イスラーム勉強会ブログ

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【稼ぎの徳とその勧めについて】②

2009年07月02日 | 求める者たちの道しるべ
※前回の、”稼ぎが含まれる売買契約は次の4項目が含まれているべきだ:①有効性、②公平性、③誠意、④宗教への同情。”の続き。

【公平性と、取引中の被害回避について】

 ②公平性と、売買取引中の被害回避(が売買契約に含まれるべきである)。「被害」とは、他人が被るものを指す。それは、その害が全般に及ぶものとそうでないものに分けられる。
  1.(全般に及ぶ害として)独占。価格上昇を招き、人々へ種々の品物が行き届かなくなるため禁じられる。
  2.及ぶ範囲に制限がある害。商品に存在しない性質を褒めたり、商品に含まれる欠陥を隠すために購入者が被害を受けることである。預言者(平安と祝福            がありますように)は言われている:《われわれを騙す者はわれわれの仲間ではない。※1》
    商売、製造において「騙し」はハラームである。アル=イマーム・アフマドがほつれのある布を修繕して目立たなくすることについてたずねられて次のように答えた:それ(欠陥のある布)を売る者はそれを隠してはいけない。
    買いもしない人に高く売りつけるように見せて他人が商品を欲しがる心境に持っていく(ナジュシュという)のも禁じられる。

【取引における誠意】

 ③取引における誠意について。至高なるアッラーは、公正と誠意を命じ給うた。売るときに許すこと(安価で譲ること)は誠意の内に入る。通常以上の利益を求めないこと。売買は利益を求めるために施行されているので、ある程度なら許されるが、購入者が商品を必要とするあまり、通常以上の利益を差し出そうとしても売る側はそれを受け取るべきではない。これも誠意の内に入る。
  支払いや借金返済を求める際に、見放したり、小額で満足したり、猶予を設けたり、返済方法を容易なものにに変えたりすることも誠意である。
  他に:売買を取り消したい者の言い分を受け入れ、(契約を)取り消すこと。彼が取り消したいのは、売買で害を被る他に理由がないからである。
  多くのハディースがこれらの徳の大きさと、これらを行う者が得る報酬を証明している。

【商売人が自分の宗教に抱く同情心】

 ④商売人は「帰り着く場所」を差し置いて(現世の)生活に明け暮れるべきではない。それよりも、宗教を大切にすること。次の6項目によって、彼の宗教に対する同情心が完遂する:
  1.商売に良いニーヤ(意志)を持つこと。他人への懇願を控え、人々に対する下心を抑制し、家族を養うために働くことを商売時にニーヤする。こうすることで、奮闘努力する者たちの一員となれる。また、信者たちへの忠告もニーヤすること。
  2.製造業や貿易業に携わる際、数ある「ファルド・キファーヤ(誰かが行わなければならない義務。誰かが行えば、残りの者は罪とならないが、誰も行わない場合、全員が罪を被る。)」を行っていると意識すること。製造や貿易を誰も行わなかったら、生活が成り立たないからである。ただし製造には、より重要な分野と、装飾や至福を求めるための重要でない分野が存在する。そのため、より重要な製造業に精を出すべきである。
    クルアーンを教えることや崇拝行為から賃金を取ってはいけない。
  3.現世の市場のために来世の市場が置き去りにされないようにすること。来世の市場とは、マスジドのことである。そのため、一日の初めの部分から市場に入るまでを、自分の来世のために費やすべきである。善良な先代の商人たちは、一日の始まりと終わりを来世のために、中間は商売のために、と定めていた。ゾホルとアスルのアザーンが聞こえたら、生活を放棄して義務の遂行に忙しくするべきである。
  4.市場の中でアッラーの念唱を続けること。タスビーフやタハリールも欠かさないこと。
  5.市場と売買に異常なほどの注意を向けないこと。また市場に最初に入る人でも、そこから最後に出る人にもならないこと。
  6.ハラームを避けるだけではなく、疑わしいものからも身を守ること。ファトワーに頼るのではなく、心に引っかかるかどうかを見極めること。


※1ムスリムなど