ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

アメリカの大学・東海岸編

2017-08-22 | アメリカ

今回のアメリカ滞在中、いくつかの大学を見て周りました。

TOの留学先、息子のキャンプ先などでよく知っている学校は除き、
学校のアドミッションが主催するツァーにスケジュールが合ったものに限ります。

アメリカの大学の内部を見る機会など滅多にないので、実は観光気分です。

最初はボストンの中心部に近いとあるユニバーシティ。
勝手に規模が小さいと勘違いしていましたが、とんでもない。

そもそも「ユニバーシティ」というからには、いくつもの学部の集合体で、
国土の広いアメリカではそれだけで一つの街というくらい規模が大きいのが普通です。

案の定この大学も集合場所近くのパーキングはすでに満車。
指示されて停めたタワーからは気の遠くなるような距離がありました。

おまけにボストンはこの季節、昼間は焼け付くような日差しです。
集合場所であるオフィスにたどり着いた時にはホッとしました。

アメリカの大学の規模と設備に改めて驚きます。
下手するとこんなクラスルームがいくつも学内にあったりするのがアメリカ。

ここで学校についての概要のレクチャーが行われるようです。

この日のツァーは、当大学工学部の見学でした。

「エンジニアリングとは何か?」

やたら壮大なテーマですが、結局答えはなんだったのかと尋ねられると困ります(笑)

 

アメリカの大学にはこういう場合に『マイクを握って半世紀!』
みたいな学校案内専門のスタッフがいて、
その喋り方や質問の受け答えなど、まさにプロといった喋りをします。

アメリカ人はこういう場で質問をしないということはほとんどなく、
説明の時間半分が質疑応答になってしまったりします。
 

バイオ工学、化学、コンピュータ、機械工学、環境、産業などの単体のの学問を、
「コンピュータ工学とコンピュータ科学」「機械工学と物理学」などのように
融合させたフレキシブルな専攻があります、らしいです。

内容はフレキシブルな選択というところで適当に理解してください。
右側に転々と足跡がありますが、大学のマスコットのものです。

大抵の大学には、犬やクマ、狼、鳥類、爬虫類、時々虫など、
オリジナルマスコットがいます。
大抵はアイドル化しやすい哺乳類ですが、ナメクジ(サンタクルーズ大学)とか、
「木」(スタンフォード大)なんてのもあります。

木・・・なんかいろいろと盛り上がらなさそう。

当大学の学生数は2万5千人。
3年連続で、全米大学トップ50校以内に選出されており、最も革新的な大学のカテゴリーでも
上位にランクインする東海岸の名門トップ大学(wikiによる)
です。

本日の説明会にhほとんどの学生は親と一緒に参加していました。
夏休みなので、家族旅行かたがた大学を見に来たという家庭
(我々もそうですが)も多そうです。

この後、見学者はグループに分けられ、現役の学生に案内され学内を廻ります。
このパターンはどこの大学に行っても同じでした。

案内役は夏休み帰郷しない学生のアルバイトです。

広大なキャンパスを歩き、改めてアメリカの大学の規模の大きさを思い知ります。
工学部のある研究棟には、浮世絵コレクション(本物)が何枚も壁にかかっていました。

彼らのツァーには必ず学生が生活するゾーンが含まれます。
こちらは学生寮に近いカフェテリアですが、左側の「オー・ボン・パン」
(ボストン近辺で展開しているベーカリーチェーン。日本でいうと神戸屋?)
は、一般道に面しており、誰でも利用することができます。

図書館にもほとんど個人名がついています。
成功した卒業生が自分の出身大学に建物を寄贈して名前を残すのです。

このブロンズ像は「シルマンの猫」というそうです。
ロバート・シルマンは当校で『も』学位を取り、「コグネックス社」の創立者となりました。

シルマン氏はまだ存命ですが、この銅像の詳細(なぜ猫なのかとか)
については実のところはっきりしていないようです。

当たり前ですが、アメリカの大学にはどこも中心となるところに
国旗が掲揚されています。

学舎を寄付するほどの富豪になれずとも、自分が在籍していた証を残すことはできます。
卒業生の名前が刻まれたロータリーの敷石。

また別の日。

わたしたちはまたしても同じ大学のツァーに参加しました。
今回は建築専攻科の見学をするためです。
前回と打って変わって、この日の天気は一日中雨でした。

ただしアドミッションオフィスの近くに車を止めることはできました。

当大学は1916年に開学しました。
ちょうど第一次世界大戦(1914−8)の真っ只中に創立されたということになります。

ということは、このベテランズメモリアルは、それ以降の戦争の犠牲者のものでしょう。
慰霊碑には第二次世界大戦、朝鮮戦争、そしてベトナム戦争の写真があしらってあります。

さて、今回わたしたちは建築科の説明を聞くために参加したのですが、
建築は工学部ではなく「アーツ・メディア・デザインカレッジ」に含まれます。

デザインのほか、「メディア」はコミュニケーション学科、
メディア・スクリーン研究、
音楽学科、映画、ジャーナリズムなど。

ということで、前回の参加者とは明らかに参加者の雰囲気が違いました。

一口で言うと、女子、しかも明らかにあわよくばキャスターになったる!的な
気合の入った化粧バッチリ系が全体の雰囲気を支配していたといいますか。

卒業後の就職先にはテレビ局もあり、どの局のなんとか言うキャスターは
うちの出身ですよ、みたいな説明もありました。

説明を聞いていた中から、志望学部ごとにツァーが出発していき、
最後に残ったのはメディア専攻とは全く雰囲気の違う、
よく言えば理系、悪く言えば地味系の見学者が建築科見学者でした。

説明をしていたデザインカレッジのディレクターは建築科の主任で、
わたしたちは彼に連れられて、建築専攻の建物に向かいました。

建築の建物はキャンパスが接している線路の高架下を利用しています。
時折大きな音を立てる作業なので、高架下はちょうどいい場所なのでしょう。

高架下なので、細長く延々と続く作業室は全て建築科の領域です。

天井にはむき出しで電気と温水のパイプが張り巡らされ、
長いソケットが天井からブラブラとぶら下がっています。

一応その辺のポスターも写真に撮っておきました。
いわゆる絶叫マシンのデザイン、などと言うカテゴリもあるんですね。

集合住宅のデザイン。
アメリカのように土地のあるところにはいくらでも家が建てられるので、
集合住宅の需要はあまりないと思われがちですが、都市部では決してそうではありません。

昔の公衆電話のように生徒なら誰でも使えるコンピュータがあります。

合格率の低さに反比例して学費は大変お高い大学でしたが、
アメリカの大学は名門になるほどこの傾向が強くなります。

さて、東海岸ではもう一つ大学のキャンパスを見学しました。

ボストン郊外の緑の多い高級住宅街の中に忽然と現れる工学系カレッジ。
2000年以降に生まれた新しい大学ですが、工学系大学関係者や、
企業からはその先端的な教育で大変注目されています。

創業者の肖像。
アドミッションツァーに参加する学生の数は前回の総合大学とは全く違い、
全部で10人くらいで、全員がツァー前に自己紹介しあいました。

学校の規模も一学年が80名と大変少なく、生徒3人に教授が一人、という割合です。

しかしアメリカのカレッジなので、キャンパスは日本規模なら「広大」と言っていいでしょう。
何しろ、グラウンドとスポーツコート、学生宿舎をもつキャンパスが、
それまでただの森であったところに突如現れるのがアメリカなのです。

アドミッションの説明は、当大学の特殊で革新的な教育がいかに注目されているか、
その創立の意義などから始まりました。

古い映画のポスター風の「大学ができます」というお知らせがユニークです。

専攻は電気・コンピュータ工学、機械、工学一般の三種類。
工学一般はバイオエンジニアリング、コンピューティング、デザイン、
材料科学、システムなどに分かれます。

工学教育におけるコミニュケーションやチームワークを重視しているのも特徴です。

工学、といっても、アーツ、ヒューマニティ、社会科学、起業の要素の融合させ、
学生がここで学んだことが社会に即役に立つことを目標としています。

オーケストラも「クラブ活動」の域ではなく、授業の一環として重視されています。

「スポンサー」というのは、この大学に1年あたり5万ドルを供出する企業です。

そのお金は学生のプロジェクトに充てられ、学生はスポンサー企業と連絡を取り合って
企業の求める研究や商品の開発を行うのです。

面白いのはそこで終わるのではなく、それらの市場におけるニーズ、
ビジネスとして成立するかについても分析を行います。

そんな大学ですから、卒業後の進路はよりどりみどり。
109の会社がリクルートに訪れた、とありますが、卒業生はせいぜい80名。

いかにこの新設大学卒業者が企業側からも嘱望されているかがわかります。

そんな大学ですから、学費が高くて当たり前。
というか、高いので有名なんだとか。

しかしこれは額面で、奨学金で半分は賄えるそうです。

説明の後は他の大学のように現役学生が案内するツァー開始です。

合格する学生の学力は大変高く、SATスコアはMITやカルテックレベルとか。
右側の男子生徒はジョージア工科大学にも合格したそうですがこちらを選んだそうです。

女子の方は『家から近かったから』。

学内どこに行ってもこのような、雑然としながら秩序のあるクリエイティブ雰囲気があります。

彼らの説明によると、ビリヤードは彼らに取って非常に意味のあるホビーなんだとか。

ラーメンを食べているプシーン猫のイラストを目敏くを見つけて写真を撮るわたし(笑)

椅子や机はあちらこちらに配置され、ソファーがあったりして実に自由な空間。
どの机の上も何かの途中で席を立ったようにモノが放置され、
潔癖症なら気が狂いそうになるかもしれません。

ここはなんと「ライブラリー」ということになっている部屋。

吹き抜けの空間を臨む腰高の仕切りにはコンピュータデスクがありますが、
そこに向かっている男子生徒は裸足で、右足を左脚の膝にかけ、
一本足の姿勢で立ったまま、ずっとコンピュータに向かっていました。

なんかとにかく凡人じゃないって感じ。

というわけで大変印象的な大学見学は終わりました。

この周辺には東部の名門カレッジが多くあり、当大学は大学間の
相互乗り入れや共同講義を行っているということです。

住んでいた時代からお気に入りだったベーカリーの支店がここに。


西海岸でも大学見学を行いましたので、後半はそのご報告です。