先日、この日横須賀で見た護衛艦「ちびしま」について詳細に記述したところ、
読者のmizukiさん(セカンドライフ住人。oui oui主宰)から、
(たぶん)その功績にたいしなんと「ちび大和」を寄贈していただきました。
エリス中尉、これで名実共に夢にまで見た一艦の艦長となったのでございます。
そういえば「ちびしま」の主砲も大和と同じ46サンチ砲で、現代の護衛艦にしては巨砲、
すなわち小艦巨砲であるという点で「ちび大和」と同じ。
本ブログプロフィール写真をしばらく「ちび大和」で飾らせていただくことにしました。
本日画像はmizukiさんのオリジナルをモノクロにして往時の雰囲気を出してみました。
さて、カレーグランプリ会場を後にして、ヴェルニー公園沿いの歩道を行くと、
ロープで通行止めされたこんな埠頭がありました。
この岸壁からボートなどの乗艦することもあるのかもしれません。
先ほどまでいた「あしがら」と隣の「ちょうかい」が見えます。
「ちょうかい」の向こうの「くらま」は角度の関係で全く見えません。
そして、敷地をほぼ全域に渡って埋め尽くすカレー難民の群れ(笑)
ズームしてみました。
わたしが敷地内にいたころはこの付近には誰もいなかったはず。
カレーの列があれから伸びることは考えられないので、これはおそらく
「あしがら」の見学の順番を待っている列だと思われます。
やはり護衛艦上が過積載にならないように、入艦制限をしているのでしょう。
カレーが食べられなかったのでせめて護衛艦を見ようと
ここでも粛々と並ぶ日本人。
道の向こう側に見えるコンクリの塀は、「日米歴史ツァー」の説明によると、
かつてここが海軍工廠と横浜鎮守府の敷地であった時代、周囲を囲んでいた塀で、
横須賀駅から降りて海軍の敷地内にはいるには門衛のいるゲートを通ったのだそうです。
現在ヴェルニー公園になっている部分も全て軍港であったため、仕切られていたんですね。
雷蔵さんのレクによると、このあたりは海軍時代は錨地で岸壁はなかったとのことですが。
さて、わたしがここを歩いていたそのころ会場に続く路上では・・・。
その日この地から発信されたツィッターによると、この列は一時立体交差点を超え、
CoCo壱番屋の前を通り過ぎてさらに折り返していた。
彼らが場内でカレーが食べられると信じていたときには、たとえその前に列を作っていても
見向きもされなかったココイチであるが「カレーがなくなった」という情報が伝わってから、
民衆はその鬱憤のはけ口を求めて店内になだれ込み、今度はココイチに列をなしたと云う。
(横須賀軍港カレーの歴史・『自衛隊とカレー』第三章・護衛艦CGの阿鼻叫喚より)
このころ、時計は11時40分を指していました。
列は全く途切れることなく、それどころかヴェルニー公園から「横入り」
しようとする不逞の輩()もいたようです。
というのも、ハンドマイクを持って整理に当たっている自衛官が
「ヴェルニー公園からの列への割り込みはしないでください!
この列は後ろの方から続いています!
ルールを守ってお互い楽しく休日をすごしましょう!」
と演説していたので知ったのですが。
最後の
「ルールを守って楽しい休日云々」
は全くその通りだと思い、この自衛官氏の気の利いたアナウンス自体には
大変感心したのですが、それはともかく、それよりわたしはどうして彼らが
今から並んでもカレーを食べることはできない、ということを皆に知らせないのか、
この時点ではどうにも不思議で仕方ありませんでした。
おそらくそのことを何度も告知すれば、ヴェルニー公園からの「横入り」もないでしょうし、
何割かはあきらめて並ぶのをやめたであろうと思うからです。
基地から出て彼らと逆方向に向かって歩きながら、
「カレー、もうありませんよ」(ぼそっ)
ともしここで並んでいる人に告げたらどうなるかなあと考えたりしたわたしでした。
しかし、今にして思うのですが、もしかしたら自衛隊はこのイベントに
「素」でどれくらいの人が集まるのか取りあえず知るべく、
あえて告知をしなかったのではなかったでしょうか。
カレーが無くなったことを知らされずに並んでいた人々にすれば面白くないでしょうが、
その数を把握するのも今後の戦略上データとして必要なことと判断したため、
自衛隊はギリギリまで発表を遅らせたのでは・・・。
案の定、自衛隊にはカレーを食べ損なったかなりの人数が クレームの電話を
じゃんじゃん入れたらしく(笑)HPには当日の夜から
今回のイベントにおきまして、早朝から足を運んでいただいたにもかかわらず、
混雑による入場制限のため、会場内へ入場できないなど、
ご不便をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
以後は寄せられましたご意見を活かし、安全でより良いイベント開催となるよう、
改善させていただきたいと存じます。
とお断りが掲載されていました。
さぞかし多かったんだろうなあ・・・「寄せられましたご意見」。
ただねえ。
営利団体や商業施設ならば責められることでも、それが自衛隊ともなれば
別の観点から考えるべきではないかという気もするんですよ。
そも、このイベントの目的と云うのは決してカレーを売って儲けること、じゃないのでね。
何を目的にやっているかというと、このHPの最初にもこうありますが、
この機会を通じまして、艦艇乗組員の食を支える”給養員”という存在やその技量、
また艦艇での日常生活を身近に感じていただけたものと思います。
自衛隊について国民の皆様に知ってもらい理解を深め親しみを持っていただこう、
とまあこれが主眼なんですよ。
つまりカレーがなくなったからといって、中にも入らずとっとと帰られては
本来の自衛隊の目的からいって本末転倒なわけ。
だからこそ並んでいる列に運営はそれを伝えなかったのでしょう。
ただ、日頃お客商売から「お客様は神様」扱いされるのが当然と思っている一般人で
この辺りのことを理解した人間はあまりいなかったんじゃないかな。
HPからは海自の「寄せられましたたご意見」の多さとその調子に
なにやら少し困惑しているらしい様子が窺え(笑)そのように思った次第です。
左から「あしがら」「ちょうかい」「くらま」。
各艦の舳先のシェイプ、艦そのものの大きさの違いがよくわかる角度です。
歩道は基地に向かう人の列が続いていたため、わたしは途中で
ヴェルニー公園に降りてそちらを歩くことにしました。
ここにもたくさんの出店のテントが貼られ、皆列を作って並んでいます。
ここでも並ぶか・・・。
何のためにならんんでいるんだろうと見てみれば、こちらもカレー。
地元の海軍カレー本舗が、「一口100円カレー」をしていて、
その列に人々が並んでいるのでした。
一口と云ってもご飯茶碗軽く一杯くらいにカレーをかけたくらいはあり、
小腹の減っている人にはちょうどいいかもしれません。
それを横目で見ながら通り過ぎ、物販テントに来たとき
戦艦「三笠」のTシャツが売っているのに気づきました。
写真がボケてしまってすみません。
艦これの三笠さんを宣伝に使っているあたりが、経営者、
本日の客層を良く把握していると見た。
というか、本人も「そういう人」か?
わたしはここで「三笠」Tシャツを自分のために一枚購入しました。
ふと港湾に目をやると、米軍艦船のこちら側を見たことのある遊覧船が。
わたしが去年参加した「軍港巡りツァー」のフネです。
この寒いのに、表の観覧席は満員御礼の模様。
おそらく本日の解説員は本日の大イベント、カレーグランプリに付いて説明した後、
「自衛隊のカレーが食べられなかった皆さん!
ぜひ、帰りに横須賀名物海軍カレーをどうぞ。
ちなみにお土産にはどこどこ社の海軍カレーがおススメです」
とさり気なく宣伝をしたのに違いありません。
わたしが乗ったときにも、ある横須賀地元の海軍カレーの会社が
解説員に商品名を宣伝をさせているらしく、特定商品名を連呼していました。
米海軍の「フィッツジェラルド」と「ステサム」のところまで戻ってきました。
我が海上自衛隊の潜水艦は哨戒を終わったのか帰って来ています。
(朝は姿がなかった)
向こう側に繋留されているのは全て米軍艦船。
「マスティン」「カーティスウィルバー」「ラッセン」・・
そんなところでしょうか。
赤い幟には「よこすか」という文字が見えますが、
「MO」がなんの語尾なのかちょっとわかりませんでした。
さて、わたしはここで空いているベンチを見つけ、腰をかけました。
そういえばカレーを食べていないわたし、さすがにお腹がすいたので
ここでちょっとお昼ご飯にしようと考えたのです。
そのときに目の前には「100円カレー」の列が伸びて連なっていました。
皆ほんとうに並ぶのが苦にならないんだなあ・・。
全くわたしのような諦めの良すぎる根気のない人間には驚異です。
日本が超デフレにでもなって食べ物を買うのにも並ばなくてはならなくなったら、
わたしみたいなのはあっという間に生存競争に敗れて餓死してしまうんだろうなあ。
ここからなら護衛艦も見えるし、ランチにはぴったり。
何を食べたのか、って?
かじりかけの歯形が付いたものなんかアップしてすみません。
これは、場内の売店の「横須賀海軍カレーパン」です。
パッケージ4個入りをお茶と一緒に買っておいたので、ここで一つ食べてみました。
お味については明日ご報告するとして、写真のピントが靴に合っているので
全くイベントとは関係ないですが、この靴の話をしますと、
これはアメリカで買ったタニノ・クリスチーのブーツです。
日本ではあまり知名度がないメーカーですが、わたしは昔からこの
イタリアの手縫いの職人が作る靴に大変憧れていて、
「いつかはタニノのロングブーツを履いてみたい」
と思っていました。
ヨーロッパではチャールズ皇太子の御用達であるという話もあります。
ローマに行ったとき、千載一遇のチャンスとブティックを訪ねてみたのですが、
そのときには運悪く気に入ったブーツが(夏だったせいか)なく、
積年の願いは叶いませんでした。
その後すっかり忘れていたのですが、去年の夏、ボストンのニューベリーで
素晴らしく状態の良い中古のものを見つけました。
アメリカのブティックでも勿論初めて見たのですが、飛びつくようにして購入。
それが大当たりというか、大変履き心地も良く何時間歩いても疲れないので、
このようなイベントにも活用していると云うわけです。
わたしがタニノに憧れたのは、徹底した職人の技にこだわるメゾンだからですが、
最近は差別化の要、”HAND MADE ITALY"規格を守るため合理化ができないうえ、
若者の意識の変化で職人の数が減っていることからもより一層「幻のブランド」
となっているそうです。
死ぬような思いをして高いヒールを履く瞬間もあっていいと思いますが、
やはり自分にあった疲れないいい靴というのは、ちょっとした人生の宝です。
バランスの悪い安い靴はおそらく歩きにくいでしょうし、
せっかくのきれいな足も台無しにしてしまうこともあるのだと、
若いうちは気づかないことも多いのですがね。
わたし自身数多くの失敗を重ねたから言えるのですが。
さて、まったくの蛇足(文字通り)はそこそこにして。
ここでカレーパンをかじっていると、目の前を水兵さんたちが通りました。
今から基地まで歩いていくのでしょう。
一目見るなり、彼らがいかにも昨日今日から着ているような制服、
新しい靴や鞄 に身を包んでいるらしい雰囲気が見て取れました。
以前、曹士の制服は使い回しで中古を着ることもあるのだと聞いたのですが、
少なくとも彼らは全員がピカピカした新品で身を包んでいるようで、
正帽の後ろのリボンもしゃきっとしています。
何と言っても、全員の佇まいにまだ制服を着慣れていないぎこちなさがあり、
態度も何となくおずおずとしたものが感じられます。
「ははあ、この春入隊の海士くんたちだな」
そう思って腕の階級章を見ると、赤い桜に線一本。
やはり全員が二等海士、おそらく新兵さんたちでした。
カレーイベントの手伝いをするわけでもなく、どうしてこの時間に
基地に向かっているのかは自衛隊の勤務の内容が全くわからないので謎ですが、
「潮気のついた粋な水兵さん」
という様子からはほど遠い、実に初々しい雰囲気を漂わせて歩いている彼らに
思わず微笑んで、
「頑張ってね」
と心の中で声をかけていたエリス中尉です。
続く。