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オンリーゴッド 【感想】

2014-01-29 02:52:09 | 映画


「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフンとライアン・ゴズリングが
再タッグを組んだ新作「オンリーゴッド」を観る。公開を2年間待ちました。。。

先に公開された全米では「ドライヴ」での大絶賛から一転、賛否が分かれた映画であったため、
期待よりも不安が大きかったが、観てみて個人的には全然アリな映画だった。

予想通り「ドライヴ」よりも「ブロンソン」や「ヴァルハラ・ライジング」に近い作風だ。

物語はバンコクを舞台に、ゴズリング演じるボクシングジムを経営する男と、
彼の兄を殺した現地の悪徳(?)警官の戦いを描いたものだ。

ストーリーはあってないようなもの。破綻していると言ってもよい。

リアリティや理屈で映画を語ろうとする人にはまず無理な映画だろう。
「ゼロ・グラビティ」を「あんなの有り得ない」などと言って、
さもわかったようなフリをする音痴な人たちみたいに。。。

前作「ドライヴ」でも理屈じゃ説明できないシーンが多くあったが、
ロマンスのトーンが強かったため、日本でも多くの支持を得たのかもしれない。

本作は確信犯的に、論理を避けているように思う。
レフンが描きたかった画を、繋ぎ合わせて一本のフィルムにした感じ。

ワンカット、ワンカットがゾクゾクするくらいにキマっている。
左右が完全対称。不要な動きやセリフを排除。鮮烈な赤と青の光で人物を縁取る。
白昼夢のような非現実的で、浮遊感たっぷりの奇妙な映像が続く。
感じるのはレフン映画ならではの醍醐味、陶酔感だ。
まったく飽きることなく、逆に見入ってしまった。

但し、タイトルから連想される「神との対峙」については、あまりしっくりこない。
また、その神の化身を、敵役の悪徳警官で見せようという意図だったら、大ブーイング。
そう捉えてもおかしくない内容だが、自分は良いように捉えることにする。

ライアン・ゴズリングは相変わらずのカッコよさだが、存在感はやや希薄。
本作においてはそれで正解だろう。登場人物は監督レフンが描く世界の彩に過ぎない。

その彩の中でも一番際立っていたのが、クリスティン・スコット・トーマスだ。
やばい。いろんな意味で堪らない。妖艶さの中に、下品さと凶暴性がある。
美しい金髪と濃い目のアイシャドーが眩しく、異様なほどスクリーンに映える。
まったく異質だが、「危険なプロット」の時でも感じたエロスがあった。。。

音楽は「ドライヴ」に引き続き、クリフ・マルティネス。キレキレ。
レフンとの相性は抜群。映像と音楽でごはんお替わりできるわ。

期待していなかった分、楽しめたことに満足。
次の映画では、レフンにもう少しノーマルなものを撮ってほしい。

【65点】