NECがスマホ事業から撤退するというニュースが報じられています。同社はすでに一度3カ月ほど前に、携帯事業からの撤退が報じられているので(これ自体はどうやら誤報であった模様)驚きには値しませんでしたが、ドコモの“ツートップ戦略の犠牲者”という側面が明確化した出来事であり、ドコモ携帯ビジネスの新たな局面入りを感じさせるに十分な報道ではありました。
この夏のドコモの販売戦略として大々的にスタートした「ツートップ戦略」。販売奨励金を売れ筋の2機種に傾斜配分するというこの戦略の導入により、“落ちこぼれ”た携帯メーカーが一気に苦境に立たされることは容易に想像ができはしなのですが、あまりにも早いNECの脱落によりガラケービジネスモデルの崩壊が明確になってきました。
そもそも「ツートップ戦略」は、ソフトバンク、auのiPhoneに対抗するため、ドコモ傘下各社のアンドロイド・スマホが乱立する構図は戦力分散につながると考えた結果のものでした。ドコモがツートップに漏れた携帯メーカーの撤退やむなしとするこの大胆な戦略が取れたのは、ひとえにアベノミクス効果による円安と言う家電、IT各社に吹いた“神風”の恩恵に他なりません。
ただ問題はこの一部メーカーの犠牲の上に立つドコモ苦肉の戦略が、これまでのところ対ソフトバンク、auのiPhoneに対してはほとんど力を発揮していないという点です。7月5日に発表された6月の携帯電話契約数によると、ドコモは解約件数が新規契約を上回って差し引き5900件の流出超になっており、鳴り物入りの「ツートップ戦略」はスタートダッシュでは完全な空振りに終わっているようです。
すなわち「ツートップ戦略」で現時点までにドコモがしたことは、ガラケー・ビジネスモデルの崩壊を進めたことだけです。これは考えようによっては、ドコモがiPhoneを扱うための環境整備、布石づくりであるとも思えます。しかしながら、ドコモとiPhoneを扱うアップル社との間には、商品シェアを巡る攻防と言う依然として高い壁が立ちはだかっており(iPhoneではコンテンツビジネスが展開できないドコモの限界シェア3割に対して、アップル社の要求は依然5割と言われています)、そうやすやすとこの問題が解決するとは思えない状況でもあるのです。
円安によるメーカー各社の見かけ上の業績回復を盾に、盟友切り捨て策に出た「ツートップ戦略」でもキャリア転出を止められないドコモの劣勢。もはやアップル社の軍門に下ってiPhone頼るしかないのか、と思えても来ますが、このシェア流失はよくよく考えると過去のドコモの市場シェアが高すぎただけなのではないかと言う気もしています。ドコモのNTTグループとしてのブランド力で実力差以上に行き過ぎていたシェアが、iPhoneのブランド力により行き過ぎの解消がはかられているだけなのではないかと。
アップル社もジョブズ後2年でアイデアの備蓄も底を尽く頃で、出せば無条件で売れる状況は終わりを迎えつつあると考えるに、そろそろ市場シェアの調整は一巡していよいよ素手の殴り合いの世界に突入するのではないかなと思うのです。それがもし殴り合いを回避し今ドコモがiPhoneを扱うことになるなら、au、ソフトバンクと取り扱い商品が横並びになることを意味し、すなわち再びブランド力による市場シェアの揺り戻しになるわけで、ドコモは苦せずしてシェアを取り戻すことになるであろうことが容易に想像できるのです。
これはどういうことを意味するのか、業界トップ企業が楽をしてシェア拡大基調に戻るなら、その段階から積極的なサービスの向上は望めなくなり、逆にシェアマイナスに転じる2番手3番手もシェア拡大期のようなサービス向上策への投資は難しくなるでしょう。すなわち、我々国内の携帯電話利用者にとってはいいことは何もないのと言う流れになりかねません。ここ数年のドコモの基本料金の値下げや各種サービス料金の見直しは、シェア低下に歯止めをかけるドコモの他社追随の苦肉の策であり、シェアが向上に転じるならこの流れはストップしてしまうことも大いに考えられるのです。
すなわち、ドコモが盟友を犠牲にしガラケー・ビジネスモデルを崩壊させてまで取り組んだ「ツートップ戦略」が効果を見出せない今、最後のカードとしてアップル社の条件を飲んでのiPhone取り扱いが可能性は低いながらあるかもしれません。しかしながら、これは携帯電話利用者にとって決してプラスではないということです。ここからドコモ対アップル社の素手の殴り合いが展開されるなら、不要な機能満載で高額な携帯端末やまだまだ高いスマホ通信料金等の見直しが一層進む可能性は大いにあると思います。いささか荒っぽい論理展開ではありますが、消費者にとっては、いつまでもドコモがiPhoneを扱わずにいてくれることが結果プラスであると考える次第です。
この夏のドコモの販売戦略として大々的にスタートした「ツートップ戦略」。販売奨励金を売れ筋の2機種に傾斜配分するというこの戦略の導入により、“落ちこぼれ”た携帯メーカーが一気に苦境に立たされることは容易に想像ができはしなのですが、あまりにも早いNECの脱落によりガラケービジネスモデルの崩壊が明確になってきました。
そもそも「ツートップ戦略」は、ソフトバンク、auのiPhoneに対抗するため、ドコモ傘下各社のアンドロイド・スマホが乱立する構図は戦力分散につながると考えた結果のものでした。ドコモがツートップに漏れた携帯メーカーの撤退やむなしとするこの大胆な戦略が取れたのは、ひとえにアベノミクス効果による円安と言う家電、IT各社に吹いた“神風”の恩恵に他なりません。
ただ問題はこの一部メーカーの犠牲の上に立つドコモ苦肉の戦略が、これまでのところ対ソフトバンク、auのiPhoneに対してはほとんど力を発揮していないという点です。7月5日に発表された6月の携帯電話契約数によると、ドコモは解約件数が新規契約を上回って差し引き5900件の流出超になっており、鳴り物入りの「ツートップ戦略」はスタートダッシュでは完全な空振りに終わっているようです。
すなわち「ツートップ戦略」で現時点までにドコモがしたことは、ガラケー・ビジネスモデルの崩壊を進めたことだけです。これは考えようによっては、ドコモがiPhoneを扱うための環境整備、布石づくりであるとも思えます。しかしながら、ドコモとiPhoneを扱うアップル社との間には、商品シェアを巡る攻防と言う依然として高い壁が立ちはだかっており(iPhoneではコンテンツビジネスが展開できないドコモの限界シェア3割に対して、アップル社の要求は依然5割と言われています)、そうやすやすとこの問題が解決するとは思えない状況でもあるのです。
円安によるメーカー各社の見かけ上の業績回復を盾に、盟友切り捨て策に出た「ツートップ戦略」でもキャリア転出を止められないドコモの劣勢。もはやアップル社の軍門に下ってiPhone頼るしかないのか、と思えても来ますが、このシェア流失はよくよく考えると過去のドコモの市場シェアが高すぎただけなのではないかと言う気もしています。ドコモのNTTグループとしてのブランド力で実力差以上に行き過ぎていたシェアが、iPhoneのブランド力により行き過ぎの解消がはかられているだけなのではないかと。
アップル社もジョブズ後2年でアイデアの備蓄も底を尽く頃で、出せば無条件で売れる状況は終わりを迎えつつあると考えるに、そろそろ市場シェアの調整は一巡していよいよ素手の殴り合いの世界に突入するのではないかなと思うのです。それがもし殴り合いを回避し今ドコモがiPhoneを扱うことになるなら、au、ソフトバンクと取り扱い商品が横並びになることを意味し、すなわち再びブランド力による市場シェアの揺り戻しになるわけで、ドコモは苦せずしてシェアを取り戻すことになるであろうことが容易に想像できるのです。
これはどういうことを意味するのか、業界トップ企業が楽をしてシェア拡大基調に戻るなら、その段階から積極的なサービスの向上は望めなくなり、逆にシェアマイナスに転じる2番手3番手もシェア拡大期のようなサービス向上策への投資は難しくなるでしょう。すなわち、我々国内の携帯電話利用者にとってはいいことは何もないのと言う流れになりかねません。ここ数年のドコモの基本料金の値下げや各種サービス料金の見直しは、シェア低下に歯止めをかけるドコモの他社追随の苦肉の策であり、シェアが向上に転じるならこの流れはストップしてしまうことも大いに考えられるのです。
すなわち、ドコモが盟友を犠牲にしガラケー・ビジネスモデルを崩壊させてまで取り組んだ「ツートップ戦略」が効果を見出せない今、最後のカードとしてアップル社の条件を飲んでのiPhone取り扱いが可能性は低いながらあるかもしれません。しかしながら、これは携帯電話利用者にとって決してプラスではないということです。ここからドコモ対アップル社の素手の殴り合いが展開されるなら、不要な機能満載で高額な携帯端末やまだまだ高いスマホ通信料金等の見直しが一層進む可能性は大いにあると思います。いささか荒っぽい論理展開ではありますが、消費者にとっては、いつまでもドコモがiPhoneを扱わずにいてくれることが結果プラスであると考える次第です。