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ベター・コール・ソウル シーズン4 【感想】

2018-10-29 08:00:00 | 海外ドラマ


今年の海外ドラマ生活の楽しみの1つであった「ベター・コール・ソウル」の最新シーズン。

配信が開始されたのは8月だったが、週イチの配信であったため、最終話が配信された10月のタイミングでイッキ見をした。

全10話。Netflixにて。

相変わらずの完成度。ヴィンス・ギリガン"ブランド"に恥じない脚本と演出であったが、これまでのシーズンと比べると面白さは最低レベル。キャラクターに変化を与えるイベントが少なく、展開のスピードが遅い。
噂された「ブレイキング・バッド」(「BB」)のウォルターとジェシーの登場はなかった。

本シーズンも、ジミーとマイクの両輪のストーリーだ。残念なのは、ジミーとマイクが絡むシーンが1つしかなく、完全に2人の物語が分離してしまったこと。コメディとドラマパートは「ジミー」担当、スリラーパートは「マイク」担当みたいな具合。1つのドラマで描く効果はあまりない。



まずジミーの物語。本シーズンでいよいよ「ソウル」が誕生。
前シーズンでは兄チャックの自殺という衝撃的な事件で幕を下ろした。兄の死をもっても兄弟の確執は埋まらず、ジミーは悲しむことを放棄する。ジミーにとっては、1年間という長い弁護士停止期間のほうが重要のようだ。本シーズンでは、この停止期間に起きた出来事が描かれる。

巧みな話術を駆使したショーマンの才能が本シーズンでも遺憾なく発揮される。コピー機営業の面接におけるパフォーマンスが面白い。彼なら何を売ってもトップセールスマンになるのだろう。彼が暫定的に就職したのは携帯販売のチェーン店。そこで新たなアイデアを思いつき、携帯を売りさばくことになる。今では古い手法だが、プリペイド携帯の新たな活用法を唄い、犯罪者を相手に商売を始めるのだ。「バレなければ何でもOK」がさらにエスカレートする。



パートナーのキムは、本シーズンでも相変わらず魅力的だ。あの美しいブロンドヘアとポニーテールの後ろ髪に萌える。前シーズンで大けがを負ったが、ソウルとは対照的に仕事で大躍進を遂げる。ジミーとの生活でスレ違いが生じるのは必至。大出世を遂げる一方、無料弁護を積極的に引き受けるようになり、自身の能力を人助けに活かそうとする。ジミーとは大違いだ。



ジミーパートのクライマックスは、弁護士資格を取り戻す審査会。ここで、やはりチャックとの関係性が重くのしかかる。問われるのは本当の「誠実さ」だ。しかし、それすら操ることに成功したジミーは、別の次元へ行ってしまった印象。そして「うまくやれば、すべてよし」=『ソウル・グッドマン』が声高に確立された。

次にマイクの物語。
シーズン3に引き続き、サラマンカ一族とガスの動向がセットで描かれる。こっちはさらにBBに近づいてきた。ナチョの反逆により、脳性麻痺となったへクター・サラマンカ。BB名物である「チンチン爺さん」が完成。あのベルを鳴らすようになった逸話が面白い。この事件をきっかけにナチョはガスの所有物となるが、結果、サラマンカの時よりもいい暮らしができるようになる。脳性麻痺になったヘクターも結果的に、ガスによって命を長らえた。「生かして支配する」、BBでウォルターに対してとったやり方と同じだ。



マイクパートのハイライトは、BBでも重要拠点として何度も登場した地下製造所の建設だ。ガスがウォルターのために用意したと思われた製造所は、ウォルターに出会う前からの計画だったことが判明。この建設計画を全面的にガスがマイクに委託。以降、ガスがマイクに対して全幅の信頼を寄せる経緯が描かれる。クリーニング工場の地下に"バレずに"巨大な施設を作ることは相当な難儀であり、ドイツからリクルートした建設員たちとの交流を絡め、丹念に建設過程を追っていく。



そこでマイクは"タブー"を破る。ガスの命令に従ったという側面が大きく、BBまで続くガスとの蜜月関係を決定づける。ただ、最終話まで引っ張って描くべき事件ではなく、せめて前半パートで完結させ、後半はもっと展開を進めてほしかった。語るべき物語はもっとあったはず。

今年も引き続き、いろんな海外ドラマを見ているが、撮影、編集は「ブレイキング・バッド」仕様であり、他の海外ドラマにはないセンスを改めて感じる。オープニングからの伏線回収も巧い。しかし、10話からようやくスリルを醸成するエンジンがかかるのは遅い。シーズン単体でみれば、十分に面白いドラマであるが、これまでのシーズンがハイレベルだったため、期待はずれ感は否めない。

「ソウル」の誕生を目撃したので、本家BBにおける「ソウル」(ジミー)の初登場回を見直してみた。「ソウルは本名じゃないんだ」とウォルターに話していた。本家を久しぶりに見ると、やはり別格のドラマだ。オープニングから素晴らしい演出で唸らされる。

本家のスピンオフとして始まった、このドラマ。2シーズンくらいで終わると思いきや、このシーズン4まで続き、この内容だと次のシーズンまで続きそうだ。BBのシーズン4は既に神レベルに達しており、スリルが少ないという作風の違いを無視しても、甚だしく見劣りする。このシーズン4で結末を迎えても良かったので、もっと本気を出してほしかった。

【70点】

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