静聴雨読

歴史文化を読み解く

郵政問題をめぐる混迷・1

2010-06-12 06:12:29 | 社会斜め読み
ここに来て、国民新党の亀井党首が、郵政改革法案の早期国会通過を求めて、再び暴れている。
与党の郵政改革法案の骨子は、現行の日本郵政グループ(持株会社)のもとに並列してある郵便事業、銀行事業、生命保険事業の3事業会社と郵便局会社の4社体制を改め、郵便事業会社と郵便局会社を合わせた会社の下に、銀行事業、生命保険事業の2事業会社をぶら下げるという体制だ。

また、各事業会社の独立性を弱めるとともに、政府の関与の余地を拡大する、というものだ。

この「郵政改革法案」にはまったく賛成できない。

現状の日本郵政グループは、郵便事業の採算がまったく期待できない、という弱点をかかえたままだ。銀行事業、生命保険事業はそこそこの採算ラインに乗っているのに対し、郵便事業は「ユニバーサル・サービス」(どの地域でも同じサービスを受けられる体制)の維持が足かせとなって、採算ラインに乗せることができない、という。

郵便事業の経営効率化のために取るべき施策の第一は、郵便事業会社からローカル郵便ネットワークを切り離し、その要員(郵便配達員)と車ごと、郵便局会社に移管することだと以前述べた。ローカル郵便ネットワークを維持し活性化できる知恵を持っているのが地域を担当する郵便局会社の郵便局だからだ。

一方、郵便局会社を切り離した郵便事業会社は身軽になり、「ユニバーサル・サービス」の足かせから解き放たれて、ヤマト運輸や佐川急便グループと同様の競争条件に置かれることになる。それで、採算ベースに乗せられなければ、自らの経営手法に欠陥があると思う必要がある。  (2010/6)



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