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MUD マッド 【感想】

2014-01-25 09:47:36 | 映画


2014年初の当たり映画に的中した。
日本公開を待っていた映画「MUD マッド」が前評判に違わぬ傑作だった。

静かな余韻がいつまでも残る。

物語はミシシッピー州を舞台に、川岸のボートハウスで家族3人で暮らす少年が、
島に流れ着いた素性の知れぬ男「マッド」と出会い、成長する物語だ。

現代版「スタンドバイミー」という宣伝コピーがあるが、
少年の冒険物語という部分は共通しているが、描かれるテーマは全く別物。

主人公の少年エリスの成長とは「愛」について学ぶことだ。

エリスの両親は離婚の危機を迎えている。
それを見つめるエリスは「愛」について確信が持てない。
マッドという見知らぬ男を助ける理由はその背景が大きく、
マッドが1人の女性を愛する姿をみて、「愛」の姿を確信したいと願う。

少年の目から見た大人たちの恋愛模様。
エリスが初めて経験する年上女子との恋の行方。
少年の波打つ鼓動が伝わる。
その情景は、みずみずしく、時に残酷。

他人の心の真意や移ろいを客観で推し量ることは難しい。
人間は、シンプルに見えて実は多面的。複雑な生き物だ。
だから人を愛することは難しい。
「愛」について想いを巡らさずにはいられない。
手にとって掴んだ確信が、脆く手からこぼれおちる感覚。。。。
切なさと共に、懐かしさが込み上げてくる。
そうして少年は大人になっていく。

主人公エリスを演じたタイ・シェルダンが素晴らしい。凄い大器を感じる。
一目で見て、「このコ、できるな」と確信してしまう見事な面構えだ。
車の荷台に乗り、風に吹かれ、夕日に照らされる横顔が美しい。
繊細さと、荒々しさを併せ持つ多感な少年を見事に体現した。
彼の今後の活躍を期待せずにはいられない。

マッドを演じるのは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのマシュー・マコノヒー。
名だたる映画監督からオファーが殺到する理由がよくわかる。
心を鷲掴みにする存在感だ。少年との距離感の取り方が巧い。
短いタバコを吸うシーンや、缶詰を素手でバカバカ食べるシーンが絵になる。
GG賞に続き、先日発表された全米映画俳優組合賞(「ダラス~」)でも主演男優賞を獲得。
オスカーは目の前。

他、リース・ウィザースプーンやサム・シェパードの存在も効いている。
限られた登場人物が、すべて有機的に機能する感じは「ドライヴ」に似てる。
監督ジェフ・ニコルズの脚本が冴えている。

マッドの行く末を追うサスペンスも充実し、スリリングな展開にも目が話せない。

胸に迫るエモーショナルなドラマだった。
テアトル渋谷だけの限定公開では勿体ない。

【75点】

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