーゼの対決にある。2人はかつて兄弟同然の堅い絆で結ばれていたが、モーゼの出生の秘密を知ったことをきっかけに断絶し、奴隷解放という使命を追ったモーゼが、それを阻むラムセスと対立する。この構図もオリジナルと変わらない。が、そこに「神」という絶対的な存在をどの立ち位置で挟むのかが、オリジナルと大きく異なる点で、本作はそのアレンジが巧く機能していない。

あえて極端にいうと、オリジナルが「神&モーゼ VS ラムセス」に対して、本作が「神 VS モーゼ VS ラムセス」の三つ巴。そもそも、本作における神とモーゼの関係性がよく理解できないのだが(笑)、神の所業が、モーゼの預かり知らぬところで勝手に起こっている印象が強い。血の川、蛙の氾濫(劇場から悲鳴)、ハエ、疫病、雹、などなど、神の業による天罰は、奴隷を解放しないエジプト(王族)に向けられるだけでなく、守るべきはずである奴隷たちにも等しく向けられる。おそらく、両者に痛みを強いることに意味があるのかもしれないが、娯楽性の高い本作だと困惑が先行してしまう。ストレートに、ラムセスたちを懲らしめればよいのだが、そうはならなくて胸に閊えてしまう。最新のVFXを駆使した天罰のシーンは凄まじい。そして生々しい。自分はカエルのシーンよりも、ハエがたかるシーンが生理的にダメ だった。

オリジナルで有名なのが、モーゼの海開きだ。このシーンも大きく変わっていて、前述同様、モーゼが寝ているうちに「おぉ、いつの間に!」と勝手に海が開きだす(引き潮か?)。神を見方につけたモーゼの所業に、大きなカタルシスを感じる、楽しみにしていた場面だったが、本作ではそうはさせない。このアレンジに対して、インタビュー記事では「リアリティーを出すため」と言っているが、その後の描写シーンを観る限り、明らかな超常現象である。本作で描こうとしている「神」って一体何者なのだろう。。。。

兄弟喧嘩として見せたいのだろうが、ラムセスがモーゼへの思いやりを捨てきれない点も釈然としない。様々な違和感が最後まで絡みついて、豪華絢爛&大迫力 な映像がとても空虚なものに見えた。
製作費に170億円かかったのは良くわかったけど。

【60点】

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