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No1157『何故彼女等はそうなったか』~清水宏監督の異色作。~

四国の丸亀城をロングで映し、カメラがゆっくり下がると、城下にある少女たちの更生施設が映る。中庭で楽しそうにバレーボールに興じている少女たち。1956年清水宏監督作品。非行少女たちの群像劇で施設の先生役が香川京子。園長先生が高橋豊子。美人の先生と、中年のちょっと太った女先生との組み合わせは、なんとなく、『信子』の高橋三枝子のあんみつトリオを思い出した。施設に入ってきたばかりのくせに生意気な少女、弘子 . . . 本文を読む
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No1156『ニシノユキヒコの恋と冒険』~誰も本当には好きにならない男の話~

猫が自分の足の肉球を噛んではなめ、なめてはまた噛んでを延々と繰り返す。カメラはそれをずっと長回しでとらえ続ける。なんだか、この映画全体を象徴しているようなシーンだと思った。 ニシノくんという不思議な男の子をめぐる幾人もの女の子たちの物語。ニシノくんを描いているように見えて、実際、描かれているのは、ニシノくんではなく、女の子たちのココロ、かもしれない。 井口奈巳監督の最新作。竹之内豊って、あまり . . . 本文を読む
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平凡が非凡を超えるとき~春の初めに亡くなった人 まどみちおさん~

3月1日の読売新聞の「編集手帳」にまどみちおさんのことが書かれていた。とてもすてきな文章だったのでご紹介したい。まどさんは、応召され、近藤和一という調理師の友人ができる。教練で、二人して上官から「気合を入れる」ビンタを食らい、休憩時間、隣に座る友の帽子が目に留まる。殴られてぼんやりした頭で、まどさんは、帽子に縫い取られたカタカナの名前を逆から読んでしまう。「チイズカウドンコ」。調理師でチーズかうど . . . 本文を読む
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No1155『エヴァの告白』~悪を重ねてきた男が最後に見せる思いの丈~

ひとつの画面に二つの出来事が映る。 開け放たれた窓の向こうに海が見え、病棟から救い出した妹とともに新しい人生に向かって漕ぎ出していくエヴァの乗った小舟が見える。 窓の隣に置かれた鏡には、傷ついたからだをひきずるようにして扉を勢いよく開けて出て行くブルーノのうしろ姿が映る。 まさに映画らしいラストシーンに圧倒された。単純に鏡の使い方がすごいというだけではない。 エヴァの告白を教会で耳にしたブ . . . 本文を読む
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No1154『光にふれる』~ダンサーの少女の汗の滴と、全盲の青年の奏でる音が共鳴する~

全盲の青年が一歩を踏み出す勇気とあきらめかけていた、ダンサーになるという夢に向かって少女が再びチャレンジを始める姿が重なり合う。青年が奏でるピアノの音と跳躍し踊る少女の腕に光る汗の滴とが響き合っているようで本当にすてきな映画だった。 目が見えないことは、必ずしも夢をかなえる障害になるわけではない…夢をかなえられなくても、せめて人の信頼にこたえたい…、そんな言葉があって . . . 本文を読む
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