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静聴雨読

歴史文化を読み解く

ドイツ:絵と音楽の旅 9

2014-04-07 07:24:20 | 異文化紀行

 

(9)森鴎外

Sバーンをベルリン中央駅からフリートリヒ・シュトラーセ駅に向かう途中に、「鴎外」と壁に記した建物が目に入る。気になって、五日目にここを訪ねてみた。初老の日本人の女性が迎えてくれた。

鴎外は若いころ医学生として4年間ドイツに留学して、ベルリンにも住んだことがある。この「鴎外記念館」は、鴎外の下宿があった地域に開設されたものだという。『舞姫』『うたかたの日』『ウィタ・セクスアリス』などの作品に、鴎外のドイツ体験が記されているはずだが、私はまだこれらの作品を読んだ覚えがない。帰ったら、読んでみよう。

鴎外は遺言で、「石見人として死せんと欲す」と記し、宮内省や陸軍省からの顕彰を拒絶した。これが、われわれ一般人には最もわかりやすい鴎外の姿だ。

(2014-04)


ドイツ:絵と音楽の旅 8

2014-04-05 07:22:50 | 異文化紀行

 

(8)文化フォーラム

三日目は絵を見ることにした。ポツダム広場にある文化フォーラムに入っている「絵画館」。ヨーロッパの多くの大都市の美術館がそうであるように、ここでも、中世から18世紀にかけての絵が展示されている。その数は膨大だ。部屋ごとに、国と時代を分けているので、わかりやすい。私の好きな、陽気な肖像画家フランツ・ハルスも数点展示されている。ミュンヘンのアルト・ピナコテークで脇に追いやられて不遇をかこっていたハルスが、ここでは、正当に展示されていて、安心した。

各国の画家を見て回って、中世の宗教画の部屋に戻るとほっとした気分になるのはどうしてだろう? 各国の画家のような個性を感じさせる絵はなく、一様に神・キリスト・マリアを描いている絵に、ヨーロッパ共通の精神が体現されているように思うのだ。

(2014-03)


ドイツ:絵と音楽の旅 7

2014-04-03 07:15:34 | 異文化紀行

 

(7)動物園と水族館

今回は、オペラを聴くのに構えることが少なかった。また、昨年とは違い、暖かい気候に迎えられたので、自由な時間が多く取れた。その時間は観光に充てた。

二日目は、ヤナーチェク『カーチャ・カバノヴァー』のリブレットを読んだあと、ホテルを出た。

ツォー駅で、後日のハンブルク行きの列車の切符を買い・座席を予約した。ファースト・クラスで片道€98.50。高いのか、安いのか。

その足で、動物園に行った。冬の動物園は閑散としていた。ライオンの親子が凄みを効かせていた。ライオンの檻と観客とは壕で隔てられているが、オープン・エアに変わりない。パンダやゴリラは姿を見せなかった。

動物園に隣接して水族館があり、ここは家族連れでにぎわっていた。

大きなエボダイが愛嬌ある顔つきで、右から左に群れをなして横切っていく。

(2014-03)

 


ドイツ:絵と音楽の旅 6

2014-04-01 07:06:44 | 異文化紀行

 

(6)今回のオペラ

今回、ベルリン・ハンブルク・ブレーメンで、8本のオペラと1回のコンサートを聴く予定だった。(後に、オペラが1作増えて9本になった。)

 

ヤナーチェク『カーチャ・カバノヴァー』『イェヌーファ』

モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』

リヒャルト・シュトラウス『サロメ』

ロッシーニ『セビリアの理髪師』

プッチーニ『マノン・レスコー』『ラ・ボエーム』

ビゼー『カルメン』

ベートーヴェン『フィデリオ』

 

うち、ヤナーチェクが最大の目的で、リブレットを読むなどの準備をした。ほかは、あまり構えることなく、聴いてみようと思った。

(2014-03)

 


ドイツ:絵と音楽の旅 5

2014-03-30 07:00:26 | 異文化紀行

 

(5)シャワーのようにオペラを浴びる

ワーグナー・モーツァルト・ヤナーチェクのほかにも、好きになれるオペラ作家または作品があるのではないか、と思うようになった。食わず嫌いのイタリア・オペラも聴いてみたい。そう考えて、昨年から、演目を制限しない「オペラの旅」をすることにした。これを、「シャワーのようにオペラを浴びる」と表現しよう。あまり予備勉強もせず、とにかく、聴いてみる。それで引っかかるオペラ作品が出てきたら、さらに深く研究してみようと考えた。

ワーグナー・モーツァルト・ヤナーチェク以外で、私の記憶にあるオペラ作品の名を挙げてみよう。(タイトルの中の○は聴いたことがあるもの、◎は面白かったもの。)

ヴェルディ『アイーダ○』『椿姫○』『イル・トロバトーレ』『ドン・カルロ◎』『運命の力○』『シチリア島の夕べの祈り』『オテロ○』『マクベス』

プッチーニ『ラ・ボエーム○』『蝶々夫人』『マノン・レスコー○』

ロッシーニ『ウィリアム・テル』『泥棒かささぎ』『セビリアの理髪師○』

ドニゼッティ『ルクレツィア・ボルジア』『連隊の娘』『愛の妙薬』

チレア『アドリアナ・ルクヴルール』

レオンカバッロ『道化師』

マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』

 

ベートーヴェン『フィデリオ○』

ウェーバー『魔弾の射手』

ヨハン・シュトラウス『こうもり』

リヒャルト・シュトラウス『エレクトラ』『薔薇の騎士』『ナクソス島のアリアドネ○』『サロメ◎』『影のない女』『アラベラ』

アルバン・ベルク『ヴォツェック』『ルル』

 

ビゼー『カルメン◎』

グノー『ファウスト』

チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』

ムソルグスキー『ボリス・ゴドゥヌフ』

スメタナ『売られた花嫁』

 

以上、40作に満たないほどだ。あと2年で、これらの作品をなるべく多く聴いてみよう。これが当面の計画だ。 (2014-03)


ドイツ:絵と音楽の旅 4

2014-03-28 07:53:44 | 異文化紀行

 

(4)オペラと私

私のオペラ歴は永くない。

クラス会で会った小学校のクラス・メートに「あなた、昔からオペラが好きだったの?」と揶揄された。その通り、小学校時代は、音楽の「お」の字もオペラの「お」の字も口にしたことなどなかったのだ。クラシック音楽を聴き始めたのは、大学を卒業して社会人になってから。演奏会の値段が高いので、学生時代は音楽会に通うなど考えられもしなかった。オペラに近づくにはさらに高い障壁が立ちはだかった。オペラの演奏会は目玉が飛び出るほど高く、さらに、日本では限られた演目しか聴くことができないのだ。

そのような中で、わずかに聴いたオペラの中で、私の気に入ったオペラ作家はワーグナー・モーツァルト・ヤナーチェクであることがわかった。この3人のオペラは全曲聴いてみたいと思った。

 

数年前、正確には、2009年から、まずはワーグナーのオペラを征服しようと企てた。日本にいては、この試みを実現するには何年かかるかわからない。それで、本場(ワーグナーの場合はドイツ・オーストリア)に出かけることにした。本場では、数曲のオペラをまとめて聴ける機会があるのだ。

2009年には、バイロイト音楽祭で、『ラインの黄金』『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』

『パルジファル』を聴いて感銘を受け、2013年にベルリン・ドイツ・オペラで、『ローエングリン』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』『トリスタンとイゾルデ』『タンホイザー』を聴いた。

 

モーツァルトについては、『フィガロの結婚』は過去何回も聴いたし、『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』も聴く機会があった。あと、『コシ・ファン・トゥツテ』『後宮からの誘拐』『皇帝ティトスの慈悲』を聴けば、全曲制覇が成る。

 

ヤナーチェクについては、プラハで聴いた『イェヌーファ』にいたく感銘を受けた(1997年)。ごく、普通の農村社会を舞台にしたオペラで、伝説物(ワーグナー)や宮廷物(モーツァルト)とは全く異なる境地を開いたものとして注目した。隣のおばあさんと孫娘に「素晴らしかった」と話かけると、二人はうなずいていた。

さて、ヤナーチェクのオペラはあまり上演されない。全部で7作あるのだが、全曲制覇はいつになるか、予想つかない。 (2014-03)


ドイツ:絵と音楽の旅 3

2014-03-26 07:42:33 | 異文化紀行

 

(3)暖かい!

ベルリンに着いて驚いた。暖かいのだ。

「ミスター、ずいぶん暖かいね!」

「へい、クレイジーなほどです。」

「昨年3月に来た時には、雪が積もっていたよ。」

「へい、昨年はいつまで経っても冬が終わりませんでした。」

 

ベルリンは、日本の地域に例えれば、青森に近い寒さであるはずだ。

ところが、最低気温2℃、最高気温8℃で推移しているらしいのだ。これは、出発前の首都圏の気温に等しい。ずいぶん暖かい気候だ。これで、私の「冬の旅」という被虐的な思惑は吹き飛んだ。

ベルリンのホテルの選択については、事前に研究した。昨年はSバーンのティア・ガルテンに近いホテルを選んだ。ベルリン・ドイツ・オペラに通いやすく、それはそれで、まずまず合格だった。

今年は、シラー劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ(ともにビスマルク通り)のほかにフィルハーモニー(ポツダム広場)にも通う予定なので、さらに良い立地が必要だと考えた。それで、ツォー駅近くのホテルを探した。ツォー駅からは、UバーンのU2で、シラー劇場(エルンスト・ロイター広場駅)、ベルリン・ドイツ・オペラ(ベルリン・ドイツ・オペラ駅)、フィルハーモニー(ポツダム広場駅)に一本で行ける。また、Sバーンで、ベルリン中央駅やフリートリッヒ・シュトラーセ駅にも行ける。

そして、私の選んだのは「 alletto Kudamm 」だ。ホテルに着く前は、正確な場所はわからなったが、タクシーで行ってみると、何とツォー駅のすぐ近くだった。立地は満点だ。

初日はホテルに夜10時半に入り、そのまま寝に着いた。 (2014-03)


ドイツ:絵と音楽の旅 2

2014-03-14 07:41:00 | 異文化紀行

 

(2)機中にて

初日はパリ経由でベルリンに入った。パリまでは、都合でエール・フランスを利用した。これが、最悪だった。何が悪いといって、座席の狭さがひどいのだ。20年前の標準ではないのか?膝が前の座席につくほどなのだ。私は小柄な方だが、大きな人の苦痛は推して知ることができる。

音楽サービスで、シューベルト『冬の旅』のCDがあった。ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウが歌い、ジェラルド・ムーアがピアノ伴奏をつける歴史的名盤だ。これを聴きながら、ドイツ北部の冬を思い描いた。 (2014-03)


ドイツ:絵と音楽の旅 1

2014-03-12 07:37:31 | 異文化紀行

 

(1)序

 今年2月にドイツを旅した。ベルリン・ハンブルク・ブレーメンで、オペラを聴き、絵を観てまわった。その記録を綴ってみたい。(途中、脱線が挟まる予感があるが、ご容赦いただきたい。)

当初は、その記録を「ドイツ:冬の旅」と題するつもりだった。それが、後に述べる事情により、「羊頭狗肉」となりかねないので、このように変更した。

5年前、「バイロイト詣で」というコラムの末尾に、「次は『ドイツ:冬の旅』をしてみたい」、という趣旨のことを書いた。厳冬の時期にドイツ北部を旅しながら、ワーグナーを聴いたり、ブレーメン近郊の芸術家村を訪ねたりする旅を思い描いていた。旅の通奏低音はシューベルト『冬の旅』だ。

昨年3月にドイツを訪れた時、記録的厳冬に遭遇した。(写真は2013年3月下旬のベルリンのティア・ガルテン。)それで、2月であれば、さらに寒い冬を体験できるのでは、というやや被虐的な思惑に支配されていたのだ。 (2014/3)

 


ヨーロッパ!ヨーロッパ! (2)中世への回帰

2014-02-12 07:37:50 | 異文化紀行

「ヨーロッパへの憧れ」の再燃を記したが、その憧れの内容は以前とはいささか異なっているようだ。

これまでの「ヨーロッパ」は、いわゆる「西欧」のことで、イギリス・フランス・ドイツなどの国々のことだった。
イギリスでいえば、ウィリアム・モリスなどの「アート・アンド・クラフツ運動」やカール・マルクスも通った大英博物館。フランスでいえば、フランス革命以来の華やかな近代史や印象派の絵画・フランス映画など。ドイツでいえば、バッハ・モーツァルト・ベートーヴェンなどのクラシック音楽やトーマス・マンの文学など。これらが関心の的だった。

それが、近年はやや関心の対象が変わってきている。

「ヨーロッパ」の起点は中世にあることを再認識したことが大きい。そして、中世とは、キリスト教とイスラム教とが共存し葛藤を繰り広げた時代で、その痕跡は、「西欧」だけでなく、周辺のヨーロッパ諸国にも数多く見られる。スペインのアンダルシアを旅して、このことを実感した。

中世の遺跡は、文字通り、ヨーロッパのいたるところにあり、私の訪れたところだけでも、スペインのアンダルシアのほかにも、ポルトガルのリスボン、チェコのプラハ、フランスのパリ左岸やシャルトル、オランダの田舎街、ドイツのケルン、などがある。これらの中世遺跡を訪ね歩くことは、「西欧」文化に触れることに匹敵する楽しみなのだ。

そして、中世への興味を引き出してくれた高校・大学の歴史教育に感謝する気持が大きくなった。 (2010/11)


ヨーロッパ! ヨーロッパ! (1) 憧れの地

2014-02-10 07:52:45 | 異文化紀行

人間は歳を重ねると小さい頃・若い頃に帰るようで、最近になって、高校時代に培った「ヨーロッパへの憧れ」が再び頭をもたげてきた。昨年はワーグナーの楽劇を聴くためにドイツを旅した。それは、私のヨーロッパ熱を再燃させるに十分だった。

そして、今では、行こうと思えば行けるのだが、なぜか前に踏み出せないでいる。萩原朔太郎の詠った「ふらんすに行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」の状態に金縛りになっている。

そう、「ヨーロッパは遠い」のだ。これは、歳を重ねて、体力の衰えを自覚し始めた証しだ。これからは、何回もヨーロッパに行けないかもしれないと思っている。

それでも、是非行きたいところを3ヶ所挙げるとすれば:

ドイツ: ブレーメン近郊のヴォルプスヴェーデ村の芸術家コンミューンを訪ねる旅とワーグナーの楽劇を再び聴く旅を併せてしてみたい。季節はいつでもよい。今年2月のベルリン・ドイツ・オペラのワーグナー集中上演の例から推すと、冬になることも大いに考えられる。「ドイツ:冬の旅」の実現だ。

北イタリア:ミラノ・ヴェネツィア・フィレンツェの三都市は音楽・美術・文学の醸す垂涎のトライアングルだと思う。須賀敦子のミラノ、トーマス・マンのヴェネツィア、若桑みどりのフィレンツェは、どのようなたたずまいを見せていたのか? 通貨リラの恐怖から解放されて、イタリアも身近になった。

イスタンブールとブダペスト:ヨーロッパとアジアが交差し、キリスト教とイスラム教の歴史文化が交錯するイスタンブールは是非訪ねてみたい。
また、プラハ・ウィーンと歴史ある中欧の都市を巡った後には、ブダペストにも行ってみたいものだ。加えて、マジャールの面影をもたどってみたいし、温泉文化も興味あるところだ。

トルコ航空を使えば、イスタンブールとブダペストを一回の旅行で回れる旅程が組める。これを利用する。

以上、3回とも、ゆったりとした日程で、もちろんツアー旅行は使わずに、旅ができたら最高だ。
(2010/11)


ベラルーシの風 3

2014-02-08 07:44:34 | 異文化紀行

 

ミンスクは清潔な街で、私の同僚は「道路にゴミ一つ落ちていない」と評したが、それは少し言い過ぎで、私は街中の植え込みの中にウォッカの空きボトルを発見した。これはどの街でもあることだろう。それにしても清潔な街は味気ない。横の路地に入れば、ごたごたした飲食店でもあるのだろうか?

ミンスクの街は大きく、人口180万人を数えるという。そのため、街のそこここに巨大なアパートが林立している。地元の人は「グロテスクな建物」だという。その通りだ。

ホテルからヨーロッパ将棋選手権の会場まで、公園の中を通るのだが、そこにある池は穏やかで美しい。水面を渡る風がさわやかだ。朝から釣りをしている人がいる。たなごのような魚がかかっていた。でも、これは食べられないだろう。

なお、「ベラルーシの風」とは、在日ベラルーシ大使館のホームページのタイトルだ。

 (2014-02-08)


ベラルーシの風 2

2014-02-06 07:41:40 | 異文化紀行

 

事前に入手できたベラルーシの情報は少なかった。

岸 恵子『ベラルーシの林檎』(朝日文庫)があったが、中身はバルト沿岸諸国を通ってサンクト・ペテルスブルクに向かう旅行記で、車内で貧弱な林檎を食べるベラルーシの老婆のエピソードが載っているだけだった。

「ウクライナの北」という位置情報を頼りに、チェルノブイリ原子力発電所を訪問できないか、と現地の人に尋ねたが、無理だ、とのこと。

ベラルーシは旧社会主義圏の国だ。これが、日本人にとって、地政学的かつ心理的障壁となっているのではないだろうか? ヨーロッパ将棋選手権への日本からの参加者は、前年(ポーランドのクラクフで開催)に比べて少なかった。日本将棋連盟もプロ棋士の公式派遣を見送った。

現地では、旧社会主義の評判は散々だ。

しかし、街を歩いてみて、清潔な街並み、瀟洒な建物、それなりに親切な人々は、旧社会主義の時代に築かれたものに違いない。旧社会主義も捨てたものではない、と感じた。

(2014-02-06)

 


ベラルーシの風 1

2014-02-04 07:37:37 | 異文化紀行

 

ベラルーシのミンスクに行ってきた。昨年の7月、ヨーロッパ将棋選手権に参加するためだった。

ベラルーシってどこにあるの? と聞かれることが多い。私より年上の人(そんな人は今や少数派だが)には、「昔、白ロシアと呼ばれていました。」というと、通じることがある。私より年下の人には、「旧ソ連の解体とともに誕生した独立国家共同体CISの一員でした。今は独立しています。ロシアの西に位置しています。」と説明するとわかってもらえるが、この説明は長たらしくて不便だ。

一番簡便な説明は、ロシアの西、ウクライナの北、であろうか? これでわからなければ、説明をあきらめたほうがよい。

ベラルーシに入国するためにはビザが必要だ。私はモスクワ経由でベラルーシに入国するつもりだったが、旅行代理店でロシアの通過ビザも取得しなくてはなりません、といわれた。その意味がわからないまま、旅行を始めた。

成田のアエロフロートのカウンターで、モスクワでは入国手続きが必要で、そこから国内便に進んでください、といわれた。「皆さん、間違われるのですよ。」とのことだが、その意味がわからない。

モスクワに着いて、ロシアの入国手続きを済ませ、国際線ターミナルに向かおうとしたら、国内線ターミナルに行きなさい、と係員がいう。さて、どういうことだろう?

ミンスクに着いた。そこでは、入国審査はもとより、税関審査や悪名高い健康保険加入手続きも必要ない。なにしろ、係員がだれもいない。

ここで、ようやく、理解した。「ベラルーシはロシアの国内扱いになっているのだ」と。このことを、旅行代理店もアエロフロートのカウンターも教えてくれなかった。

フランクフルトなどからベラルーシに入国した人の話を聞くと、入国審査・税関審査・健康保険加入手続きなどで、時間と(少額ではあるが)金を費やした、とのこと。

結果として、ロシア経由でベラルーシに入国したことが正解だったわけだが、このことをもっとPRすればいいのに、と思った。 (2014-02-04)

 


ドイツ:冬から早春へ・9

2013-12-22 07:29:45 | 異文化紀行

(9)長い!

バーデン・バーデンでは、ベルリン・フィルハーモニーが引越してきて、イースター・フェスティバルを開催していた。オペラ、管弦楽コンサート、室内楽コンサートのすべてにわたってベルリン・フィルの楽員が出演し、首席指揮者のサイモン・ラトルがオペラと管弦楽コンサートを指揮する。なかなか経験できないイベントだ。

ベルリン・フィルのイースター・フェスティバルといえば、カラヤンがザルツブルクで開催していたものの記憶が鮮烈だ。カラヤンの死後、最近は、ここバーデン・バーデンでイースター・フェスティバルを開く試みが続き、今年から本格的な引越公演となった。

今回、私は、オペラ(モーツァルト『魔笛』)、管弦楽(ブラームス『ピアノ協奏曲第1番』、ブルックナー『交響曲第9番』)、室内楽(ハイドン『キリストの7つの言葉』)を聴くことができた。うち、管弦楽と室内楽はいずれも演奏時間が長かった。

 ブラームス『ピアノ協奏曲第1番』:50分

 ブルックナー『交響曲第9番』:60分

 ハイドン『キリストの7つの言葉』:70分

これらの曲目を、ベルリン・フィルの面々の絹の感触で、かつ、切れ味鋭い演奏で聴けたのは幸せだった。

ハイドンの曲目は弦楽四重奏で全8楽章から成る大曲で、トマス・カストホフのナレーションが付く。このカストホフの声が素晴らしく、これまで聴いたことがない豊かなバス・バリトンを聴かせてくれた。今回の最大の収穫だった。この演奏会がわずか15ユーロ。得した気分だった。      (2013/12)