POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 昨日、息子が通学している小学校の保健室から私の携帯電話に電話があり、息子が熱を出して(37℃、平熱は35.6℃)ベッドで休んでいるので、できるならば引き取りに来て欲しい、とのことでした。仕事中でしたが、中断し、迎えに行きました。インフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)は、多く突然の高熱から発症します。ここでいう「高熱」とは38℃以上を通常言うのですが、平熱は大体36.5℃程度ですから、+1.5℃の体温上昇になるのでしょう。平熱の低い息子は+1.5℃で37℃になります。

 インフルエンザ感染の前駆症状の可能性もありますから、小学校に向かう車の中でいろいろと対策を考えました(学校までの所要時間40分程度)。病院にはすぐ連れて行くべきか、きょうは熱の変動や症状を観察して、あすの朝に病院に連れて行くべきか、かかりつけの小児病院は予約制なのでいまのうちに予約をしておくべきか、代わりの人がいないのでいま仕事の休めない妻に感染が広がるのを防ぐため、隔離部屋を用意して、私が看病に専従するか、その場合は、、、などとシミュレーションを頭の中でしているうちに学校に着きました。

 保健室ではマスクをかけた若い女性が心配そうな顔をして出迎えてくれました。とてもきれいなお嬢さんでした(そんな観察をしている場合じゃないって。はい、そうでした)。私の声を聞いて、ベッドから起き上がった息子の額には熱冷ましのために、保冷材が巻かれています。しかし、表情には不安なところは見られません。「どうした。熱以外になにか症状はある?」「ううん。」「寒気がするとか、関節が痛いとか、、、」「ない。」 首筋に手をあててみます。特に熱が高いとは思われません。ここ数日、軽く咳はしていたのですが、それはよくあること。

 「熱が出たと言うので、心配しました。突然に高熱が出ると、新型のインフルエンザを疑ってしまって。」「そうですね。この時期ですからね。」「心配なさそうですが、一応連れて帰ります。」「そうしていただけるとありがたいです。すぐに迎えに来ていただいて、本当に助かります。」(息子に)「先生に断って帰りたいんだけど、、、」「先生、朝来たんだけど、喉が痛いと言って、すぐに帰っちゃった。」「先生も病気か。君がうつしたんじゃないんだろうね。」「違うよ。」

 家に連れて帰り、熱を測ったところ、35.7℃。平熱に戻っていました。「どうしてなんだろうね。熱が上がったのは、、、」「教室が密閉されていて、蒸し暑かったから、身体がだるくなったんだと思うよ。」「それで、保健室に行ったら、37℃か。そんなことで熱が上がるかな? しばらく寝ていなさい。あとでもう一回熱を測るから。」「わかった。」 しかし、すぐに起きてきました。「どうした。」「眠れない。学校で1時間くらい寝たから。」「・・・」

 きょう、息子「健人」は元気に学校に出かけていきました。仕事を半日できなかったのですが、まあ、インフルエンザに感染したわけではなかったことを喜ぶべきなのでしょう。

 インフルエンザ感染の診断法には、「PCR法」と「イムノクロマト法(イムノクロマトグラフ法)」があります。「PCR法」は、操作が複雑である、特別な機器を用する、 判定に数時間を要するという欠点をもっており、診察では、「イムノクロマト法」を用いた「簡易検査(迅速診断)」でA型インフルエンザに感染しているか否かが判断されています。「簡易検査」での検出感度は、PCR法の10分1から100分の1だと言われています。しかし、「イムノクロマト法」は、操作が簡便、 特別な装置が不要(判定は目視)、判定に15分前後と迅速です。

 1999年1月、インフルエンザウイルス抗原迅速検出キットが日本で初めて販売されました(「ディレクティジェンFluA」 (日本べクトン・ディッキンソン)。酵素抗体法(ElA法、Enzyme labeled antibody method、酵素で標識した抗体により、抗原を検出する方法。操作ステップが7つもあった)を応用したもので、A型インフルエンザだけでB型は判定できませんでしたが、わずか15分で結果が得られるとあって、当時としては画期的だったそうです。現在の迅速検出キットは、イムノクロマト法を使用したものがほとんどであり、A型とB型インフルエンザの同時判別ができ、操作も簡単になっているようです。

 インフルエンザ簡易検査キット(インフルエンザウイルス抗原迅速検出キット)では、イムノクロマト法(immunochromatography)という技法が使われています。“immuno-”は、「免疫の」という意味です。クロマトグラフィー (Chromatography) という技法では、「固定相」と呼ばれる物質の表面や内部を、「移動相」と呼ばれる物質が通過する過程でその物質が分離されていきます。

 感染しているインフルエンザがA型かB型かを判定するために使用する「迅速診断キット」は、日本ベクトンディッキンソン(製品名「BD Flu エグザマン」)、富士レビオ(製品名「エスプライン インフルエンザA&B-N」)、積水メディカル(製品名「ラピッドテスタFLUⅡ」)、アルフレッサファーマ(製品名「チェックFluA・B」)、大塚製薬(製品名「ポクテムインフルエンザA/B」)などというメーカーから発売されています。

 具体的にどのように行われ、その原理はどのようなものかというと、鼻腔ぬぐい液や鼻腔吸引液を患者から採取して、その液(検体)を検体希釈液に入れて、検体濾過フィルターを取り付けます。検体希釈液を検体窓(サンプルパッド)に数滴滴下します。検体中にA型またはB型インフルエンザウイルス(抗原)が存在すると、「コンジュゲートパッド(conjugate pad)」内でそれぞれに対応する抗体結合金コロイド粒子と反応し、複合体を形成することになります。

 この複合体は反応プレート上(ニトロセルロースメンブレン)を毛細管現象により移動し、分離領域(テストライン)に固相化されたマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体またはマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体に捕捉されることになります。捕捉されると、赤紫色のライン(金コロイド粒子が集積すると赤く見える)を形成し、目視で検出を判断できることになります。



 抗原と反応しなかったマウスモノクローナル抗A型ないしB型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド粒子は、反応プレート上を更に移動し、分離領域(コントロールライン)に固相化されたヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体と結合し、赤紫色のラインを形成します。この赤紫色のラインを目視確認して、検査が誤りなく終了したことになります。

          (この項 健人のパパ)

(追記)

 2009年10月29日配信の時事通信からです。

 東京都は10月29日、新型インフルエンザに感染した都内在住の女性(63)が27日に死亡したと発表した。女性は重い心筋症を患い、通院中だった。国内の新型インフルエンザ患者の死者は、疑い例も含め37人となった。
 都によると、女性は23日午前に呼吸困難となり、都内の医療機関に入院。39.1度の発熱があり、簡易検査で陽性となったため、タミフルを投与された。26日の遺伝子検査で新型インフルと確認され、27日午後に心不全で死亡した。


 2009年10月30日配信の時事通信からです。

 熊本県は10月30日、新型インフルエンザに感染した宇土市内在住の20代男性が死亡したと発表した。男性に基礎疾患があったかは不明だが、家族も新型とみられるインフルエンザに感染していた。死因は不明。国内の新型インフルエンザ患者の死者は、疑い例も含め38人となった。
 県健康危機管理課によると、男性は27日にせきなどの症状が出たため、28日に同市内の医療機関を受診。その際、39度台の熱があったほか、脱水症状もあった。簡易検査では陰性だったが、家族に新型とみられる感染者がいたため、タミフルを投与。29日午後5時15分ごろ、自宅で死んでいるのが見つかった。死亡後の遺伝子検査で、新型の陽性反応が確認された。


 2009年10月31日配信の毎日新聞からです。

 堺市は10月30日、市内の病院で死亡した女児(6歳)の新型インフルエンザ感染を確認したと発表した。死因との関連は不明。厚生労働省によると、感染者の死亡は、疑い例も含めて全国で39人目。
 27日に発熱し、28日に簡易検査でA型陽性と診断、タミフルを処方された。29日に呼吸困難となり、市内の病院で死亡した。30日に新型インフルエンザと確認された。


 2009年10月30日配信の産経新聞からです。

 大阪府は10月30日、新型インフルエンザに感染した大東市内の男性会社員(46)が死亡したと発表した。男性には基礎疾患はなく、死因は確認中だという。府によると、男性は37.5度の発熱と頭痛やせきなどの症状が出たため、29日に近くの医療機関で受診。簡易検査でインフルエンザA型陽性と判明し、タミフルの投与を受けたが意識不明となり、30日に死亡した。

(追記)

 2009年11月1日配信の時事通信からです。

 盛岡市は10月1日、新型インフルエンザに感染した同市の2歳女児が死亡したと発表した。厚生労働省によると、新型インフルの死者で最年少。盛岡市保健所によると、女児は先月29日夜に発熱。呼吸が停止したため、同日、市内の病院に入院した。リレンザ投与などを受けたが、1日朝に死亡した。死因は多臓器不全で、基礎疾患はなかった。
 兵庫県は伊丹市の小学2年の女児(8)が死亡したと発表。兵庫県によると、女児は先月31日朝に発熱し、タミフルを処方され帰宅したが、午後3時ごろに痙攣を起こして心肺停止状態に。同4時半に市内の病院で死亡が確認された。基礎疾患はなく、死因は心不全と推定。女児は30日は元気に登校していたという。
 京都市は右京区の30代前半の女性会社員が死亡したと発表。京都市によると、女性は先月30日昼に発熱があり診療所で風邪薬などを処方された。熱が続いたため31日夕にタミフルの処方を受けたが、同日夜、歩行困難となり1日朝病院で死亡した。基礎疾患は調査中だが、先月に喘息で病院を受診したという。市は病理解剖して死因を調べる。国内の新型患者の死者は疑い例も含め計43人となった。


 2009年11月2日配信の時事通信からです。

 神戸市は11月2日、新型インフルエンザに感染した市内在住の30代男性が死亡したと発表した。兵庫県も姫路市の80代男性、東京都も都内在住の72歳女性の感染者が亡くなったことを明らかにした。神戸の30代男性は悪性リンパ腫、姫路の80代男性は糖尿病など、都内の72歳女性は肝硬変を患っていたという。

 2009年11月3日配信の読売新聞からです。

 名古屋市は11月3日、新型インフルエンザに感染した同市内の60歳代女性が1日、死亡したと発表した。女性は慢性心不全や腎不全、糖尿病などを患って、通院中だった。
 女性は先月19日に自宅で倒れ、かかりつけの医師から往診を受けたが、呼吸不全で、意識が朦朧とした状態だったため、市内の医療機関に緊急入院していた。同市は持病の心不全が悪化したとみている。厚生労働省によると、国内の死者は疑い例も含め、47人目。


 2009年11月6日配信の産経新聞からです。

 栃木県健康増進課は11月5日、新型インフルエンザに感染した県内在住の30代女性が4日未明、心不全で死亡したと発表した。女性に基礎疾患はなかった。新型インフルエンザの死者は県内では初めて、全国では48人目。
 同課によると、女性は10月31日正午ごろ、嘔吐し、夜になって「胸が痛い。苦しい」と訴えたため、家族が119番通報。医療機関に搬送された際は、心停止状態でICU(集中治療室)に入院した。
 女性は42度の発熱と心筋炎を発症。簡易検査では新型への感染は確認されなかったが、医師がタミフルを投与。人工心肺装置を装着し透析を行ったが、女性は心機能が低下、11月2日には重篤な状態に陥り、4日午前3時に死亡した。PCR(詳細)検査で新型への感染が確認された。
 女性の家族は、女性が嘔吐するまで体調の変化に気づかなかったという。同課は「熱が出て、様子を見ているうちに胸が苦しくなり、容体が急変した」としており、体調の変化があった場合、早めの受診を呼びかけている。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )