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護衛艦カレーナンバーワングランプリin横須賀~「こんごう」乗艦

2014-04-23 | 自衛隊

護衛艦「あしがら」に続き、護衛艦「ちびしま」を見学したわたしは
続いて「こんごう」に向かいました。
冒頭画像は「こんごう」で遭遇した「巡回」の腕章を巻いた自衛官。
インカムに両足に巻いたベルト(銃ホルダー?)がかっこいいっす。
写真を撮らせてもらったあと、心に感じたままに

「かっこいい!」

と口にしたところ、さわやかに

「ありがとうございます!」

とお礼が返ってきました。
最近独身のときには照れ、恥じらい、相手に勘違いされないかというためらいから
まず言えなかったこの手の褒め言葉が遠慮なく口を突いて出て来るようになりました。

これも一種の成熟、いや老成?・・・もしかしたら単にあつかましくなっただけ?



ところでこの日、わたしは当初自衛隊の中に知り合いがいる方から

「一般公開以外の艦に乗せてもらうかもしれないので、ご一緒しませんか?」 

とお誘いを受けていました。
そういう「特別扱い」が大好きな(笑)わたし、この願ってもないお申し出を
二つ返事でお受けしたいのはやまやまでしたが、涙をのんでお断りしました。

というのも、いつもは

「自衛隊イベント?ふーん、一人で行ってきたら?」

という態度の家族が、「カレー食べ比べ」と聞いたとたん文字通り食いついて来て、
家族で行く予定になっていたからでした。

ところが前々日になってわたしが確認すると、TOは

「あ、手帳見たらその日なんちゃらクラブの親睦旅行入ってたわ」

じゃ息子と二人か、と思ったところ、前日になって

「カレー食べたいけど並ぶんだったらパス」


 「・・・・・」  (ー_ー#)


そんなことなら最初から行かないと言ってくれてると助かったかな。



さて、というわけで「こんごう」に乗艦するところからです。



なんだか今風ではない、温泉旅館の屋号のような看板が。
「こんごう」はこんごう型の1番艦で、就役は1993年、もう11年前ですから、
そのときに作った看板が古びて貫禄がついてきたのでしょう。

旧海軍の「金剛」は初代、二代目とも英国に発注されたものですから、
戦後になって建造されたこの三代目が、初の国産「こんごう」となりました。

因みに初代「金剛」は、1890年、日本で座礁したあのエルトゥールル号の
生存者を乗せてトルコのイスタンブールに「比叡」とともに航海をしています。



舷門で乗艦者をお迎えする乗組員たち。
ちょっとこの敬礼をしている士官と下士官をアップにしてみます。



右が幹部、左が海曹なのですが、海曹が首から下げているものに注目。
これは

サイドパイプ

ではありませんか!
こんなときにも万が一偉い人(隊司令以上)が乗って来た場合、
舷門送迎の「ほーひーほー」をやらなくてはいけないからですね。



以前、サイドパイプについて書いたときに、この
YouTubeを
紹介したことがありますが、この映像に対し、

「サイドパイプは地本の偉い人に対して吹かれたのではないか」

というコメントを頂きました。
この機会に訂正させていただきますと、サイドパイプは

海上自衛官と総理大臣、防衛大臣等将官に相当する政務官にたいしてのみ

吹鳴されるものなので、たとえ陸上幕僚長が乗って来るようなことがあっても
その対象ではないため吹かれることはありません。

このときは掃海艇「のとじま」に、地本の公用車の支援を得て帰還した、
第41掃海隊司令に対して吹鳴されたとのことです。



さて、「こんごう」の上甲板です。



休憩中、カレーの列を眺めながらたそがれる「あたご」乗組員。



甲板は少しずつ人が増えて来ています。
かつて「ちびしま」に乗って修繕科に悲鳴を上げさせたに違いない人もいます。
(前エントリ『護衛艦ちびしま』参照)



左の隊員のいでたちは作業艇に乗るための装備でしょうか。

それにしてもこのグレーのエアベストとヘルメット、
付けている人のスタイルがいいせいか妙にかっこ良く見えますね。

首回りが防護されているので乗馬の安全ベストにも使えそうだなあ。
まあ、わたしがやったような手首の骨折は全く防げませんけど。



先日、謎の文字「X」について書いたところ、

艦内閉鎖記号といい、合戦準備すなわち哨戒配備になると
これの書かれたハッチは常時閉鎖となる」

とさっそく読者の方に教えていただきました。
続いて今度は「Y」が発見されました。

先般の謎の「X」の文字の下には

(整) 射撃

(閉) 同上

という表記がされていました。
射撃、つまり合戦準備のときに閉じる、という意味でしょう。

それではこの謎の「Y」は?



むむっ。機密の匂いがする。

おそらくこのドアも「X」と同じく「何か」のときに「閉じる」わけですが、
その「何か」を表す部分ににわざわざシールを貼られている・・・・。
しかも、ドアに2カ所ある「Y」はどちらも同じ部分が隠されています。

ここに一般国民の目から隠さねばならない重要な言葉が書いてあったのでは?

・・・・・考え過ぎ?



思いっきりアオリでオトーメララを撮ってみました。

この艦載速射砲システムは、砲塔内は無人ですが、下部(つまり下の階)に、
揚弾ホイスト専用の給弾員が最低2名は必要なのだそうです。
弾込めを今日でも人力でやってしまっているってことですね。
1分間に45発も、こんなかんじのが



(これは「あしがら」の5インチ砲の砲弾で、大きさはこのオートメララと同じ)
発射されるんじゃ、弾の補給も大変ではあるまいか。

と思ったらやっぱり、

最大発射速度で発砲する場合、8名が配置される」

ということです。
前回この画像を挙げたときには気がつかなかったのですが、
この右側の金色のは薬莢なんですね。

薬莢はこの砲身下部の排出口より排出されます。



多足類みたいにこのまま動き出しそうに見えるのはわたしだけでしょうか。



オートメララの解説ビデオ。
英語ですが、図解が分かりやすいのでぜひ見てみて下さい。
発射のとき

「チンクエ、シンコ、クヮトロ、トレ、ドゥエ、ウノ、フォーコ!

で発射しているのがイタリアンな感じです。って皆イタリアンですが。
「フォーコ」は音楽用語でも「コンフォーコ」(火を持って、激しく)
というのがありますが、これは英語の「ファイアー!」に相当します。

しかしなんかイタリア語の号令って、しゃきっとしませんなあ。
これがドイツ語なら

「ジックス、フュンフ、フィア、ドライ、ツヴァイ、アインス、フォイヤー!」

うん、かこいい。
じゃーフランス語は?

「シス、サンク、キャトル、トロワ、ドゥ、アン、フュー!」

 うーん全然だめー。



「こんごう」の横に係留されていた「あたご」の5インチ砲。
「あしがら」は「あたご型」の2番艦ですので、同じです。



さらにその向こう。
実はこの艦名を確かめるのを忘れたのですが、このタイプ
(おそらくコンパット・オトーメララ76mm)を搭載しているのは
「あさぎり」型か「むらさめ」型(等)なので、きっと

「はるさめ」か「むらさめ」か「あまぎり」のどれか

だと思います。全然特定できてませんけど。



アスロックの向こうに私用(かどうかはわかりませんが)電話する幹部発見。
携帯電話での通話は特に禁じられてないんですね。



カレーの列を眺めながらたそがれる隊員その2。



「こんごう」は、艦橋の窓に海将補旗を貼っていました。

当該職にある指揮官たる将官が乗艦する際にマストに掲揚したり」

ということになっているので、海将補がこの日乗艦していたのでしょうか。


冒頭写真の隊員と同じ制服だと思われます。
こういうとき熱心に質問をしているのは年配の男性が多いですね。



子供を座らせて記念写真。



「こんごう」の甲板から下を見ると、このときにはすでに列が
三重くらいになっていました。
ここを三回往復するということでいいですか?



会場にはカレーの匂いが立ちこめています。
しかしいろんな意味でこのイベントは、今の日本のひとつの象徴だと思いました。

軍港に、このあとの大規模訓練が真の目的とはいえ集まった軍艦が、
艦の威信をかけてカレーの人気コンテストに腕を競い合い、
さらに国民は大挙して押し寄せ、しかし混乱もなく整然と、列を作って
1時間も2時間も、実に楽しそうに一皿のカレーのために並んで待つ。

このような現象を全て満たすイベントが行われている国が世界のどこかに存在するなら
きっとその国は平和なのに違いない、と誰もが思うでしょう。

この列を眺めながら、そんな日本に生まれたことを感謝したわたしでした。



さきほど見学した「あしがら」の隣の「ちょうかい」。
停泊中作業艇は降ろしておくんですね。



お約束、隣の艦との間を写真に撮って・・。



展開式の救助筏。
これは乗組員に聞いたところ「水に落ちれば展開する」とのことでした。
先般の韓国でのフェリー船事故で、展開したボートが2つか3つしかなく、
そのうち一つは船長が乗って脱出したというのは、我々日本人に取ってショックな事実でした。

見知らぬ誰かを救うために、自分の脱出を遅らせてその結果亡くなった、
あのTー33のパイロットたちの話に、防大の卒業式であらためて首相が触れたように、
わたしたちはそういった自己犠牲を尊いと思い、彼らのようにできるかどうかはともかく、
自分の与えられた任務を全うすることを当然という教育を受けて来ています。

ですから、自分たちの退路を確保するために300人もの乗客を足止めし、
船内に閉じ込めたまま、自分たちのためだけに救命ボートを展開して逃げた韓国人たちに

「やはり我々とは根本的な何かが違う」

と薄ら寒い不快感を感じた日本人は多かったのではないでしょうか。

全く同じ日に隣の国で起きていたこの地獄図のような事故と、対照的な、
あまりに対照的なカレーの列を見て、わたしはまたもこの言葉を思い浮かべました。

「日本人に生まれて来てよかった」





暗い通路で画像がぶれてしまいました。
「ミズヲカケルナ」となぜかカタカナで書いてあります。
担架かな?



イメージフォト「護衛艦の朝」。

朝起きたらまず体操、それから掃除を行います。
ここに用具がきちんと整理整頓されて収納してあります。

少し分かりにくいですが、左のボンベは窒素で、
オイル火災のときの消火用です。



通路を出ると、隣の艦の舷門をラッタルでつないだ部分が見えてきます。
おとなりは「あたご」。
長いラッタル用だけでなく、接続ラッタル用の小さな艦名幕もちゃんとあります。



舷門がつながっているからといって入っていけると思う人が
後を絶たないので、常時二人が見張りに立っています。



そこで左上を見ると、ハープーンミサイルが。
写真を撮り忘れたので『あしがら』の90式対艦誘導弾SSM−1Bの写真をどうぞ。



公開用の説明板はどの護衛艦も用意してありますが、
「ハープーン」のロゴがちょっと訳ありなので写してみました。
このロゴを右から左に銛が撃ち抜いている意匠ですが、「ハープーン」
というのは「捕鯨の銛」という意味なのです。

メルヴィルの小説「白鯨」が生まれたように、アメリカでも昔は捕鯨が盛んだったんですね。
ちなみに小説「白鯨」で、最後にエイハブと白鯨の「モビィ・ディック」が死闘を繰り広げ、
その結果銛を白鯨の背に突き立ててエイハブ船長が沈んでいったのは、他ならぬ

日本海( JAPAN SEA)

だって皆さん知ってました? 

 

護衛艦「ちびしま」でも説明したHOSー302がこちらにも。
説明しているのはあのパプリカ王国のピクルス王子です。
 
この写真を見て、近くにいたおじさんが

「うわ、これ撃ったらこんなのが飛ぶの?!」

と心から驚いていました。
まあ、武器ですからね。


「さわらないでね(はーと)DANGER」

と書いてあります。
ロックとかあると思うんですが、案外簡単に解除できてしまうものなのかもしれません。



「危険ですから登ってはいけません」
こちらもあくまでも丁寧口調です。



後甲板に出ました。
隣の「あたご」の後甲板越しに「いせ」が見えます。
このとき海自は訓練のために横須賀に集結していたのですが、
幹部会合や会議は広い「いせ」で行われたそうです。
そしてこういうときも各艦乗組員は自艦で寝起きしますが、
それ以外の自衛官は皆この「いせ」に宿泊していたのだと聞きました。

そして、この「カレー頂上決戦」以外にもこういうときには各艦対抗で
サッカーなどの試合をしたりするのだそうです。



一番手前は補給艦「ときわ」、その向こうが先日「ふゆづき」と一日違いで
自衛艦旗授与式を行った「すずつき」です。

これだけの護衛艦が一堂に会している様子が見られただけでこの日は満足でした。



撮られているとは夢にも思わず埠頭を歩く自衛官たち。



艦番号116は「てるづき」。
「あきづき」型の2番艦で、もともとここ横須賀が定繋港です。
向こうに停泊しているのは全く同型艦なので、これが「ふゆづき」でしょうか。
シンクロニシティが半端なく美しいです。


「あきづき」型の新鋭艦、「すずつき」も「ふゆづき」も、
訓練に参加するためにここに寄港していますが、この「てるづき」含め。
「あきづき」型は4艦とも今回のカレーグランプリにはエントリしていません。

「あきづき」と「てるづき」も2012年、2013年就航と新しいフネですが、
「すずつき」「ふゆづき」はさらに、まだ就役して一ヶ月の護衛艦です。
新しい護衛艦の乗組員というのは、色んなところから寄せ集められて来たばかりで
ほとんどの隊員同士が初対面に近く、最初は新学期のクラス状態なのだそうですね。

つまり名前と顔が一致していない状態の1ヶ月を過ごして来たわけですから、
当然ながらまだ本艦のオリジナルカレーをどんなものにするか、などということを
話し合う時間など物理的にも全くなかったということになります。



このイベントの後、冒頭でも触れた「中の人と親しい方」
から聞いたのですが、
新しく自衛艦ができるとき、乗組員をどうやって決めるかというと、
(幹部は上が決めるのだと思いますが)曹・士は副長が声をかけて集めるのだそうです。 
勿論全員ではないと思いますが、これは責任重大ですよ。
どんな人材が集まるかによってフネの空気そのものが変わってきてしまいます。
雰囲気に始まって士気の高さにも大きく関わって来るのですから、
スカウティングはいわば「フネの運命を決める」ともいえます。

そう考えると副長というのは重責を負っていますね。


「こんごう」のデッキには、折りたたみ式のリヤカーがありました。
これも折りたたみ式であると思われます。
どう折り畳むかというと、底が山形に折れ、平たくなります。



「こんごう」の後甲板から「あしがら」「ちょうかい」を望む。



VLSの発射孔は、実はさわれます(笑)
因みにわたしはこの蓋を持ち上げられるか試してみましたが(試すなよ)
勿論びくともしませんでした。

後から考えると「あしがら」の乗組員に見られていたのはそのせいかもしれません。
 




謎の物体。
赤だから非常用の消火設備か何かかもしれません。



蛍光色のヨット発見。
これはアスロックの標的として使用するデコイです。
VLS(ヴァーティカル・ランチング・システム)の的ですから、
何十キロも先に浮かべておいて、その周囲に到達すれば「当たり」。
ピンポイントで落ちなくても、艦船というのは大きなものですから
「デコイを中心に(たとえば)80m以内で命中」という風に考えるそうです。

しかし、時々(というか結構ある、と説明の隊員は言っていた)このデコイに
ピンポイントで当たることもあるのだそうで、このヨットの船腹に大きな凹みがあったので、
わたしは

「これ、当たったあとですか」

と聞いたのですが勿論違いました(笑)
もし直撃したら粉々になってしまうそうで、結構な消耗品なのだそうです。

うーん、クリーンヒット、デコイ粉々がしょっちゅうあるとな。

自衛隊、さすがの練度といってもいいですか?
それともこのミサイルがそういうもので、誰がやっても百発百中なの?




「こんごう」の艦上を歩いて後甲板まで来たら、
カレーのテントがちょうど真横に来ていました。
こりゃーどう見ても4往復縦隊ですね。



地本の人らしき隊員が写真を撮っていました。

というわけで、一応見学できる艦艇は見たし、
そろそろカレーの列に並んでみようかな。

しかし間に合うかなあ。




続く。