そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「石油の時代」の終焉

2009-07-05 23:32:09 | Economics

昨日(7月4日)の日経新聞朝刊「世界を語る」は、サウジアラビア元石油相のアハメド・ザキ・ヤマニ氏へのインタビュー。
興味深かった点を以下メモ。

投機マネーが原油価格の乱高下を招いている事実について、投機マネーの規制が必要であることを認めた上で…

だが、私は新しい原油市場を創設することのほうが重要だと思っている。今は米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が主要指標だ。産油量は極めて少ないのに、ヘッジファンドなどの投機マネーが潤沢な米国に市場がある。現実の需給よりも投機が優勢になるのは自明のことだ。多くの原油を産出するペルシャ湾地域に、実際の生産量などを反映する市場を新たにつくった方がいい。

リカルド・カバレロの資産欠乏説(たまたま同じ昨日の朝刊にインタビュー記事が出ていた)でも指摘されているように、米国だけが突出して進んだ資産市場を持っている現状が、いろいろな面でグローバル金融経済のバランスを歪めているということでしょうか。

ヤマニ氏は続いて、世界的な環境意識の高まりから代替エネルギーの開発が本格的に動き出したことから、「石油の時代」は終わりが近づいており、石油を完全に不要にする水素エネルギーが実用化されることで終焉を迎えることを予言しています。

かつて石油の影響が大きいときに「ピーク・オイル論」がもてはやされたが、あれは政治的につくられた神話でしかない。原油はまだまだ地下に眠っているし、コストをかけて新技術を使えば採掘できる。だが、時代は技術で変わる。石器時代は石がなくなったから終わったのではない。(青銅器や鉄など)石器に代わる新しい技術が生まれたから終わった。石油も同じだ。

さらに、産油国の存在感が低下していく中で、中東情勢は不安定化していく懸念があることを指摘します。
中でも最も注意すべきはイランだとの見解。
氏が付き合った中でもイラン人は飛びぬけて頭がよく、特に交渉事に関しては天才的であり、原油や天然ガスといった資源を交渉材料として使う方法も知っており、むしろ米国などに対して主導権を持っているとみることもできるとのこと。

コメント
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