から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

デッドプール2 【感想】

2018-06-08 08:00:00 | 映画


出血大サービス。まさか、ここまで楽しませてくれるとは。
製作予算の大幅増が足かせになることなく、新たな進化に成功。アクション映画であり、コメディ映画であり、ヒーロー映画であり、ファミリー映画。前作よりも多くの旨みを効かせながらも、そのDNAはしっかりキープ。新鮮さが先行した前作よりも本作のほうが断然好きだ。ブラックで下品なユーモア、そして多くのパロディが次々と投下。笑率も前作から大幅にアップ。「正義には悪役が必要」は名言。初登場のジョシュ・ブローリンがカッコいい。サノス、いじっちゃうのね。

正義や理想主義をガン無視し、新たなアメコミ映画として喝采を浴びた前作。無責任ヒーローのおふざけを楽しむだけでなく、実は純粋なラブストーリーとして着地していた。続編となる本作では、恋人とのロマンスはほどほどに、ヒーローとして正義に目覚める「俺ちゃん」が描かれる。

前作では、これまで見たことのないキャラクターの誕生とグロいアクションについて何かと新鮮に映ったものの、自分はそれ以上の感動を覚えなかった。ところが本作ではわかりやすいヒーロー映画として軸足を少し変えたことで、魅せる映画として娯楽性が増した。あんまり期待していなかった分、かなりのギャップ萌え。増えた製作予算とヒットによるブランド力が、前作でできなかったことを可能にしていて、その仕掛けがもれなくプラスに働いている。本作もまた続編パート2の成功例だ。

デッドプールこと、ウェイドは1人のミュータントの少年と出会う。ウェイドは少年を「ラッセル」と呼ぶが、ぽっちゃり男子ゆえに「カールじいさん~」のラッセル少年からとっていると勝手に想像して吹き出す。「ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル」での好演が印象に残る男の子がラッセル役を演じる。その癒し系な外見とは裏腹に、本作では極めて高い攻撃力を持つ。スリルよりも「いやいや、ギャップwww」とニヤけてしまう。シリアスから少しズラす力加減が、デッドプールの魅力と再認識する。

Xメンでの研修中(笑)、施設で虐待を受けていたラッセルを助けることになり、それがきっかけで新たな強敵「ケーブル」と戦うことになる。ケーブルの設定が明らかに「ターミネーター」だ。パクっているというより、寄せてきている。本作で新たに加わった要素が映画ネタとパロディである。ジャンルを問わず様々な過去の映画が取り上げられ、イジりたおす。映画ファンにはたまらない。オープニングも007だし。もちろん、デッドプールと兄弟分である「Xメン」は格好の餌食となる。高潔な最後を遂げた「ローガン」は悪趣味なオルゴールに変わり、プロフェッサーXの専用品はデッドプールの遊び道具になってしまう。笑いが止まらない。

ケーブルに立ち向かうため、デッドプールは初めてチームを組むことにする。X「メン」は性差別な表現なのでX「フォース」って(笑)。一匹狼から脱却したのも大きな変化であり、デッドプールとチームを組むほかのメンバーがなかなか楽しい。前作に続き、デッドプールの対極にいるコロッサスとの掛け合いと、アブない友情関係は見モノだ。他のチームメンバーを新たにリクルートとし、いざチーム結成となるも、あっけない幕切れに終わる。このキャラクターの使い方はさすがだ。思わぬ大物俳優のカメオ出演に本作のブランド力を実感。デッドプールの強い味方として唯一機能する「ドミノ」は「運がイイ」という特殊能力を持つとのこと。これまた何かのおふざけかと思いきや、全くの新型ミュータントで驚く。荒唐無稽な本作の色に見事にマッチ、笑いを提供しながら、迫力のアクション描写に寄与する。

主演のライアン・レイノルズは、いよいよ絶好調。脚本にも参加しているようで、ブラックで下品なジョークが前作にも増してキマる。覆面ありきのパフォーマンスながら、相変わらず表現力が豊かだ(CGの賜物ともいうが)。そして本作のキーマンであるケーブルを演じるのは、コワモテ男優のジョシュ・ブローリン。知らない間に、めちゃくちゃマッチョになってる。饒舌なデッドプールに対して寡黙な男であり、シリアスな空気を程よく注入してくれる。家族のために戦う姿が普通にカッコいい。彼はサノスでアベンジャーズを粉砕したばかり。お疲れ様です。で、やっぱり劇中でもイジられるww。

ユーモアで笑わせ、アクションで楽しませるだけでなく、物語の転結がしっかり描き上げられているのも良い。ケーブルが登場した理由は早々にわかり、案の定の展開になるが、彼が持っていたツールが大きな役割を果たし、冒頭でのラブストーリーにちゃんと繋がってくれる。「ファミリー映画」という冒頭のセリフの伏線も見事に回収。ラストでは、ライアン・レイノルズによるまさかの「自己精算」が描かれ、そのサービス精神に大きな拍手を送る。ただし、「グリーン・ランタン」、自分はそんなに嫌いじゃないぞ。

【80点】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第90回アカデミー賞候補作を... | トップ | レディ・バード 【感想】 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事