花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

「梟(ふくろう)文様」について

2010-12-07 | 文様について

presented by hanamura


師走になり、今年も残すところ 1 か月を切りました。
街では、いたる所でクリスマスソングが流れ、
年末の街を賑やかに盛り上げています。

ただいま花邑 銀座店では「動物の帯展」を開催しています。
イベントの多い年末年始にお使いいただけるような
愛らしい動物をモチーフにした帯を数多く揃えて、
皆さまのご来店をお待ちしております。

今回は、その「動物の帯展」でご紹介している帯の中から、
縁起の良い「梟(ふくろう)」の文様について
お話ししましょう。

ムクムクとした羽根に包まれた大きな身体に
丸くてくりっとした大きな目。
梟は、その愛らしい姿から人々の間で親しまれています。
人の100倍も感度があるという目を持ち、
漆黒の闇の中でも活動するため、
世界各地で神秘的な鳥としても扱われてきました。

とくに古代のギリシャでは、
聖戦と芸術と知恵を司る女神アテナの使いとされ、
森の賢者として崇められてきました。
アイヌの人々にとっては、
古くから猟を守ってくれる神さまとされていました。

しかし、日本においては、
梟は時には不吉な鳥、
また時には吉祥の鳥ともなる
二面性をもつ動物でした。

梟について記された日本の書物のうち、
最も古いものは、天平時代に編纂された「日本書紀」です。
この時代では梟は吉祥の鳥とされていたようで、
このなかで梟の鳴き声は「吉兆」とされています。

しかし平安時代になると、
梟を闇の中を飛び回る不気味なものとしていたようで、
当時つくられた「源氏物語」には、
梟が気色の悪い鳥として登場します。

一方で室町時代には、
仏教において、梟が296(フクロウ)=2×9×6=108で
人間の108の煩悩を象徴する鳥であったことから、
その仏教観に基づき、
邪気を追い払う神秘的なものとされていました。

江戸時代には、翌日の天気によって、
梟の鳴き声が異なることから、
庶民の間では天気を予報する鳥ともいわれ、
親しまれていたようです。
梟が着物や帯の文様となったのもこの頃のようです。

現代ではネガティブなイメージはまったくなく、
「福郎」や「福来郎」、「不苦労」とも当て字され、
梟は縁起の良い動物としてとくに人気があります。
数々の置き物や人形を集めている
梟コレクターの方も多くいらっしゃり、
よくテレビなどでリポートされたりしていますね。



上の写真の和更紗は、大正時代につくられたものですが、
目が大きく、可愛らしい梟の姿が意匠化されています。
当時の日本は、西洋の文化が多くもたらされていたため、
意匠化された梟には、どこかメルヘンな趣きがあります。
こちらの梟も今年の煩悩や邪気を払って、
福をよんでくれる、
「福郎」君かもしれませんね。

※上の2枚目の写真は「動物の帯展」でご紹介している名古屋帯の文様です。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は12月14日(火)予定です。


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