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僕はイエス様が嫌い 【感想】

2019-07-09 07:00:00 | 映画


柔和な寓話の世界に潜んでいた残酷な物語。いろんな解釈ができる映画だが、外見からは信仰の意味を問う「沈黙」に通じるテーマが見える。雪深い田舎町に越してきた少年が、ミッション系の学校に通い出し、ある日を境に小さな”イエス・キリスト”を見ることができるようになる。主人公の前にイエスが現れるたびに、ちょっとだけ願いゴトを叶えてくれる。かわいい男子と、小さなイエスが戯れる。その微笑ましく愛らしい構図に、ほのぼのファンタジーの様相が濃くなっていくが、後半にかけて映画の色を一変させるショッキングな出来事が発生する。その事件のために学校では主人公を含め、生徒、先生の全員がお祈りをする。しかし、イエスは何もしてくれない。姿を現したと思えば、ただただ主人公に寄りそうだけ。そこである疑いが浮上する。
神に願いゴトを叶えてもらうことは「信仰」ではない。そう考えると、あの小さな願いゴトの成果は、神の仕業とは考えにくい。いや、そもそも、主人公が見たものは本当にイエスだったのか?さらには、ラストの告白で、劇中、主人公が友人と体験した出来事が想像だった可能性が出てくる。では、いったい、主人公は何を見ていたのか。。。
この謎を仮説として結論づけるほど、情報を与えてくれないのでモヤモヤが残る。ただ、ファンタジーを通して理不尽な現実を突きつける脚本は、若干23歳の監督の才能を確信するには十分だ。また、何気ない日常生活における人物描写や、会話のシーンでの息遣いに卓越した演出力を感じる。おかげで、一言一言のセリフが体内に吸収されやすい。心地よいゆえに、描かれるドラマに入りやすい。新鋭監督の今後の活躍に注目する。
【65点】
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