前回出し惜しみした写真、「トウチくん」の後ろ姿です。
やっぱりこういうのを着ていると中の人は足元見えないんですね。
付き添いの女性自衛官が優しく丸い胴体に回した手に配慮を感じる。
このトウチくんですが、やはり地本の回し者じゃなくてキャラクターなので、
この一体で「陸海空」の全てを体現しているそうです。
いわく、
そのしなやかな翼は「空」を!(これはわかる)
しっかりしたその脚は「陸」を!(これもなんとなくわかる)
そしてその丸いボディは「海」を!(なんでやねん)
ということなので、トウチくんはその日の出撃場所によってコスチュームを替え、
あるときは空自、あるときは海自の制服(陸自の制服バージョンもあり)に
身を包んで各自衛隊イベントに降臨するのでした。
驚いたことに東京地本はゆりかもめの雌も飼っていて、名を「さくらちゃん」といいます。
この日はサイポン(埼玉地本)とか千葉衛(千葉地本)とか、
関東一円の地本から代表選手が送り込まれていましたが、各地本一体じゃなくて一匹?
一羽?という制限があったためか、「さくらちゃん」はいませんでした。
87式偵察警戒車
建設機械、重機機の小松製作所、コマツが製作しています。
この小松製作所という会社、建設機械のシェアは日本1位、世界でも2位。
世界的トップ企業の一つと言っても差し支えないくらいの会社なのですが、
この会社のルーツを遡れば「海軍」から始まっているのをご存知でした?
もともと石川県で銅山を経営していた竹内明太郎(吉田茂の実兄)が
小松町に「小松鉄工所」を開設したのが小松製作所の始まりです。
大東亜戦争が始まってから、海軍があるとき米軍のブルドーザーを鹵獲(ろかく)し、
日本でも同じものを作るために同社に研究開発用として送られて来たのが、
ブルドーザーと小松製作所の関わりの始まりだったのだとか。
このような因縁があるからこそ、重機機器のトップメーカーとなっても
コマツは防衛省向けに
82式指揮通信車
96式装輪装甲車
軽装甲機動車
60式自走無反動砲
施設作業車
化学防護車
NBC偵察車
などの装備を提供しています。
関連企業を含めて退職後の幹部自衛官の天下りが多そうです。
87式偵察警戒車は防衛省の愛称「ブラックアイ」。
しかし案の定現場では「RCV」で通っているそうです。
偵察車ですからペリスコープやTVカメラは勿論、微光暗視装置を搭載し、
車体と砲塔は圧延防弾鋼板の全溶接構造となっています。
定員は偵察員2名を含む5名。
軽装甲機動車
堂々とよそ見をするな隊員(笑)
諸元については上のコマツが防衛省に納入した装備の欄を見て下さい。
愛称「ライトアーマー」。
でも部隊内での呼び名は「ラブ」。
もしかしたらあれか?
お上の付けた愛称をそのまま使うのは沽券に関わるとかそう言う問題?
陸自と言えばジープ、というイメージがあります。
東名高速で御殿場に通っていた頃、三回に一回くらい、途中のPAにオリーブドラブ色の車が
停まっていて隊員さんが休憩していたものですが、 たいていはジープでした。
最近はジープに代わってこれが配備される動きが有るというのですが
使用部隊からは
「車体が大きくて重い」
「フロントガラス中央のピラーのためドライバーの視界が悪い」
「エンジンがうるさく、振動が大きく、椅子が悪いので疲れる」
「目立つのでコンビニに行けない」
などの不満がでているそうで・・・。
もっともジープもこれまたエアコンが効かないなど、不満点がないわけではないみたいです。
軍隊の車にラグジュアリーな乗り心地を求められても、って気もしますが、
まあ、隊員の気持ちはよくわかる。
平和な日本の軍隊では戦地における実用性より日々のストレスの方が問題だってことです。
これからは高速で自衛隊の車を見かけたら温かいじゃなくて暖かい目で見守ろうっと。
なんと、アメリカ海兵隊からの装備展示もありました。
さすがは同盟国じゃ。
海兵隊と陸自?と思われるかもしれませんが、我が国のマスコミは決して報じないものの、
両者は島嶼防衛に特化して共同で演習をしたりしているんですよ。
このページを見ていただければ分かりますが、訓練風景は全員が笑顔、
実に和気藹々とした感じです。
小道具のペルシャ絨毯に中国段通も加えてもらえると助かるかな。
この展示スペースではどうやら通訳として写真の女性隊員がつきっきりでした。
装甲移動車のようです。
型番などは写真を撮り忘れました。
暇なので三人でおしゃべり。
自衛隊の装備に立っている隊員と違い、実に適当です。
中を撮ってみました。
布の袋はマットやヘルメットが結んであり、各自の持ち物のようです。
こんなの持って歩くだけで大変だ。
ここにもいた、隊員と写真を撮りたがる女性。
軍人さんの方はちゃんと相手に体を傾けているあたりがかわいい。
銃の装備展示をしていたテント。
かつて銃弾の入っていない銃を市民に持たせたというので大騒ぎしていた団体が
ありましたが、全くこんな話を聞くとどこまで日本は平和ぼけしているんだと思います。
「自衛隊」が「憲法上存在してはいけない」というところに立っているから、
つまり銃などの武器も「日本にあってはならないもの」=「悪いもの」扱いなんですね。
彼らにとって銃は人を殺すためのものでしかなく、国民をいざというときに護るものとは決して考えない。
そもそも自衛隊に対してもそういう認識でしかないのですから。
そうやってただひたすら自衛隊とその「武力」を忌み嫌い、
そのくせ自分たちが災害にあったら便利屋よろしく自衛隊が来るのが当たり前だと思っている。
中には救難活動に対しても存在が違法だとして抗議する異常な集団すらいたといいます。
たとえ「そんな人たちも助けるのが自衛隊だ」と任じていても、
たとえ吉田首相の言った「諸君は日陰者」を任じていたとしても、彼らも人間。
「どうしてここまで自衛隊に悪意を向ける連中を助けなきゃならないんだ」
というような反発が渦巻く瞬間があったとしても誰が責められましょうか。
しかし、そういう「ノイジーマイノリティ」の声だけが一見喧しい日本でも、
だからこそ自衛隊の活動を知り理解してほしいと活動を続ける人たちもいます。
そのうちの一人、元自衛隊員の佐藤正久議員が靖国神社の講演会で語っていた
東日本大震災の一つの逸話をここに書いておきます。
”そのとき自衛隊員たちによって発見された幼い我が子の亡骸を抱きかかえ、
母親は優しくこう声をかけたのだという
「今度生まれ変わったら自衛隊に入れてもらってたくさんの人を救おうね」
そこにいて彼らを見守っていた全自衛隊員はその言葉に号泣した—”
寄り道になりましたが、先ほどの写真は89式5.56mm小銃。
こちらは9mm拳銃です。
なにやら熱心な質問者に愛想良く答える隊員。
しかし基本的に皆さんひたすら陰のようにひっそりと配備についている風情。
この9mm機関けん銃(なぜ拳を平仮名にするのかなぞ)の前の隊員も、
まるで置物のように視線も動かさずに佇んでおりました。
こんな日だからといって自衛隊に好意的な人ばかりが訪れるのでは有りません。
いつぞや「民間人に銃を持たせた」と騒いだ左翼も、やはりこういうイベントで
何か糾弾の種がないか目を皿のようにしていて見つけたんでしょうし、
自衛隊側としてはそれを何より痛感していますから、この警備の隊員たちにも
さぞかしいろんな注意がなされているのではないかと言う気がしました。
ところで、この9mm機関けん銃ですが、防衛省なんとこの愛称を一般公募しています。
自分たちがかっこいい名前をいくら考案しても
現場で使ってもらえないのに業を煮やしたのかもしれません。
防衛省が当初つけていた略称はM9。
長野県にあるミネベアという会社が製作したので「M」とつけたようですが、
一般公募で採用された愛称はというと、
M9(エムナイン)。orz
これ・・・・わざわざ一般公募する必要があったんですか?
最初から防衛省愛称「エムナイン」でよかったのでは。
それとも、お上が押し付けると現場は反発して(たぶん)意地でも別の、
「ミネベア」とか「9mm砲」とかいう名前で呼ぶであろうことを想定し、
「上からではなく、国民の皆様が決めたありがたい愛称だから、使え」
というためにわざわざ一般公募したのでしょうか。
この、「防衛省公認愛称と現場での呼称の異常な不一致問題」に
今日もおそらく国民でただ一人、エリス中尉だけが深い関心を寄せております。
このような天幕も張られていました。
これは救護活動セットで、災害派遣時の応急処置および治療のため
必要な機能を有する装備です。
後方支援連隊衛生隊等が被災地において使用します。
構成品は治療機材、収容機材、後送機材、および保管用機材。
入ってみることにしました。
必要な道具がけが人のダミーとともに展示されています。
テントの中なのに、床面も完璧に覆われているのに注目。
テントには蛍光灯を吊り下げるための金具も最初から装備されています。
患者掌握板、として各負傷者の状況を書くボード。
なのですが、このとき例として書かれていた情報が・・・。
階段から転落
家屋から転落
高所落下
って・・・・・、なんで皆そろって高いところから落ちてばかりなんだよ。
これはおそらく展示のための「仮定」とはいえ「火傷」とか「建物と壁に挟まれて」
などという、具体的な記述は憚られたからかもしれません。
(どんな細かいことでいちゃもんを付けて来る基地の外の人がいないとも限りませんし)
それで、どういう状況かは全くわからないけど、皆が高所から一度に落ちる災害だった、
ということにしたのではないでしょうか。
苦労かけるねえ・・・・・全く。
中でも一番下の、高所から落下した人は重篤で、開放性気胸、
つまり胸壁が損傷されて穴があき,外界の空気が胸腔内に入ったということですから、
区分「赤」、つまりトリアージでいうところの
「生命の危険が有るが 治療を施せば延命の可能性がある」
のタグをつけられています。
(ちなみに軽症から緑、黄色、赤となり死亡者は黒です)
「処置」の部分に「3辺テーピング」と書いてありますが、
開放性気胸の場合最も適切なのがこの3辺テーピングで、なにをするかというと
損傷部に四角いビニール片をあて、そのうち一辺だけを残し3辺をテーピングで塞ぐというものです。
まるで医学の教科書のお手本のような症例が書かれていて、面白かったです。
というわけで高いところから皆が落ちる大災害が起こり(笑)
搬送されて来た負傷者の皆さん。
しかも落ちたのがなんでみんな陸自の隊員なんだよ!
とツッこんではいけません。
自衛艦にひっそりと吊られている溺者訓練用の「カイジ」(エリス中尉勝手に命名)
のように、彼らはあくまでもエキストラです。
これらは後送用、あるいは負傷者保護用の担架で、オレンジ色のは
釣り上げ用運搬具
人命救助システムの万能運搬具です。
倒壊した家屋や崖崩れ、狭い場所、高所への吊り上げや高所からの懸垂降下、
凸凹な地形での搬送作業など、様々な救助現場に対応できる安全な応急担架。
その向こうが
減圧固定担架
怪我人を担架に乗せたらその下側にある下布団部分(粒状のビーズがぎっしりと入っている)
の余分な空気を抜き(抜気)し、下布団部分を怪我人の体に合わせた形状に固定する担架です。
最近お米なんかの袋はガチガチで、ハサミを入れたら「ふしゅううう」となりますが、
その反対ですね。
これはちゃんと空気を抜かないと吊上げ時に中央から「く」の字に折れてしまうそうです。
そしてえんじ色の耐圧スーツみたいなのには
ショックパンツ
岩国基地に海兵隊のホーネットドライバー、ブラッドを訊ねていったとき、
彼の「洗濯していない耐圧スーツ」を息子が着せてもらったことが有りますが、
似ているのも道理、あの耐Gスーツを医療用に改良したもので、
この「ショック」は出血性のショックを意味します。
ショック状態を起こし血圧が降下した傷病者に対し、下半身の血液を特に重要な臓器
(脳、心臓など)へ送り血圧を上昇させ様態を安定させるために用いられます。
パイロットの飛行中のブラックアウトも下半身に加圧することで
脳への血流を確保するという仕組みですね。
写真の一番向こうはちゃんと写っていませんが
全脊椎固定具
見て字の通り、脊椎を固定したまま搬送するための担架です。
自衛隊朝霞訓練場装備シリーズ、続きます。