イスラーム勉強会ブログ

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預言者伝75

2014年10月10日 | 預言者伝関連

228.の続き:
  またアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はムアーズ・イブン・ジャバルとアブー・ムーサーをイスラームへの誘いのためにイエメンへ派遣しました。そして二人に、「容易にし、難しくしてはならない。そして吉報を与え、驚かせてはならない」と忠言しました。

  またファルワ・イブン・アムル・アル=ジュザーミーは自身のイスラームへの帰依のことで一人の使いをアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)に送りました。ファルワはシャーム地方のマアン(地名)に置かれていた人物でした。

  アル=ハーリス・イブン・カアブ一族はナジュラーン(地名)でハーリド・イブン・アル=ワリードの手によってイスラームに帰依しました。ハーリドは彼らの中に留まってイスラームを彼らに教えました。そしてハーリドは彼らの訪問団と共に戻ってきた後、彼らは自分たちの土地に帰っていきました。そこにアムル・イブン・ハザムが宗教の諸事項、スンナ、イスラームの諸知識を教える者として、そして彼らからザカーを集める者として派遣されました。そしてハムダーンの訪問団も現れました。

  またアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はアル=ムギーラ・イブン・シュウバを派遣して、彼は「アッ=ラート(偶像神)」を破壊しました。次に男たちと壁の上方登って、地面が平らになるまで一つ一つ破壊していきました。すると同日中にある訪問団がアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)のところに現れて、彼を褒め称えました。

  イエメンの民の訪問団がアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)を訪れた後、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はイスラームを教えるためにハーリド・イブン・アル=ワリードをはじめ、数名の信徒たちをイエメンに派遣しました。彼らはイエメンに6カ月滞在し、ハーリドは現地の人たちをイスラームに誘いましたが誰も応答しませんでした。次にアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はアリー・イブン・アビーターリブを派遣しました。アリーはアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)の書簡を読みあげると、イエメンの部族のひとつ、ハムダーンの全員がイスラームに帰依ました。そこでアリーはアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)にハムダーンの帰依について手紙を送りました。それを読んだアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はすぐに跪拝し、頭をあげて、言われました:ハムダーンに平安あれ、ハムダーンに平安あれ。

  またムザイナから400名から成る訪問団が、ナジュラーンのキリスト教徒から60名の騎士から成る訪問団がやってきました。後者のうち、24名は同族の名士で、彼らのリーダー的存在であるアブーハーリサがいました。かつてローマ帝国の諸王は彼に爵位を授け、金品と奴隷を与え、彼に教会を建てました。また彼らに関するたくさんの聖句が啓示されました。

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はナジュラーンの民をイスラームへ誘う書簡を彼らに送りました。それを読んだ人たちは訪問団を送って、いろいろと質問しました。そこで彼らに対する回答として、イムラーン家章の中の多くの聖句が啓示されたのです。またアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は彼らと真実を宣言のし合いをしようとしたのですが、シャルハビールは拒否し、恐れました(イムラーン家章61節及びその解説を参照)。すると次の日に訪問団が再びアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)のもとにやってきました。アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は彼らに証書を作り、地租を課しました。そして彼らと共にアブーウバイダ・イブン・アル=ジャッラーフを派遣して彼について言われました:この者はこの共同体の信頼おける者である。

  またトゥジャイブの訪問団もやってきたことでアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は喜び、彼らを大いに歓迎しました。訪問団がクルアーンやスンナについて質問をし出したので、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)も彼らに対する欲が出てきたので、ビラールに命じて、彼らを心を尽くして歓待するよう命じました。訪問団は数日間に渡って滞在し、それ以上は長居しようとしませんでした。何が君たちを急がせているのか?と尋ねられて、地元に戻って、われわれのアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)との会合、われわれが彼に向けた質問、それに対する彼の回答を人々に知らせるのだ、と答えて、出発しました。その後、ヒジュラ暦10年のハッジシーズンのミナーでアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)のところに到着しました。

  またたくさん来た訪問団の中に、ファザーラ族、アサド族、バハラーゥ族、ウズラ族の訪問団も含まれていました。彼らは皆、イスラームに帰依し、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はシャーム地方陥落を吉報として伝え、占い師に占ってもらうことや犠牲用の動物を屠ることを禁止しました。彼らにはイスラームにおける(イードなど、アッラーにお近づきになるための)犠牲しか課されないことを伝えました。またバリー、ズー・ムッラ、ハウラーンの訪問団も来ました。そこでアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は彼らにハウラーンの偶像について尋ねました。彼らは答えました:われわれのうちには偶像にしがみついている年老いた男女がおりますが、戻った折には、アッラーが御望みになれば、必ずやそれを壊しましょう。またムハーリブ、ガッサーン、ガーミド、アン=ナハウの訪問団も来ました。

  これら訪問団はイスラームを学び、宗教儀礼の知識を深め、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)のモラルや教友たちとの深い交友を目の当たりにしました。預言者マスジドの広場には訪問者たちのためにテントが張られ、彼らはクルアーンに耳を傾け、信徒たちが礼拝するのを見、思い浮かんでくることをシンプルかつはっきりとアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)に質問しました。アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は彼らの疑問に雄弁かつ叡智をもって答え、クルアーンを引用することもあって、人々は信仰し、安堵するのでした。

229.無知の偶像崇拝者と教師でもある預言者とのやり取り:
  以下の会話は、キナーナ・イブン・アブドゥ・ヤーリルとアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)の間で交わされたものです:

  キナーナ:姦通をどう思うか。われわれは独身者であるので、姦通は必須なのだが?

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ):おまえたちには禁じられるものだ。まことにアッラーは次のように仰せである:「また姦通に近付いてはならない。まことにそれは醜行であり、そのなんと道として悪いことか。」(夜行章32節)

  キナーナ:利息をどう思うか。利息すべてがわれわれの財産なのだが?

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ):頭金がおまえたちのものである。まことにアッラーは次のように仰せである:「信仰する者たちよ、アッラーを畏れ身を守り、利子の残りを放棄せよ、おまえたちが信仰者であるならば。」(雌牛章278節)

  キナーナ:酒をどう思うか。酒はわれわれの土地で取れるもので必須なのだが?

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ):まことにアッラーはそれを禁じ給うた:「信仰する者たちよ、酒と掛け矢と石像と占い矢は不浄であり悪魔の行いにほかならない。それゆえ、これを避けよ。きっとおまえたちは成功するであろう。」(食卓章90節)

  キナーナ:石像をどう思うか。われわれはそれをどうしたら良いのか?

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ):壊しなさい。

  キナーナとその仲間:あなたが偶像を壊そうとするなら、偶像は(それを崇める)人々を殺すだろう。そこにウマル・イブン・アル=ハッターブが割り入って来て言いました:おいイブン・アブドゥ・ヤーリル、おまえはなんと無知であるのか!偶像は単に石じゃないか。

  キナーナとその仲間:イブン・アル=ハッターブよ、われわれはおまえのところに来たのではない、と言って、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)には次のように言いました:あなたが壊せば良いでしょう。われわれは絶対に壊さない。

  アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ):偶像を壊すに適した者をおまえたちのところに送ろう。
  彼(アッラーの祝福と平安あれ)はそのように言って、彼らが故郷に戻ることをお許しになりました。

  彼らは言いました:アッラーの使徒さま、われわれを故郷の人たちから守ってくれる人物を付けてください。アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)はウスマーン・イブン・アビー・アル=アースを任命しました。彼は人々の中で最も若かったのですが、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は彼のイスラームに対する熱心さを知っていました。ウスマーンはマディーナを出発する前にクルアーンからいくつかの章を学んでいました。

  使節団の年は、偶像崇拝の終了とアラブ半島からの偶像信仰の浄化が完了した年でもありました。

230.ザカーの義務化:
  ヒジュラ暦9年に、アッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)は各長や知事たちをイスラーム化した土地に派遣してザカーを徴収させました。(※正しくは、ザカーが制定されたのはヒジュラ暦5年※であることがあるハディースで分かっている。9年に起きたことはザカー徴収を任された者たちの派遣である。)

※参考文献にはヒジュラ歴5年がザカー制定年とありますが、正しくはヒジュラ歴2年が制定年です。典拠:http://shamela.ws/browse.php/book-384#page-1727

(参考文献:①「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P379~384)

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