花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

「唐松文様」について

2014-01-09 | 文様について

presented by hanamura ginza


今年はじめてのブログになります。
旧年中はお引き立ていただき、誠にありがとうございました。
本年も変わらぬご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

新しい年を迎えて 1 週間が過ぎました。
少し前まで、お正月のおごそかな雰囲気に包まれていた街も、
少しずつ、普段通りの街へと戻っています。

玄関に置かれた門松や、
戸に飾られたしめ飾りが取り除かれると、
お正月が終わったのだという心持ちになりますね。

門松に用いられる松は、
古来より年神さまが宿られる依り代と考えられ、
この松を玄関や門の前に飾る期間は、
「松の内」とよばれています。

松の内の期間は地方によっても異なり、
元旦から 1 月 7 日までとする場合と、
15 日の小正月までとする場合があるそうですが、
いずれにしても、この松の内が終わると、お正月も終了します。

この門松のように、
松は日本の文化とゆかりの深い樹木のひとつです。

日本には、クロマツ、アカマツ、カラマツなど、
8 種類の松が生育していていますが、
木材や食材などの用途以外に、
盆栽などの観賞用としても人気があります。

また、吉祥文様としても着物の意匠に多く用いられ、
松葉や笠松など、いろいろな松が文様化されてきました。
今日は、その中のひとつ、唐松文様についてお話ししましょう。

唐松とは、東北から関東にかけて生育している松の一種で、
世界中でも日本にしかない固有種の樹木です。
日当りの良い場所を好み、
太陽の光りを他の木々にさえぎられることなく
より高くまっすぐに育ちます。

松の多くは、一年中緑色の葉を付けた常緑樹ですが、
唐松は秋になると葉が紅葉し、冬になると葉を落とします。
そして、春を迎えると初々しい若草色の新芽をだします。

この唐松の若芽の姿を放射状にあらわして意匠化したものが、
「唐松文様」と呼ばれています。

唐松文様は、江戸時代に人気を博した文様で、
当時つくられた浮世絵や陶磁器、小袖などの意匠に多く登場します。



上の写真は、京友禅の老舗、千總製の付け下げ小紋です。
肩から裾にかけて末広がりで大きくなるよう、
全体に余すところなく染めあらわされた唐松文様の意匠は、
シンプルだからこそ繊細な染付の美しさが感じられ、
品の良い華やぎがあります。

すくすくと伸びていく若芽の生命力をあらわした唐松文様は、
新春のお出かけにも重宝いただけそうですね。


※上の写真の「千總(ちそう)製 黒茶色 唐松文様 付け下げ小紋 袷」は 1 月 10 日(金)に花邑 銀座店でご紹介予定の商品です。

●花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 1 月 23 日(木)予定です。
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