日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

京都教育大~教育機関として恥ずべき破廉恥事件対応のオソマツ

2009-06-01 | ニュース雑感
京都市内の居酒屋で酒に酔った女性に集団で性的暴行を加えたとして、京都教育大学生6人が集団準強姦容疑で逮捕されました。この事件で、加害者の学生6人はいわずもがな論外の憎むべき犯罪者であるのですが、事件発生当初から被害者の母親の相談を受けていた京都教育大は、その段階で京都府警へ通報せずに調査を進め関係者を内々に処分していたということが発覚しており、この大学のトンチンカン対応は加害者の罪とは別に問題視されるべき事態であると取りざたされております。

本件は親告罪ではない上、口裏合わせなどの恐れもあっただけに、捜査関係者は「なぜすぐに通報しなかったのか」と憤っていると言います。処分後も公表しなかったことについて寺田光世同大学長は、「学生に対する教育的配慮を優先し、捜査を混乱させない配慮から正確な情報を得てから公表すべきと判断した。間違った対応はしていない」と堂々と大学側の対応の正当性を主張しており、破廉恥極まりない学生の犯罪行為の重大性認識について、一般常識との大きなズレを感じざるを得ないのです。

しかも、会見で学内調査結果の詳細については「教育的配慮」を連発して説明を拒否。当初は6人の処分内容も「教育的配慮」として明らかにしないなど、世間の騒ぎでやむを得ず開いた謝罪会見であるのが明らかな状況で、報道陣との押し問答は約3時間半にも及んだといいます。調査結果を府警に伝えていない理由についても「被害者の立場を考慮した」などと筋の通らない話で自己の正当化に終始したようです。

この大学側の対応からうかがい知れる問題点を一言で申し上げるなら、大学という最高学府の教育機関でありながら、組織運営における危機管理が全くなされていないということに尽きると思います。営利団体でない大学といえども公共性を帯びた一社会機関であり、いつ何時その構成員(職員、学生)が事件・事故を起こし、組織として社会的批判にさらされるかもしれないというリスクは常に存在する訳で、この点に関しては日頃から十分な認識をもって管理・対応をすることが求められているのです。

同大はそれができなかったばかりか、事件発生時に誤った対応を取っていながら、その過ちすら現段階でもまだ認識が出来ていないというお粗末さです。やはり大学の先生方は、社会性に乏しく常識に疎いということに尽きるのでしょうか。普通の大学であるならばまだしも、同大が教育者を育成する国立の教育機関であることを考えると、この問題の深刻さはそこはかとなく深いものであると思えてなりません。