グリーンズ・テイブル

ppのピアニッシモな戯言でござ~い☆

詩とファンタジー№23

2013-08-22 17:10:14 | 
朝夕の風が冷たくなって、タンクトップ一枚で過ごした日々もそろそろお終い、外では虫たちの盛んな鳴き声。

詩とファンタジー№23 夏漣号
投稿詩とイラストレーション
責任編集:やなせたかし
かまくら春秋社
特集:潮騒が聴こえる 堀口大學の海の詩

堀口大學(1892~1981)とはペンネームかと思いきや、父親が大學時代に結婚し生まれた長男に付けた本名。
光景が、ぱ~っと思い浮かぶ詩ばかりでした。
「パステル」

えめらるどの上にこばると
海の上に青空

沖に白き舟の帆
渚に銀の波くずれ

渚にわれ等あゆむ
君が髪に金の夕日もえ

波をけてわれ等喜戯(きぎ)す
君が象牙の素足

えめらるどの上にこばると
海の上に青空


亡くなる前年八十八歳の作品。
「反比例人生」

お酒が僕の離乳食
ポエジーが教育勅語
病気が僕の長命丸



今号は沢山心に響く作品があって、迷いに迷って2編をアップ。
「スイカのたね」
     杉山磨哉
ぼくの足には一粒の
スイカのたねがついている
あぐらをかくとよく見える
左の足のふくらはぎ

五歳くらいの遠い夏
母の実家へ行った時
冷えたスイカを食べました
そしたら伯母が言いました

「スイカのたねがついてるよ。
 あら、ほくろなの。まちがえた」
他の大人も大笑い
子供心に傷ついた

小中高と学校で
ぼくは年中長ズボン
スイカのたねをかくすため
笑われるのは恥ずかしい

大人になって気が付いた
他人は余り見ていない
気にしすぎてた バカみたい
悪いことなど何もない

他人と自分 違うもの
当たり前でしょ それでいい
世界でたった一粒の
ぼくのスイカのたねだもの

リズム感もいいでしょ~。


「しょっぱい心はしょっぱい海に」
       木崎よしお
心を取り出し洗うなら
海がいいかと思うのです
波おだやかな日を選び
浅瀬に心を放ちましょう

しょっぱい心はしょっぱい海に
帰って行くのがいいのです
まちの水では洗えない
かなしいこともあるのです

心を休ませたいのなら
海がいいかと思うのです
海という字を見てごらん
そこには母がいるでしょう

しょっぱい心はしょっぱい海に
抱(いだ)かれるのがいいのです
まちの水ではうるおせない
そんな渇きもあるのです

心を取り出して洗うなら
海がいいかと思うのです
さざ波ならば撫でるよう
痛むことなどないでしょう

しょっぱい心はしょっぱい海に
涙を注いでいいのです
まちの水ではよそよそしい
涙の味がしないのです

やさしいですね。

「鬼とオレンジ」 山口理々子 絵・黒井健


「レディ・バード」 磯純子 絵・宮林忠生

楽しいこと、美味しいものは……新しい力にかわってくれる☆

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