そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「サウスバウンド」 奥田英朗

2009-11-01 23:17:23 | Books
サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)
奥田 英朗
角川書店

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サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)
奥田 英朗
角川書店

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元・過激派の過去を持つ父親に振り回される家族…という心そそられる設定に、個性あふれるキャラクタたちのユーモラスな関わり合いが織り込まれ、奥田ワールド全開。
楽しんで読めました。

後半の西表島パートの、大らかな島の人々との交わりや、開発業者との大立ち回りの中で家族が一体となっていくあたりが、世間的には一番ウケる部分なんでしょうが、個人的にはやや話が出来すぎな感ありで、それほどノッていけなかった。
たとえば、出てくる女性たちがみんな美しくて魅力的(母、姉、担任の先生、クラスメート)ってあたりもちょっと作りすぎに感じてしまう。

むしろ、前半の中野パートでの、不良中学生に目をつけられて苦境に立たされるという誰もが身につまされるようなリアリティに、父親のユニークな言動や謎の居候の存在という非現実性が被さっていく混沌感のほうが好みなので、西表島パートの魅力は認めつつも、一気に南の島へと舞台が飛んでしまったのが少々残念でありました。
コメント
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