読み始めは、散文詩調の表現の字面を追うだけで一向に頭に入ってこず、なんと読みづらい小説だろうと読み進める意欲を挫かれそうになったんですが、そのうちにそれが心地よく響くようになってくるから不思議なもの。
峡谷に向ったまま帰ってこないダグラスを母と弟が探しに行くエピソードや、自分にも若く美しい頃があったことを少女たちに信じてもらえない老婆のエピソード、また、通り魔に遭う危険を顧みず深夜歩きをする若い女性たちのエピソードなど、サスペンスある魅力的な挿話もあり。
人生で唯一度しかない、十二歳の夏という刹那への郷愁。
そして、身の回りで死や別離の香りを嗅ぎ、少年は人生を識る。
人の生命の有限、そして無限を感じさせられる、心地よい読後感。
峡谷に向ったまま帰ってこないダグラスを母と弟が探しに行くエピソードや、自分にも若く美しい頃があったことを少女たちに信じてもらえない老婆のエピソード、また、通り魔に遭う危険を顧みず深夜歩きをする若い女性たちのエピソードなど、サスペンスある魅力的な挿話もあり。
人生で唯一度しかない、十二歳の夏という刹那への郷愁。
そして、身の回りで死や別離の香りを嗅ぎ、少年は人生を識る。
人の生命の有限、そして無限を感じさせられる、心地よい読後感。
たんぽぽのお酒 (ベスト版文学のおくりもの) | |
レイ・ブラッドベリ、北山 克彦 | |
晶文社 |