から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

ジョジョの奇妙な冒険 第一章 【感想】

2017-08-17 08:00:00 | 映画


まったく期待していなかったが面白かった。原作の実写化というより再現化に挑んだ意欲作。三池作品&漫画原作映画としては成功例といえる出来栄え。原作を読んだことのない入門者の自分も、その独特の世界観に浸ることができ、大いに楽しめた。まさに「奇妙な」物語なんだな。キャストがもれなく熱演しており「ジョジョ」の世界を盛り上げる。食わず嫌いだった山崎賢人も全然悪くなかった。「スタンド」の実写化をはじめ、アクションシーンなど、日本映画のVFXでここまで見せてくれれば文句なし。

町で謎の連続殺人事件が起こり、「スタンド」使いの高校生が事件の黒幕と戦うという話。

公開初日のレイトショーだったが、空席が目立っていた。最新の興収ランキングでは2週目にしてトップ10圏外に追いやられ、大コケしている模様。原作ファンも、山崎賢人ファンも、映画ファンも、興味の触手が動かなかったようだ。

洋風な町に学ラン姿の男子高校生たちが行き交う。主人公はボリューミーなリーゼントで髪型を決めている。のっけから原作を知らない自分はその世界観に違和感ばかり。「ジャンプ」の黄金時代を通ってきた世代であるが、その独特な画のデザインと「スタンド」という得体の知れない概念に抵抗感があり、「ジョジョ~」は今まで素通りしてきた。しかし、本作を見て原作への興味が俄然湧いてきた。

「スタンド」は、超能力をもった人間たちの力が実体化された姿。。。という解釈でたぶん合っていると思う。そのあたりの知識は事前に入っていたが、その造形は人間の姿だけでなく、動物(怪物?)や、小人たちだったりと様々な種類がいることに驚かされた。あとで調べたら無機質タイプもあるらしい。そして、その能力も千差万別のようで、本作で登場するスタンドの能力もそれぞれで異なる。面白いのはその能力が必ずしも戦闘に特化したものではないということだ。

主人公のスタンドの能力は「壊れたものを直す」で、ほかのキャラのスタンドは「時間を止める」、「水を操る」、「空間を切り取る(で良かったかな?)」、「小人軍隊(で良かったかな?)」などであり、まるで統一性がない。一応、戦闘というメイン舞台でそれぞれの能力が活かされているが、常人では思いつかない設定を1つの物語の中で機能させるストーリーに、原作の人気の高さがうかがえた。同時に、漫画だから描けたであろう世界を、実写としてここまで成立させたことに感心した。VFXによって映像化されたスタンドのビジュアルも素晴らしい仕上がりで、映画のテンションを下げることはなかった。

原作を知らないので、登場するキャラの再現率はわからないが、ビジュアル、演技ともに、原作キャラに寄せているようだ。主人公の過剰なリーゼントもさることながら、伊勢谷友介演じるキャラの帽子と髪の一体感がイチイチおかしかった。「グレイトだぜ」といった、漫画用のセリフもそのまま活かしており、それでいて映画のなかで浮いておらず、しっくり聞こえてくる。監督の演出とキャストの演技力の賜物。デコ出しが新鮮な神木隆之介も、アニメキャラばりのわかりやすい表情の変化が実に巧い。アイドル俳優としてのイメージが拭えなかった主演の山崎賢人も、堂々たる熱演で映画を牽引する。岡田将生、山田孝之も相変わらずイイ。

熱いドラマシーンによって、逆に、肝心のクライマックスがグダグダ気味になってしまったり、手放しで絶賛できるほどではないが、続編製作は大いに歓迎する。もっと他のスタンドも見てみたいし。もしかしたら原作を知らなかったら、楽しめたのかもしれない。この夏、最大の興行的失敗作として烙印を押されそうな感じであるが、予定通り続編は製作してほしい。

【65点】
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ザ・マミー/呪われた砂漠の王... | トップ | アメリカン・クライム・スト... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事