日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

GM破たんから学ぶべきもの

2009-06-02 | ニュース雑感
アメリカの大手自動車メーカーGMの破産法適用のニュースは、全世界で大きな衝撃をもって受け止められ、マスコミ各社とも破格の扱いで報道しています。

オバマ政権は、早くからGMの破たん処理が近いことを示唆する情報を流し続け、マーケットに対して“織込み済み情報”化を促す努力を続けてきました。その甲斐あって世界のマーケットは昨日の破たん申請のニュースにも、比較的落ち着いた対応ができたように思います。日本の株式市場でも、“悪材料出尽くし感”もあってか昨日今日と株価は堅調な推移を見せ、日経平均は1万円台に戻そうかという状況にあります。

しなしながら我々は、大きな経済的ダメージもなくよかったと胸をなでおろすだけでなく、100年企業GMの破たんから学ぶべきものを今一度確認し検証する必要があるのではないかと考えています。今朝の日経新聞社説欄にそのヒントになる事柄が記されていました。GMが破たんに至った原因を、同社とそれを取り巻く環境を歴史的に紐解きながら解説しています。そこから読み取れるポイントを私なりにまとめると、①小型車の人気が高まった時代に利益優先で見向かなかったこと、②日本車の台頭で競争力を失った時代に政府の介入による保護政策に守られ延命されたこと、③コスト削減による体質強化に本気で取り組んでこなかったこと、となるでしょう。

この3点のポイントは言い換えると、①利用者を向いた業務の取り組み不足、②市場原理を無視した政府の過保護な既得権保護政策、③経費意識の欠如による効率化への取り組みの遅れ、とうことになるかと思います。これ、落ち着いてよーく見てください。まさしく、日本最大の組織機関である官業の現実とあまりに符合しているとは言えないでしょうか。「決して国民に向かわない勝手行政」「政治家を抱き込んでの既得権堅持」「一向に改まることのない無駄遣い財政」、GMの破たん原因はまったくもって日本の官僚主導の官業組織の問題点そのままなのです。

我々民間人はGMの破たんから反省を促される部分は多々あるのですが、上記のような観点からは官業を動かす官僚の方々にも今回の破綻は自身の組織運営に対する警鐘であると受け止めて欲しいと思います。この国をGMと同じ道を歩ませ未来の子供達に負の遺産を背負わせることなく、継続的に繁栄させていくための「改革」努力は決して怠ることなく進めてなくてはいけません。マスコミも、他の報道に圧されて一瞬改革検証の手が緩むことはあっても、官制改革は長い目で見て国民にとって最重要テーマであるとの認識を忘れずに、一定のトーンを保った継続的報道姿勢を貫いて欲しいものです。