日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ61 ~ すぐに使える「見える化」のヒント3

2009-06-05 | 経営
すぐに使える「見える化」のヒントの「3」は、「会議の見える化①」です。

だらだらと何を決めようとしているのか分からない、何を議論しているのか分からない「会議」は世の会社に多いものです。「議論」や「決議」が行われている「会議」はまだいい方で、中には「報告」や社長の一方的な「示達」が中身でありながら「会議」と称し、「会議」をしているつもりになっているそんな会社も多いのです。そこまでひどくなくとも、時間ばかりを費やして大した効果も生んでいない「会議」は、「会議の見える化」ができていないケースがほとんどです。「会議運営」をこの「見える化」の観点から実地にアドバイスをするだけで、社内コミュニケーションが活性化し業績に反映されるコンサルティング例はかなり多くあるのです。

①「会議目的」の“見える化”
まず「会議」を開催する際、その入口で一番大切なことは、その「会議」の目的が何であるのかすべての参加者が見えているかどうか、この点に尽きます。これができていないと、参加者はただ漫然と「会議」に出て求められるままの受け答えをし、主催者の思惑以外何も先進的なことは決められることなく毎回同様の「会議」を繰り返しているだけ、になってしまいます。これでは「会議」をする意味が全くありません。たとえ主催者が、思惑をもってある「議題」を「会議」に諮る場合でも、それを決議する会議メンバーがその「議題」の「目的」を共有しているか否かで、「決議事項」が有効決議されるか否か、社内に浸透するか否かは大きく違ってくるのです。

では、この「会議目的の見える化」のためには何をしたらよいのでしょう。大前提は事前の「議題」の共有です。「会議」では一般に、「アジェンダ」と呼ばれる「会議」で議論されるテーマが事前に参加者全員に配布されます。もし、「アジェンダ」の事前配布すら行われていない会社があるようでしたら、まずこれがないとお話にならないと御認識いただきたいと思います。なぜなら「アジェンダ」の事前配布がない会議は、参加者は何の心構えや準備もなくただ会議室に時間に行くことだけが会議参加の「目的」になってしまうからです。“居眠り”“内職”“うわの空”が当たり前の状態で、「会議」が正常に機能するハズがないのは、容易にお分かりいただけると思います。

次に「アジェンダ」の作り方ですが、ただ「議題」を並べただけの「アジェンダ」では「会議目的の見える化」には不十分です。「議題」とはあくまで「何について議論をするか」ということだけが表現されているもので、参加者が有効な事前準備に基づいた有益な議論をするためには、これだけでは事足りないのです。「会議目的を見える化」するということは、今日行われる会議は「何のための議論がされるのか」言いかえれば「議題の狙い」を伝えることこそが大切なのであり、それとともに「何についての結論を出すことが目的であるのか」まで「アジェンダ」には言及する必要があるのです。

これこそが「会議目的の見える化」です。
この「何のための議論がされるのか」そして「何についての結論を出すことが目的であるのか」が参加者の共通認識としてあれば、会議は至って有効なものになるでしょうし、何より声の大きい誰かの一言で「枝葉」に行きかけそうな議論を、皆で「幹」の方向に揺り戻すことが可能になるのです。「会議」の議論が知らず知らず横道にそれて、終わってみれば何を議論して何を決める会議だったのだか分からない、そんな「会議」は、皆が「会議の目的」を見失っているから起きることなのです。

以上を整理すると、

★「会議」の「アジェンダ」を事前配布すること
★「アジェンダ」には「議題」だけでなく、「議題の取り上げ理由」「何を決議するか」を明示すること
★上記事前配布「アジェンダ」は会議中も全員が目にできるよう席上配布して、「アジェンダの見える化」をしつつ議論をすすめる

この3点で「会議目的の見える化」をすれば、御社の会議は確実に変わります。