映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No333「大殺陣 雄呂血」66年~雷蔵の剣が怒りを放つ~
2008-04-13 / 映画

ラスト十分以上にわたる立ち回りのすごいこと。
観ているこちらがへとへとになった。
まじめで腕のたつ師範代の青年が
信じていた相手から裏切られ、
窮地を助けてもらった女は殺され、
どんどん追いつめられ、虚無的にニヒルになっていく。
生を疎む感じが、雷蔵の雰囲気にぴったりで、
なんともつらい。
縄、はしご、戸板、大八車と、次から次へと
百人以上の追手が、市川雷蔵に襲い掛かる。
この世に嫌気がさし、なげやりになっていた雷蔵が、
斬りあいながらも、許婚の八千草薫には
「生きよ」と叫ぶ。
座り込み、倒れても、刀を振り回し、
どうにもならない怒りとあきらめと悲しみを
爆発させ、必死に斬り倒していく。
その表情のすごいこと。
怒涛のような果し合いが終わり、静けさが広がる。
累々たる死体が横たわる中、
無言で見つめあう雷蔵と薫をロングで撮って、「完」。
雷蔵さん、すごい。田中徳三監督、すごいと絶句してしまった。
この作品、2年前に初めて観て、圧倒され、2回観て、2回唸った。
そして、今日が3度目。やっぱりすごい。
他藩の侍を殺害した下手人が見つからず、他藩から責められ、
我が藩を救うため、身代わりとして藩を出て、身を隠す。
しかし、相手藩を説得するはずの約束相手の侍は急死、
真実を知るもう一人の侍の裏切りにより、
雷蔵は、我が藩からも相手藩からも、
犯人として追われる身となる。
なんとも不条理、
相手藩の侍も
「お前が後ろから斬りかかるような卑怯な奴でなく、
下手人でないことはわかっている、
でも、武士の名にかけてお前を斬る」
と雷蔵に刀を向ける。
心中しようとしているのを見つけ助けたはずの町人の男女が
結局、森で心中し、横たわっているのを見つけた雷蔵。
せっかく助けたのにと失念をあらわにする間もなく、
さっと刀を一振り、ざっと木の枝が二人の上に落ち、
すっと立ち去る。
映画のテンポもみごと。
雷蔵を探す途中にさらわれて女郎屋に売られた許婚の薫との再会の場面。
階段をのぼりかけた雷蔵がふと階下の部屋の薫を見つける。
見つめあう目と目。
薫が立ち上がって、ふらふらと近づく。
ただただ無言。
この静がなんともいえない。
雷蔵が、親分に言う。
「この女を自由にしてやってくれないか、
俺のために不幸になった女だ」
突き放した言い方は、言外に思いを伝える。
冒頭の道場の場面が好きだ。
画面左端の窓から光が差し、もやっとしている。
画面中央に師範代の市川雷蔵が背中を見せて立ち、
右側の戸から試合を申し入れた侍が訪れる。
会話は、右端で行われ、
左端の暗い空間がとても印象的。
信頼していた、我が師匠までが雷蔵を下手人扱いし、
1対1での勝負をさせられる。
その姿を山の上にとらえた美しさ。
やはり時代劇、大好きです。
ところで、私は今日、京都文化博物館でこれを観たのですが
白黒でした。
しかし、九条で上映されているのはカラーとパンフに書かれています。
2年前どっちだったか思い出せない私でした。
観ているこちらがへとへとになった。
まじめで腕のたつ師範代の青年が
信じていた相手から裏切られ、
窮地を助けてもらった女は殺され、
どんどん追いつめられ、虚無的にニヒルになっていく。
生を疎む感じが、雷蔵の雰囲気にぴったりで、
なんともつらい。
縄、はしご、戸板、大八車と、次から次へと
百人以上の追手が、市川雷蔵に襲い掛かる。
この世に嫌気がさし、なげやりになっていた雷蔵が、
斬りあいながらも、許婚の八千草薫には
「生きよ」と叫ぶ。
座り込み、倒れても、刀を振り回し、
どうにもならない怒りとあきらめと悲しみを
爆発させ、必死に斬り倒していく。
その表情のすごいこと。
怒涛のような果し合いが終わり、静けさが広がる。
累々たる死体が横たわる中、
無言で見つめあう雷蔵と薫をロングで撮って、「完」。
雷蔵さん、すごい。田中徳三監督、すごいと絶句してしまった。
この作品、2年前に初めて観て、圧倒され、2回観て、2回唸った。
そして、今日が3度目。やっぱりすごい。
他藩の侍を殺害した下手人が見つからず、他藩から責められ、
我が藩を救うため、身代わりとして藩を出て、身を隠す。
しかし、相手藩を説得するはずの約束相手の侍は急死、
真実を知るもう一人の侍の裏切りにより、
雷蔵は、我が藩からも相手藩からも、
犯人として追われる身となる。
なんとも不条理、
相手藩の侍も
「お前が後ろから斬りかかるような卑怯な奴でなく、
下手人でないことはわかっている、
でも、武士の名にかけてお前を斬る」
と雷蔵に刀を向ける。
心中しようとしているのを見つけ助けたはずの町人の男女が
結局、森で心中し、横たわっているのを見つけた雷蔵。
せっかく助けたのにと失念をあらわにする間もなく、
さっと刀を一振り、ざっと木の枝が二人の上に落ち、
すっと立ち去る。
映画のテンポもみごと。
雷蔵を探す途中にさらわれて女郎屋に売られた許婚の薫との再会の場面。
階段をのぼりかけた雷蔵がふと階下の部屋の薫を見つける。
見つめあう目と目。
薫が立ち上がって、ふらふらと近づく。
ただただ無言。
この静がなんともいえない。
雷蔵が、親分に言う。
「この女を自由にしてやってくれないか、
俺のために不幸になった女だ」
突き放した言い方は、言外に思いを伝える。
冒頭の道場の場面が好きだ。
画面左端の窓から光が差し、もやっとしている。
画面中央に師範代の市川雷蔵が背中を見せて立ち、
右側の戸から試合を申し入れた侍が訪れる。
会話は、右端で行われ、
左端の暗い空間がとても印象的。
信頼していた、我が師匠までが雷蔵を下手人扱いし、
1対1での勝負をさせられる。
その姿を山の上にとらえた美しさ。
やはり時代劇、大好きです。
ところで、私は今日、京都文化博物館でこれを観たのですが
白黒でした。
しかし、九条で上映されているのはカラーとパンフに書かれています。
2年前どっちだったか思い出せない私でした。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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にしても、あの殺陣、おっしゃるとおり、誰もが、磁石のように雷蔵にひっぱられ、斬りかかりにいっては、斬られてしまうんですね。大八車が本当に怖くて、思わず心の中で「よけて」と叫んでおりました。
今日、プラネットに行ったのですが、吉野二郎監督の『怪談・狐と狸』も題名からは、およそ想像もできぬような、男女のだましあいの映画で、冒頭のチャンバラシーン、すごかったです。一人のやくざと大勢の捕り手の殺陣で、道を左右に行ったりきたりのせめぎあいがおもしろかったです。