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始まりからへり火力まで〜平成29年度富士総合火力演習

2017-08-30 | 軍艦

平成29年度富士総合火力演習が始まりました。

この総火演、実は8月いっぱい、ほぼ一ヶ月行われていて、皆が見ることのできる
公開展示演習は、その締めくくりという位置付けとなっています。

つまり、同じ公開は公開でも、平日に行われるのは富士学校主催の
名目上一般非公開の演習(団予行、学校予行、教育演習)。

一般非公開とは「隊員家族や防衛団体、その他招待客のための公開」という意味で、
ハガキで申し込む日曜日のいわゆる本番が、陸上幕僚監部主催による「公開演習」です。

日曜の公開演習は陸上自衛隊の広報活動の一環でもあるので、
どんなに人が大勢詰め掛けて会場が大変なことになったとしても、
陸幕がこのチケット数を減らすことはおそらくないだろうという話です。

もう一度装備展示からになりますが、前回は予行、今日は本番です。

まずは中遠距離火力、つまり特化火力と迫撃砲などの展示です。

最初に203ミリ自走榴弾砲が迷彩メイクを施した砲手を乗せて入って来ると
キタキタ!と心が沸き立つのはわたしだけではありますまい。

せっかくなので車上のみなさんをアップにしちゃう。
右目だけメイクしていない人は、スコープを覗く役目があると思われます。

155ミリ自走榴弾砲もすでに到着しています。

発砲による後ろへの反動を受け止めるためスペード(駐鋤)を地面に固定します。
実際の映像を見ると、射撃の瞬間激しく後方に全体が揺さぶられますが、
固定された足元はびくともしていません。

着弾の瞬間。

弾丸威力の違いを見せるため、続いて155ミリ砲が発砲します。

わたしの席からはちょうどFH70が弾薬車に遮られていて準備が見えませんが、
装填し終わると弾薬車は移動していきました。

それにしても弾薬車の助手席ドアって高くて乗り込みにくそう・・・。

射手(射手席に座って後ろを振り返っている人)は、手前の合図係が
赤い旗を持った手を振り上げると、それを合図に射撃を行います。

FH70の射撃時の写真に炎が写っているのを撮ったことがありません。
いつもこのように三方向から真っ白な煙が噴き出します。

20榴と同じところに着弾しますが、少し控えめな爆破力です。

 

さて、曳火射撃で横一列に並べたり、富士山を描いたりする同時弾着射撃を
自衛隊ではTime On Target、TOTといいます。

「こちらFSC、対TOT 富士、発動!」(と聞こえた)

そして冒頭写真の通り、本番は完璧な形を決めてきました。

リハーサルの時には頂上が見えているだけだった富士山が、
この時には風に雲が吹き払われ、ほぼ全容を現していただけに感動もひときわです。

初めて見る人はもちろん、周りの常連さんたちも思わず嘆声をあげ、
会場は一瞬そのどよめきに包まれました。

一人一人の声は小さくても、全員が同じタイミングで声をあげると
本当に「どよめき」になるのを、わたしは総火演で初めて知った気がします。

会心の富士を描くことができ、おそらく達成感に包まれての陣地変換準備。
FHの砲身の向きは人力で変えることを知りました。

車に乗り込むのにも、周りの警戒を怠りません。
陣地変換を行うのは、敵からレーダーなどで標的となるのを避けるためです。

続いては迫撃砲と対戦車誘導弾の装備展示に移ります。
120ミリ迫撃砲を牽引したトラックを運輸してきました。

ヘリ後部から降りてくるとき、皆頭をぶつけないように姿勢を低くして、
乗員のうち二人が地面に降りて周りを警戒します。

後ろ向きの隊員はヘリ乗員で、背中に垂れているのは安全ベルトだと思われます。

銃を構えながら狙撃地点に移動。

こちらでも車に牽引された120ミリ迫撃砲の準備が始まりました。

今回の場所は会場のほぼ中央ですが、迫撃砲に関しては前回より遠くなり、
あまりちゃんとした写真が撮れませんでした。

迫撃砲は砲弾を上に向けて撃つことで、弾道が山なりになるため、
山や建物の裏側に隠れている敵を制圧することができます。

射撃が終わり、陣地変換のための撤収準備を速やかに行います。
装填する砲手が砲を車両で牽引するための先端の装具をつけています。

続いて対戦車部隊の対戦車誘導弾の展示があります。

通称「チュウタ」の紹介では、連続して3発弾を発射しますが、事前に

「短時間に3発発射いたしますので見逃さないようご注意ください」

とアナウンスされます。

弾体が発射される筒の後部から装填されたところを覗くと「シーカー」という
目標を捜索、発見、そして識別する索敵装置が見えます。

赤外線誘導方式を持つチュウタのミサイルは本体にシーカーが搭載されています。
3発の弾は、同時に撃ちながら全く違うところにそれぞれ着弾させることができます。

 

続いて近接戦闘の射撃です。

指向性散弾のリモコンスイッチ発動。
風船係の隊員さんたちが苦労して設置したバルーンが一瞬で破裂。

続いて対人狙撃銃によるの狙撃です。
ギリースーツを身につけた二人の狙撃手が赤いヘルメットと二人一組で狙撃を行います。

いつも標的は車の中に書かれた人ですが、前回これが倒れなかった気がして

「木曜日これ命中しましたっけ?」

と横の人に尋ねて見ると、やっぱり当たらなかったという答えでした。
今まで外したのを見たことがなかったので少し驚きましたが、
今日は本番なのできっちり当てて来るはずです。

二人の狙撃手が同じ目標を狙うので、命中の確率は高くなるとはいえ
・・・お見事です。

狙撃地点から目標までの距離は800mです。

軽装甲機動車、愛称「ラヴ」がA道に入って行きました。

フィールドから黄色い風船を狙うのは96式装輪装甲車、通称WAPCです。
擲弾銃だけでなく、ブローニング重機関銃を搭載しています。

ちなみに今この時、車内には6名の男性が乗っています。
この気温で重装備、膝がくっつかんばかりの狭い車内・・・。
考えただけで汗が噴き出しそうですが、車内には最大8名乗せることができます。

コンバットタイヤを8輪装着していて、たとえ全部パンクしても
走り続けることができます。

まず96式40ミリ自動擲弾銃が敵歩兵に見立てた黄色い風船を狙います。

擲弾は目標そのものというより、目標付近で破裂して、相手を殲滅します。

続いて同じWAPCが12.7mm重機関銃を撃ちます。
三箇所に銃弾の曳光が写っているのがお分かりでしょうか。

小銃小隊は下車戦闘に移行し、徒歩部隊が06式小銃擲弾で青い風船を撃破します。
擲弾ですので、これも山なりに撃って破裂させそこにいる敵を制圧するものです。

撃ってから着弾するまでだいたい10秒くらいかかります。

手前にある黄色い風船は、小銃の的となってこのあと破砕される運命。

 WAPCの車上から84ミリ無反動砲、カールグスタフで射撃。
個人携帯無反動砲は、対戦車、対人、夜間照明、発煙など多機能に使用できます。

今回は対戦車擲弾を撃ちます。

擲弾が空中で破裂した瞬間。
この火玉の形、とにかく破壊力がありそう。

ドウン!と音がして、周りが凄まじい爆風で土を巻き上げているのが見えます。
対戦車榴弾は、コンクリートなどの構築物に対しても使用されるというのがわかりますね。

このあと無反動砲は同じ地点に発煙弾、そしてマルヒトATM、
(01式軽対戦車誘導弾)つまり追尾式の打ちっ放しミサイルの展示を行いました。

89式装甲戦闘車、通称FVです。

これがドンドコと撃ってる時、隣の人が

「破壊力あるんですよね。35ミリ機関砲だから」

というので、ふと思いついて

「ストライカー師団の装甲車とかが積んでなかったですか」

と適当なことを言うと、

「エリコンなのでアメリカは使ってなかったと思いますね。
ドイツのゲパルト自走対空砲が積んでたかと」

「ゲバルト・・・学生運動ですかね」

節子それゲバルト(Gewalt=暴力)ちゃうゲパルト(Gepard=チーター)や。
欲望という名の電車ならぬ暴力という名の戦車(じゃないけど)などない。

草葉の陰からコブラが顔を出しました。
ヘリ火力展示の始まりです。

本番ではTOW(対戦車ミサイル)の発射の写真を撮り損ねました。

戦闘ヘリコプターAH-64D アパッチが30ミリ機関砲を撃ちます。
砲口から炎が噴き出す一瞬が撮れました。

薬莢も盛大にばらまかれています。

ランプの点灯している部分はわたしのカンに間違いがなければ
エンジンとその排気口なのですが、ランプがなんなのかはわかりません。

赤外線?(赤いから)

 

装備展示は続いて対空火力、戦車火力に入り、会場はいよいよ盛り上がってまいります。

 

続く。