から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

BLAME! 【感想】

2017-06-01 08:00:00 | 映画


ネットフリックスにて。
ついに日本でも劇場公開とネット配信が同時リリースされる日が来た。映画コンテンツにとって追い風になるかどうかは微妙だが、映画ファンの選択肢が増えたという点では歓迎すべき状況といえる。ネットフリックスが本作に製作費を投下したのは「ジャパニメーション」といわれるほど、世界基準で人気のジャンルだからだろうか。で、本作はその期待の高さに相応しいレベルのアニメ映画だった。予告編から少女漫画みたいなキャラクターデザインに関心が持てず、一部のアニメ好きに向けた映画と思っていたが、実際に見てみると十分に一般ウケするようなアニメ映画だった。

機械に人間が支配されるようになった未来の世界で、「駆除」の対象となった人間たちのサバイバルを描く。なんともターミネーターちっくな話だが、本作で描かれる人間たちは限られた生活環境の中で食糧が底をつくなど、生存の窮地に立たされている。その人間の窮地を1人の旅人が助けるというあらすじだ。今度はマッドマックスじゃないか・・・と、すぐに他の映画と結び付けてしまうのは仕方なしか。あとで本作の解説を見たら、この旅人が主人公のようである。しかし、主人公らしい存在感は感じられず、彼の意思も不鮮明であり、映画の構成上も冒頭から登場する女子の視点から語られるため、その設定に釈然としない。旅人に主人公たる明確なヒロイズムが与えらていれば、もっとわかりやすく魅力的な映画になっていたと思う。原作をまったく知らないため、旅人の男が一部機械化されていることなど、当たり前のように描かれている前提も呑みこめない。ある程度、原作の内容を事前にインプットしたほうが良かったかも。その一方で、SF映画に肝心な世界観の作りこみや、アクションシーンの数々は意外なほどしっかりしていた。生死を分かつハードな描写も避けることなく描き、空間を大胆に使ったアクション演出が素晴らしく非常にスリリング。日本のアニメーションスタジオの実力をまざまざと見せつけられ、世界に通じるコンテンツとしてネットフリックスは良い作品を生み出したなーと思った。才能ある作り手にリスクを恐れず、製作を任せるネットフリックスのビジネスモデルは、今後どのように進化していくのだろう。来月リリースされる、ポン・ジュノの『オクジャ』が楽しみ。

【65点】
コメント
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