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映画「モテキ」 【感想】

2011-09-23 18:25:15 | 映画
職場でいつもお世話になっている、漫画好きの先輩がいる。
その先輩から2年程前に、「●(自分)君にオススメの漫画があるのよー」と
貸してくれたのが「モテキ」だった。

普段自分はあまり漫画を読まないのだが、「モテキ」にドハマリした。
色恋の経験があれば誰しも覚えのある「共感」がモテキの魅力といえる。
「ヤる、ヤらない」「される、されない」という軸で恋愛を考えてしまう男子の単細胞ぶりなど、
女子には共感し得ないであろう感情も上手く描かれており、作者が女子と知った時は結構驚いた。
また、主人公の幸世が自分と同年代であることも大きい。
幸世と親友島田との友情物語も個人的には好きだ。
4人の女性を始めとする、他人との関わり合いの中で、
1人の未熟な男子(幸世)が成長していく過程を描きたかったという、
原作者、久保ミツロウの想いも自分にはダイレクトに伝わり、
全4巻という少ないボリュームではあったが、非常に思い入れのある漫画となった。

自分同様、この漫画を好きになった人も多かったようで、結構売れたらしく、
単行本が終了して、ほどなくテレビ東京の深夜30分枠で「モテキ」のドラマが始まった。
これまた、ドハマリ。
初めてドラマのDVDボックスを買うほど、ファンになってしまった。
話の筋や原作の魅力はそのままに、監督の大根仁や演者の力によって
新たな世界観と抜群のセンスをもったドラマに仕上ったことがその理由だ。
その成功の一つは幸世役を森山未來にしたキャスティング。
当初その情報を知った時には、彼のセンの細さと若さに原作イメージとの違和感を感じたが、
彼の高い身体能力と、舞台で培われた豊かな表現力により、
原作漫画よりも漫画っぽい新たな魅力をもった幸世が誕生した。
また、原作でも頻出したサブカルチャーの存在も随所に散りばめられていて楽しい。
幸世と同じ1980年前後生まれの人が学生時、夢中になったであろう懐かしのJポップが
1話1話ごとのテーマに合わせて、挿入歌として流れ、展開を大いに盛り上げる。
その選曲センスが抜群でなかなかたまらない。
他にも岩井俊二の「打ち上げ花火~」を話のエピソードに取り上げたり、
粘度の高い濃厚なキスシーンの数々など、大根監督のこだわりが詰まっていて
いろんな角度から楽しむことのできる完成度の高い新ジャンルのドラマといえる。

そんな「モテキ」が今度は映画になり、公開初日の今日観に行った。

といっても本作の公開を楽しみにしていたわけではなく、
今日金曜日はユナイテッドシネマが1000円だったから観に行っただけだ。
大好きなドラマの映画であっても、昨今のドラマの延長で映画を作るという、
好ましくない潮流にノったものであるし、
放送局の垣根を超えて手当り次第、本作のプロモーションを行うえげつなさから、
「テレビ東京の社運をかけてます」的な必死感がめちゃくちゃ出てるし。。。
映画事業なので仕方ないのだが、その光景がエッヂの効いたドラマの性格とは不釣合いで、
ただただカッコ悪い。

「ドラマが好きだった人は、映画も見てくれるはず!」という制作側の思惑に
ノってたまるか、と当初観に行くつもりはなかったが、
食わず嫌いはよくないし、楽しませてくれたドラマへの御礼がてらに観た。

オープニングの女神輿、
ドラマと変わらずフジファブリックの「夜明けのBEAT」でテンションが上がる。
ドラマではちょこっとしかやらなかった森山未來のダンスシーン、
パフュームのBaby cruising Loveのほぼフルコーラスで魅せてくれる。
これはもう鳥肌もの。。。キレキレの森山未來、カッコえ~~~~っ。
長澤まさみ演じるみゆきが天然エロカワキャラでモテキ史上、最もツボ。
麻生久美子の牛丼頬張りシーン。朝の柔らかな光を浴びて素敵。
麻生久美子、好きです。。。
仲里依紗と真木よう子、個人的に期待していたが、端役に近く勿体ない。

本作ではツィッターが大きな役割を果たしているが、
しばらく経って本作を観たら、「あの頃はよくつぶやいたね」みたいな
今でいうポケベル的な感じになるのだろうなと、ふと思った。

話の内容も完全オリジナルストーリーでありながら、原作同様ドラマチック。
エンディングで本作の原画みたいなものが出てきて、
原作者の久保ミツロウの書下ろしであることがわかり、かなり納得。
この映画、単行本化してほしい。

ドラマ同様、笑って、ムラムラして、普通にエンターテイメントとして楽しめた。
ラスト、幸世が成長した姿を見せてくれたし、原作ファンとしては満足。
いろんな意味でドラマの進化版といったところか。

しかしながら、やはりモテキはドラマのサイズでやってこそ活きる作品だと思った。
わざわざ、大スクリーンで見せることの意味がよくわからないし。

初日とあって、客席はほぼ満席。
原作、ドラマのファンとしては、その映画のヒットを望むべきとも思うが、
これでまたドラマの映画化に拍車がかかり、ひいては
オリジナリティのある邦画誕生の機会が喪失されるのが嫌だ。

ドラマの続編は大歓迎。

【採点対象外】

















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