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SHAME -シェイム- 【感想】

2012-05-19 00:15:26 | 映画
お気に入りのライアン・ゴズリングと並び今注目の俳優の一人、
マイケル・ファスベンダー主演の「SHAME -シェイム-」を会社帰りに観た。

挑発的で勇敢。
あらゆるセンスの塊のような映画だった。

日本公開は今年の3月。渋谷や新宿のみの単館上映であったため、
出向くのが面倒で、映画館での鑑賞を諦めていたが、
行きつけのユナイテッドシネマ浦和で上映されることとなり喜び勇んで観に行った。
日本公開の2ヶ月後ではあるものの、元上映館の渋谷シネクイント等よりも
大スクリーンでかつ快適な座席で観られることにホント感謝である。

客層は想定通り、男性1人客が大勢を締め、女性1人客が数名。
この映画をカップルで観られる人は尊敬できるかも。

本作はニューヨークに住む、性欲に支配されたセックス中毒の男の物語。

男は仕事ができて、お金もあり、ハンサムだ。
女性にモテて愛に生きることも簡単だろうに、男はそれを拒み続ける。

シェイムは日本語で「恥」。
その男は仕事以外の(一部仕事中含む)時間を全てオナニーとセックスに費やしている。
その男が浸隠す「恥」部を、映画は文字通り丸裸にして見せる。

「セックス」は普通に気持ち良い。
「快楽」や「悦楽」なんていう言葉にも置き換えられると思うけど、
本作で描かれるセックス、延いてはオナニーを引っ括めた「性」は、
そういった前提とは全くの無縁のものだ。

痛々しくて、苦しい。。。。
主人公の男は自らの何かを埋めるために、ひたすらチ●コを酷使する。
どんなに他人と体を重ねても、焦燥感と孤独がつきまとう。
「エロい」「官能的」という言葉は本作には全く相応しくない。

物語はセックス中毒者の男の自宅に、
奔放な妹が突然転がりこんで同居することになったことをきっかけに、
男の(ある意味)完璧な世界が崩壊していく様を描いていく。

それは男が自身の「恥」と向き合うことのきっかけでもあった。
深まる苦悩と、相反する性へのさらなる渇望。
行き場のない欲望とともに、混沌とした夜のニューヨークに身を投じていく。

複雑な感情を併せ持つキャラを見事に体現して魅せた主演のマイケル・ファスベンダー。
そのパフォーマンスは奇跡的といっても良い。
やはり彼が前回のオスカーノミネートに漏れたことはどうにも納得できないわ~
皮と筋肉だけの一見研ぎ澄まされた肉体は、
性欲という魔物に取り憑かれて、脂肪が削がれてしまったようにも見え病的。
前貼りなしで反復される彼の全裸姿のファーストショットが印象的だ。
数あるお気に入りのシーンの中でも乱交のオーガズムの果てに魅せた
彼の表情は映画史に残る名シーンだ。

そしてそして、妹役はキャリー・マリガン。
「ドライヴ」でのライアン・ゴズリングとの共演が記憶に新しいが、
本作ではフルヌード込みの貫禄のパフォーマンスを魅せる。
愛を拒む兄とは正反対に、愛を渇望する激情型女子。
しかし、その姿は儚くて危うい。彼女も何かを埋めるために愛を乞い続ける。
ある意味、兄と同じ中毒者だ。
圧巻の演技の数々にため息が出た。彼女はホントに素晴らしい女優だ。
結婚相手、シャイア・ラブーフじゃなくて良かった。。。

マイケル・ファスベンダーとキャリー・マリガン、ハリウッドの至宝ともいえる
この2人の激しく、そして切ない演技合戦を見るだけでも必見といえそう。

本作の脚本は凡作な「マーガレット・サッチャー鉄の~」と同じ人らしい。
たまたま本作の脚本が良く出来たのかもしれないけど、
監督スティーヴ・マックイーンの演出力の賜物といえそう。
漂う魂の行き場を、人間が持つ五感をもって照射した映像の切り取り方が秀逸でカッコよい。
また前作から引き続き主演に抜擢したファスペンダーとの強い信頼関係も随所に見えた。

観る人によっては「何も残んねーよ」で終わる可能性大だが、
自分はこの映画好きだな。

【75点】




コメント
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