日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ41 ~ 「不満」1/3以上で制度・ルールは見直しを

2008-10-08 | 経営
社内制度やルール、運営方針等に対し不平不満が聞かれた場合、「全体のどれぐらいの社員が不満を持ったら問題視すべきなのでしょうか」と聞かれることがあります。

不平不満がたくさん出ていることをほったらかしにしておけば、確実にモラール・ダウンや離職率上昇を招くでしょう。そうかと言って、ちょっと不平不満を耳にしただけでなんでもかんでも「改善」「改訂」を繰り返してたのでは、キリがないですし会社として成り立ちませんよね。半数が不満を感じてから手を打つのは遅い気がしますし、1~2割の人間の不平不満でも聞き入れるべきなのか悩ましいところです。

物事の分類に関するひとつの経験則的法則として使えそうなものに、「2:6:2」の法則というものがあります。聞いたことがあると思いますが、何でも物事は「2:6:2」の比率に分かれるのが普通であると言う法則です。例えば、人材で「優秀」「普通」「問題」の比率は、「2:6:2」になると言われますし、底辺の「2」を辞めさせてもまた、残りの人材は「2:6:2」に再度分かれることも知られています。

物や人物に対する「好き」「嫌い」も同様です。この場合も、「好き」「どちらでもない」「嫌い」に分かれる比率は、特殊要因がない場合、普通「2:6:2」に分かれると言われています。ということは裏を返せば、特殊要因がないケースでは何事も「2:6:2」の比率が大きく崩れた場合は、どこかおかしいか歪みがあると判断できる訳です。

すなわち、社内の一部で問題視されるような声が上がった規則や制度がある場合、全社アンケートをとって、3択回答における「問題なし」「どちらとも言えない」「問題あり」の比率を見てみるといいのです。注目は特に最後の「2」、「問題あり」とする人が2割を超えるようなら要注意です。でも2割を多少超えた段階ですべて見直し対象かというと、問題によって当然誤差もありますから必ずしもそうではありません。2割を超えた程度なら、一応見直しに関して議論の余地ありとの考えぐらいが妥当でしょう。

では、問題による誤差を見込んでも絶対的に見直しが必要なケースは、どのくらいの比率からでしょうか。一般的には、「2:6:2」の真ん中の「6」を、さらに「2:6:2」に分けた場合の最後の「2」の部分が誤差の最大値とみていいでしょう。すなわち、60%の20%ですから、誤差の最大値は12%になります。

先の「2」=20%にこの12%を加えた32%が許容範囲の限界値ということになります。丸めて分かりやすくしておくなら、全体の3分の1以上が「問題視」することは見直しが必要ということになります。すなわち、株主総会で定款変更等の重要議題は、議決権の3分の2以上の賛成が必要である取り決めと、理論的に符合する訳です。

社内で問題になるケースが多い「人事」「評価」「給与」などの制度の問題。ややもすると、経営の勝手で経営者の「考え」を押し付けているケースも間々見られます。このような問題で社員の間から「不平」や「不満」が目立って多いようなら、まず無記名アンケートをとりましょう。その結果、「問題視」が3分の1を超えているなら迷わず見直しが必要な状態であると言えるのです。それでもほおっておけば、間違いなく離職率は上がり、非効率な経営状態に陥るリスクを抱えることになるのです。