人間は歳を重ねると小さい頃・若い頃に帰るようで、最近になって、高校時代に培った「ヨーロッパへの憧れ」が再び頭をもたげてきた。昨年はワーグナーの楽劇を聴くためにドイツを旅した。それは、私のヨーロッパ熱を再燃させるに十分だった。
そして、今では、行こうと思えば行けるのだが、なぜか前に踏み出せないでいる。萩原朔太郎の詠った「ふらんすに行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」の状態に金縛りになっている。
そう、「ヨーロッパは遠い」のだ。これは、歳を重ねて、体力の衰えを自覚し始めた証しだ。これからは、何回もヨーロッパに行けないかもしれないと思っている。
それでも、是非行きたいところを3ヶ所挙げるとすれば:
ドイツ: ブレーメン近郊のヴォルプスヴェーデ村の芸術家コンミューンを訪ねる旅とワーグナーの楽劇を再び聴く旅を併せてしてみたい。季節はいつでもよい。今年2月のベルリン・ドイツ・オペラのワーグナー集中上演の例から推すと、冬になることも大いに考えられる。「ドイツ:冬の旅」の実現だ。
北イタリア:ミラノ・ヴェネツィア・フィレンツェの三都市は音楽・美術・文学の醸す垂涎のトライアングルだと思う。須賀敦子のミラノ、トーマス・マンのヴェネツィア、若桑みどりのフィレンツェは、どのようなたたずまいを見せていたのか? 通貨リラの恐怖から解放されて、イタリアも身近になった。
イスタンブールとブダペスト:ヨーロッパとアジアが交差し、キリスト教とイスラム教の歴史文化が交錯するイスタンブールは是非訪ねてみたい。
また、プラハ・ウィーンと歴史ある中欧の都市を巡った後には、ブダペストにも行ってみたいものだ。加えて、マジャールの面影をもたどってみたいし、温泉文化も興味あるところだ。
トルコ航空を使えば、イスタンブールとブダペストを一回の旅行で回れる旅程が組める。これを利用する。
以上、3回とも、ゆったりとした日程で、もちろんツアー旅行は使わずに、旅ができたら最高だ。
(2010/11)
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