映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No191「クラッシュ」ポール・ハギス監督
2006-03-08 / 映画
~映画の神様が微笑んだ・・・凄い脚本、演出、これぞ“映画”です。~
最近、これほど深く人間を描いた作品を知らない。
人間の業の深さ。
苛立ち、怒り、恐怖、怖れ・・
アメリカ、ロサンゼルスという人種のるつぼの国で暮らし、日々、差別と向き合っている。
それだけストレスも大きい。
ささいなことで苛立ち、怒り、怖れ、恐怖し、不信にとらわれ・・・
そんなネガティブな感情を抱く人間たちの姿をまっすぐに描きつつ、
それを超える人間の尊さをさりげなく描いている。
人間万事塞翁が馬、と言うは、易し。
いざ自分の身に災難が降りかかった時、人間はどう向き合えるか。
それがこの映画。
数々の衝突(事故、事件、クラッシュ)に巻き込まれた人たちの姿を描いた群像劇。
一人一人の抱えている人生の重さが迫ってきて、涙が止まらない。
映画の神様が微笑んだとしか、いいようのない世界で、
すばらしい脚本、演出。役者たちに感涙。
サンドラ・ブロックが
「私、ずっとこのところ怒ってばかりいるの」と電話で話した後、
ふいに大きな衝撃音とともに、床に落ちた携帯電話・・・
そのあとのシーンの怖いこと。運命の残酷さが肌に迫ってきた。
一瞬先はわからない。
銃社会のアメリカではなおさら。
隣人が銃を持っているかもしれないという、恐怖の中で生きている。
本当に怖い。
でも、愛情が、友情が、優しさが、使命感が人を救う。
女の子のエピソードは忘れられないすばらしさだし、
「私を守る妖精が救ってくれたんだ」と涙を流すペルシャ人の老人の涙の尊さ。
老人はこのとき、はじめて気づき、変わった。
気づくことの尊さ、
人間は変わっていける、という希望が、この映画にはある。
群像劇としての、人物の伏線の張り方がすばらしい。
ドアをあけると、次々に違うシーンに変わっていく、という具合に、
テンポよく、場面転換するが、ご心配なく。
スリリングな展開にどんどん引き込まれていくこと間違いなし。
原案、脚本、監督のポール・ハギス自身、
ビデオ店から出たところで銃を突きつけられ、カージャックされた経験があり、
この題材が生まれたそうだ。
「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本もしており、これから要注目。
満足度 ★★★★1/2(星5個で満点)
余談ですが・・
現在、大阪府内では、梅田ナビオのみの公開ですが、
アカデミー作品賞にも輝きましたし、拡大上映を待ちたいと思います。
ナビオでは、来週からシアター4という横長の劇場で、
ここは、100名定員で、最前列の端っこは最悪です。
私は、ここで「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をみて大変辛かった覚えがあります。
画面が高いので見上げないといけない上に、横からなので、
とても映画を楽しめる席ではありません。
そんな席しか残ってなければ、止めましょう。
逆に、最後列とか、後ろから3列くらいまでだと、スクリーンがまん前で最高にいい席です。
最近、これほど深く人間を描いた作品を知らない。
人間の業の深さ。
苛立ち、怒り、恐怖、怖れ・・
アメリカ、ロサンゼルスという人種のるつぼの国で暮らし、日々、差別と向き合っている。
それだけストレスも大きい。
ささいなことで苛立ち、怒り、怖れ、恐怖し、不信にとらわれ・・・
そんなネガティブな感情を抱く人間たちの姿をまっすぐに描きつつ、
それを超える人間の尊さをさりげなく描いている。
人間万事塞翁が馬、と言うは、易し。
いざ自分の身に災難が降りかかった時、人間はどう向き合えるか。
それがこの映画。
数々の衝突(事故、事件、クラッシュ)に巻き込まれた人たちの姿を描いた群像劇。
一人一人の抱えている人生の重さが迫ってきて、涙が止まらない。
映画の神様が微笑んだとしか、いいようのない世界で、
すばらしい脚本、演出。役者たちに感涙。
サンドラ・ブロックが
「私、ずっとこのところ怒ってばかりいるの」と電話で話した後、
ふいに大きな衝撃音とともに、床に落ちた携帯電話・・・
そのあとのシーンの怖いこと。運命の残酷さが肌に迫ってきた。
一瞬先はわからない。
銃社会のアメリカではなおさら。
隣人が銃を持っているかもしれないという、恐怖の中で生きている。
本当に怖い。
でも、愛情が、友情が、優しさが、使命感が人を救う。
女の子のエピソードは忘れられないすばらしさだし、
「私を守る妖精が救ってくれたんだ」と涙を流すペルシャ人の老人の涙の尊さ。
老人はこのとき、はじめて気づき、変わった。
気づくことの尊さ、
人間は変わっていける、という希望が、この映画にはある。
群像劇としての、人物の伏線の張り方がすばらしい。
ドアをあけると、次々に違うシーンに変わっていく、という具合に、
テンポよく、場面転換するが、ご心配なく。
スリリングな展開にどんどん引き込まれていくこと間違いなし。
原案、脚本、監督のポール・ハギス自身、
ビデオ店から出たところで銃を突きつけられ、カージャックされた経験があり、
この題材が生まれたそうだ。
「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本もしており、これから要注目。
満足度 ★★★★1/2(星5個で満点)
余談ですが・・
現在、大阪府内では、梅田ナビオのみの公開ですが、
アカデミー作品賞にも輝きましたし、拡大上映を待ちたいと思います。
ナビオでは、来週からシアター4という横長の劇場で、
ここは、100名定員で、最前列の端っこは最悪です。
私は、ここで「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をみて大変辛かった覚えがあります。
画面が高いので見上げないといけない上に、横からなので、
とても映画を楽しめる席ではありません。
そんな席しか残ってなければ、止めましょう。
逆に、最後列とか、後ろから3列くらいまでだと、スクリーンがまん前で最高にいい席です。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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実は、パラリンさんほど自分は感動できなくて、どうしてかずっと考えていたところです。
本の出来は文句なく素晴らしいのですが……
きっと、この先観た映画を振り返るとき、真っ先に浮かぶ「一枚の絵」にはなりそうにないからかもしれません。
ところで、ナビオのシアター4と5の最後列中央は本当に最高の環境ですね。
いつも、花道予約の初日朝一で予約してます。
何でかわからんけど、涙が出ますね。
「マント」みたいな奇跡を信じたいです。
そして、実は奇跡の影には優しさがあることも忘れずにいたい。です。
まだお腹の中に映画の暖かみが残っているのではないでしょうか。
クラッシュは、ナビオで当分満席が続きそうですね。
「一枚の絵」・・を選ぶとすれば、
私なら、なんとなく、冒頭の車のヘッドライトの光のような気がします。
幾つもあるエピソードの中で、
どうもなあとひっかかるものと、
すとんとお腹の中に落ちて、心の琴線に触れるのとがあって、
私にとっては、後者が圧倒的に多かったように思います。
すごく深いエピソードがあると、その力でもって、
ほかのエピソードも、広い心で、すうっと心の中に
流れ込んでしまう感じでしょうか。
でも、あの最後の中国人の描き方は、ちょっと気になりましたね。
なんかいろいろ考えさせられる作品でした。
いい言葉ですね。
あの女の子のセリフに泣きました。お父さんも、まっすぐな感じでよかったですね。
監督、脚本のポール・ハギスが、ある意味、登場人物の全運命を握っていて、どう展開していくのか、はらはらどきどきでした。死んじゃった黒人の男の子は悲しいし、意図せず殺してしまった若い警察官の運命も恐ろしいですが、なんか女の子と、ペルシャ人のおじいさんと、サンドラ・ブロックの最後のシーンに、作者の意図をよみとってしまいます。
観る人によって、いろんな感想がでてきそうですね。
この監督、「映画を恋人と観た後、議論になって二人が別れるくらいの作品を作りたい」と言ってるらしいから。
優しさもその日の気分次第・・・
うーん、そのとおりですね。
優しさが憎しみに変わってしまう怖さと、
不信、偏見がいたわりに変わるときの尊さ。
気づいたはずの優しさをどこまで持ち続けられるのかは、その人次第だと、楽観的に観たくなります。
あちこちで議論の起こりそうな作品ですね。