映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No338『スパルタの海』~伊東四郎の背中がまぶしい~
2008-04-27 / 映画
80年代初め、家庭内暴力、金属バットでの両親殺人事件、登校拒否と荒れた時代。
愛知県の戸塚ヨットスクール合宿所に泊り込んで取材、
スクールの実態と登校拒否児などが立ち直っていく様子を描いた
ノンフィクション「スパルタの海」の映画化。
西河克己監督、1983年作品。
映画完成後、主人公のモデルの戸塚宏校長が逮捕され、急遽公開中止。
やっと、作品の権利が委譲され、今年、東京で特集上映され大ヒット。
25年振りの一般公開。
親にも学校にも皆に見放された子供たちに、どうやって
世の中で生きていく術を教え、身につけさせていくのか。
戸塚校長を演じる伊東四郎や、コーチたちの、
子どもへの愛、思いがきちんと伝わり、
その思いが全編を通じて貫かれていることが
この作品の根幹を支える。
スクールを出て行く(卒園)時には、
喜んだ顔で、嬉しそうに去っていく子ども達の姿をみて、
女性看護師が、寂しいという。
しかし、校長は、
わしらは憎まれてなんぼのもんや、
ここを憎む気持ち、ここへの反感が、
子供らが、社会に出てからも、
決してへこたれない自信になるのや、と言う。(注:関西弁に脚色)
最後はヨットを通じて、
自然が、海が、子ども達を包み、力を授けてくれる。
海は考えることを子ども達に要求する。
考える、生きる、そのために学び、覚える。
親や家族に暴力を奮い、痛めつけ、荒れ狂っていた子供たち。
冒頭の、かみつくような目で音楽を聴いていた少年が、
最後には透き通るような、きらきらした目、素直な表情に変わっていく、
そのこと自体に涙してしまう。
おにぎりを無心にほおばる子供の表情をみて、
「この顔や」「これからが肝心や」と喜ぶ先生。
きつい訓練の中で、いつしか、互いに心の支えとなりあう男女生徒。
子ども達を心底心配している女性看護師。
生徒を叩くシーンもあるが、
子ども達が一人ひとり、広い海の中でヨットを操る術を
学び取ろうとする、たくましい姿の方が心に残る。
ラストの爽快さはたまらない。
伊東四郎がとてもいい顔をしている。
ぜひ、多くの人に観てもらいたい作品です。
梅田の北、中崎町のプラネットプラスワン及び神戸映画資料館で上映。
プラネットは喫茶店太陽の塔の横の狭い階段を上がったところ。
初めは勇気が要るかもしれませんが、普通の小さな映画館です。
ぜひあの階段を上がってみてください。
濃密な映画空間がひろがっていて、
意外や、心地よいことを発見されるにちがいありません
愛知県の戸塚ヨットスクール合宿所に泊り込んで取材、
スクールの実態と登校拒否児などが立ち直っていく様子を描いた
ノンフィクション「スパルタの海」の映画化。
西河克己監督、1983年作品。
映画完成後、主人公のモデルの戸塚宏校長が逮捕され、急遽公開中止。
やっと、作品の権利が委譲され、今年、東京で特集上映され大ヒット。
25年振りの一般公開。
親にも学校にも皆に見放された子供たちに、どうやって
世の中で生きていく術を教え、身につけさせていくのか。
戸塚校長を演じる伊東四郎や、コーチたちの、
子どもへの愛、思いがきちんと伝わり、
その思いが全編を通じて貫かれていることが
この作品の根幹を支える。
スクールを出て行く(卒園)時には、
喜んだ顔で、嬉しそうに去っていく子ども達の姿をみて、
女性看護師が、寂しいという。
しかし、校長は、
わしらは憎まれてなんぼのもんや、
ここを憎む気持ち、ここへの反感が、
子供らが、社会に出てからも、
決してへこたれない自信になるのや、と言う。(注:関西弁に脚色)
最後はヨットを通じて、
自然が、海が、子ども達を包み、力を授けてくれる。
海は考えることを子ども達に要求する。
考える、生きる、そのために学び、覚える。
親や家族に暴力を奮い、痛めつけ、荒れ狂っていた子供たち。
冒頭の、かみつくような目で音楽を聴いていた少年が、
最後には透き通るような、きらきらした目、素直な表情に変わっていく、
そのこと自体に涙してしまう。
おにぎりを無心にほおばる子供の表情をみて、
「この顔や」「これからが肝心や」と喜ぶ先生。
きつい訓練の中で、いつしか、互いに心の支えとなりあう男女生徒。
子ども達を心底心配している女性看護師。
生徒を叩くシーンもあるが、
子ども達が一人ひとり、広い海の中でヨットを操る術を
学び取ろうとする、たくましい姿の方が心に残る。
ラストの爽快さはたまらない。
伊東四郎がとてもいい顔をしている。
ぜひ、多くの人に観てもらいたい作品です。
梅田の北、中崎町のプラネットプラスワン及び神戸映画資料館で上映。
プラネットは喫茶店太陽の塔の横の狭い階段を上がったところ。
初めは勇気が要るかもしれませんが、普通の小さな映画館です。
ぜひあの階段を上がってみてください。
濃密な映画空間がひろがっていて、
意外や、心地よいことを発見されるにちがいありません
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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旧作の上映の中では、『青い山脈』が私にとっては発見でした。とっても楽しく、愉快で、高橋英樹が、軽トラの荷台から、積荷の鶏の小屋越しに、窓越しに、運転席の二人の熱々をみるところ、しゃなり、しゃなりと歩く女性の後ろ頭がいきなりアップで映り、それが南田洋子(私、大好きです)だったとか。
ほかのは、あまりよくわからない、という相変わらずの映画音痴ですが、ぼちぼち、機会をみつけて観ていきたいです。
写真をみると、やさしそうでおだやかでとってもいい顔してはりますね。
今、をどう映画に描いていくか、という意味で、新作の邦画をできるだけ観ておきたいと、映画館に通っているのですが、あまりに追いつかない現実。
そして、今の配給システムの悲惨な現実をみると、山田先生のコメントに、うーん、そのとおりとうなずいている自分がいます。
今、ルノワール監督作品の魅力に酔いしれていて、ルノワールばかりを毎日観てる時期があってもいいなあと思います。(現実にはそういう映画館はないので、無理なんですが)
ルノワールの底知れぬ魅力のように、マキノ、澤井、瀬川、西河作品を毎日繰り返す試みも、またとても魅力的で、本当に映画の井戸は、いくら掘っても尽きないですね。
澤井監督は、私にとっては未知の世界の人で、恥ずかしいばかりですが、また機会を見つけて観ていきたいです。