静聴雨読

歴史文化を読み解く

世界標準・2

2012-09-29 07:37:37 | 社会斜め読み

 

さて、現役の勤め人であった時、企業から派遣されて「JIS」(日本工業標準)の制定を行う委員会に委員として参加したことがあります。

制定するJISは「日付の表記」のでした。年・月・日をどのように表記するかの標準を定めるものです。日付の表記はすでにISO(世界標準機構)でIS(世界標準)が制定されており、JISはそれに基づく日本における標準として位置づけられる、とのことです。これを、「翻訳JIS」というそうですが、近年では翻訳JISが多くなっているそうです。

さて、単に「日付」といっても、その中には、年・月・日という要素があります。また、それらの並びでも、年・月・日という並びもあれば、日・月・年という並びもあり、また、September 29, 2012 のように、月・日・年という並びも使われています。また、年・月・日の間の「区切り文字」として何を認めるか、についても様々な意見があります。さらに、どのような省略形を認めるかにも種々意見があります。このように、日付の表記には多くのバリエーションがあって、混乱してしまいかねません。

もう一つ、「日付の表記」のJISの制定で議論になったのは、日本における「元号」をどう取り扱うか、でした。元号ははなはだ特殊な年表記方法で、わが国でしか通用しません。「JISだから、それでもいいか」という考えもあります。一方、明治・大正・昭和・平成と続いてきた元号ですが、次の元号がいつ・どのような表記になるかはその時にならないと、誰もわかりません。結論として、元号の取扱いをどうしたか、記憶にありません。

少なくとも、外国との貿易などに使うには元号は適さないことは明らかですし、コンピュータで処理するデータとしても元号は望ましくありません。(イスラム諸国はどうしているのだろうか? ムハンマド歴を使っているのでしょうか?)

年を表わすのに「西暦」が万能だとは思いませんが、貿易やコンピュータ処理の上では、西暦は便利な表記法だと思います。「世界標準」とは、実用上の合理性を追求するためのツールではないでしょうか? (2012/9)



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