そもそも論者の放言

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『英会話イメージリンク習得法』 遠藤雅義

2014-01-19 17:24:01 | Books
英会話イメージリンク習得法―英会話教室に行く前に身につけておきたいネイティブ発想
遠藤 雅義,Victoria Bloyer
英会話エクスプレス出版


Kindle版にて読了。

英会話をスキルやテクニックとして習得するよりも前に、ネイティヴはどのような発想やイメージをもって英語を喋っているのか、その背後にある思考への理解を深めることで英会話習得の成果が上がりやすくすることを目的に書かれた本。
著者自身は、ネイティヴでもなければ英語についての専門の研究者でもありません。
本著の内容は、著者自らが英会話を上達させるために学習を行う中で文献を調べたりして立てた仮説に過ぎない、と断り書きしているところが面白いところです。

この本を読むと、我々が中学や高校で学んできた英語の勉強と云うのは「どのようにすれば英語の文章を日本語に訳すことができるか」についての学習に過ぎなかったのだ、ということを痛感させられます。
英語の文を日本語に翻訳する場合、基本的に「後ろから前に」訳していくことが多くなります。
が、考えてみれば当たり前のことですが、ネイティヴが英語で話す場合には「後ろから前に」なんて順番で文を組み立てているわけがない。
普通に「前から後ろに」単語を並べて英語の文を組み立てながら喋っている。
その時に、どのような発想やイメージで単語を選択しながら並べているのか、その感覚を想像するつもりでいないと英会話は上達しないわけですね。

例を挙げると、学校の授業で習う「形式主語のit」というのがあります。

It is hard to write off Japanese luxury cars.

我々は学校で「it = to write off Japanese luxury cars」である、と習いますが、ネイティヴはそんなイメージは持っていない。
ネイティヴは「it = hard」と捉えているだけだ、と。
これって大切な視点だと思いました。

それから時制について。
日本人がなかなか習得しづらいものとして「現在完了形」というのがあります。
著者は、「have + 過去分詞」を理解する上で重要なのは、haveは現在形であるということだと云います。
現在形なので、あくまで「presentのことを述べている」という感覚であり、現在に焦点が合っている表現であると説明されます。
これまで数多の現在完了形についての説明を聴いてきましたが、初めてしっくりと腹に落ちる理解が出来た気がします。

あと、冠詞についても、日本人の英語学習では「名詞に a や the を付ける」と教わりますが、語順からしてこれもおかしい。
ネイティヴは、まず冠詞によって外枠や輪郭を述べてから、中身である名詞を表現しているのだ、と。
「なるほど」という感じでしたが、このあたりは岩波新書の「日本人の英語」の孫引きですね(この本の次に読みました)。

これ一冊で英会話が上達するというわけにはいかないでしょうが、本著に解説されているイメージを持っているのと持っていないのとでは、英会話への取り組みは全然違うだろうなとは思いました。
ただ、度々出てくる、ジェスチャーでネイティヴの感覚をイメージする手法はよくわかりませんでしたが(却ってわかりにくいような…)

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