presented by hanamura
まさしく秋の長雨というように、
一日中雨の降る日が続いています。
大型の台風も接近しているようですね。
しかし今年は、日本列島を通過する台風が少ないようです。
いつも台風の通り道となっていた沖縄でも、
最近では台風が少ないために水不足になっているようです。
これも異常気象のせいなのでしょうか。
心配ですね。
さて、今日はその沖縄でつくられる
「花織(はなうい)」についてお話しします。
花織とは、文様がまるで刺繍のように
生地から浮き出ている織物です。
「花織」という素敵な名前は、
この文様が、花のように
きれいに見えることから付けられました。
沖縄の中心部、首里でつくられているものと
中部の読谷でつくられているものが有名ですが、
そのほかにも沖縄県の各地でつくられていて、
その昔琉球王朝時代には王朝への献上品にもなっていました。
花織には、「浮織」という技法が用いられています。
「浮織」とは、生地を織っていくときに、
地糸とは異なった他の糸を入れながら
文様を織り出していく技法です。
花織の特徴といえるこの文様を織り出していくには、
やはり緻密な作業が必要になります。
まず、織り上げる文様の図案を方眼紙に細かく描きます。
次に地糸にする経糸(たていと)を手に取り、
一本一本を綜絖(そうこう)(※1)に通します。
このとき用いられる糸は、
沖縄で自生する草花を染料として先染めされています。
織るときにはこの綜絖が上下に動き、
経糸が引き上げられます。
そこに図案通りに文様となる糸を通していきます。
以前は手でこの糸を入れていたようですが、
最近では機を用いることが多いようです。
上の花織は、手で文様糸を入れながら織り上げたものです。
緻密な作業を必要とする花織の織り手には、
長く経験を積んだ年輩の女性が多いようです。
沖縄ではこうした老女たちを親しみを込めて「おばあ」とよびます。
とても緻密で精巧な技術を用いているのに反し、
花織にどこかおおらさが漂うのは、
織り手の「おばあ」たちがおおらかなためでしょう。
実際、花織のほかにも沖縄でつくられる染織品には、
その暖かな風土のためか、
おおらかで、土俗的な雰囲気を残しているものが多くあります。
その「おおらかさ」には、
ますます機械化が進む現代のなかでも
花を添えるような美しさがひときわあります。
(※1)綜絖(そうこう)とは四角形の枠の中に針金状のものが並んでいるもの。
※写真の花織りの名古屋帯は花邑にて取り扱っています。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は10月13日(火)予定です。
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