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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 【感想】

2019-07-03 07:00:00 | 映画


前作の最大の勝因は、トム・ホランドのチャームにあった。そして、本作でもその魅力が最大限に活かされる。現時点で世界一鼻血が似合う男子だ。「アベンジャーズ」での未曽有の経験を経て、演じるピーター・パーカーの成長を感じさせてくれるのが嬉しい。MCUとの距離感は程よく、予想よりもアベンジャーズの色が薄かった。独立したシリーズとして存在感を示してくれた。

未だにエンドゲーム(EG)の残像が強烈に残っている。EG直後となるスパイダーマンの新作はどんな具合で描かれるのか。で、本作が選んだ方向性は、あくまで第一作の続編を描くことだった。

世界の半分の命を殺した「指パッチン」をイジり倒すところから始まる。あんな悲劇をあっさりコメディにできる逞しさにニヤニヤしてしまう。主人公のピーター・パーカーも、EGでの苦労を引きずる様子もなく、前作に続き、いち高校生として学園生活を謳歌している。これまた世界一セクシーなオバさんも健在で(マリサ・トメイの美貌に萌える)、大好きだったパート1に戻ってきたことを印象付ける。

ピーターが所属するクラブが、アメリカを離れ、ヨーロッパに修学旅行に出る。ベネチアなど、見慣れたヨーロッパの景観を舞台に展開するスパイディーアクションが新鮮。ただ、ピーターにとってヒーロー活動よりも優先すべきは青春である。この旅行に賭けるピーターの狙いは、スパイダーマンシリーズではお馴染みのキャラ、MJへの告白だ。

「あれ、MJっていたっけ?」と、後で調べたら、前作でも登場していたようだ。しかし、前作でピーターと特別な関係にあった記憶がなく、いきなりMJにご執心なピーターを見てすんなり応援することができない。キルスティン・ダンストのイメージが強いキラキラMJと違い、こじらせ不思議系女子として描かれるMJに、ピーターが惹かれる要素もわからないため、2人のロマンスには全くノレなかった。個人的には、MJ演じるゼンデイヤよりも、前作よりも出番が多めになったアンガーリー・ライスに注目したりして。

早々に、ニック・フューリーによって就学旅行がジャックされる(笑)。新たな敵を倒すプロジェクトに、ピーターを巻き込むためだ。そこで新たなスーパーヒーローが登場する。予告編でも流れていたジェイク・ギレンホール演じる「ミステリオ」だ。ミステリオが本作の鍵を握ることは予想通りだったが、その実体にはガッカリした。

<ネタバレなし>

フェイクが飛び交うSNS時代を強く感じさせる仕掛け。所詮ファンタジーといえど、あまりにも物理的根拠を逸脱していて冷める。結局CGで何でも映像化できることを前提にしているのが気に入らない。目には見えない、風圧、熱さ、感触といった感覚をあんな仕掛け1つで実現しようってのが無理。リアリティを持たせる努力をちゃんとしてほしい。また、二重三重、四重のトリックは、面白さよりも混乱をきたす方へ振れていて、もっと見せるべき、スパイディーアクションを侵食してしまっている。「続く」を明示する終わり方も釈然とせず、気分良く終われなかった。

進化やパワーアップは、情報を付け足すことではないと思う。複雑なヴィランの設定をうまく脚本に落とし込めなかった印象。前作のバランスがちょうど良かった。

エンドクレジット後のエピソードで、ある疑念が解消される。MCUはこれからも続いていくようだが、エンドゲームロスからまだ抜け出せない。

【60点】



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