ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ぶらり「快」的うまい旅 阿藤快

2016-06-27 13:00:00 | 

旅先で、美味い食事に出会えることって、ありそうで、そうそうない。

それほど多く旅に出ている訳ではないが、旅先で一番困るのは、安心して楽しめる食事の場所である。高い金を出せば、そうそう不味い食事は出ないと思う。でも、たまに高い、不味い、サービス悪いの悪の三冠王みたいな店もあることも知っている。

だから、事前にネットで評判を調べたり、ガイドブック、グルメ本などを参考にするのだが、心底美味いと思ったような店はない。それでも、「うん、これなら納得だね」と安心できる程度の美味い店でも、旅先ならば致し方ないと思っている。

地元の方の紹介ならば、大きく外すことはないが、味覚というものは主観なので、「・・・? まァ、食べられなくもないな」なんて経験もあるから、これも絶対という訳でもない。

私の場合だと、これは美味いと唸るような店との出会いは、ほとんど偶然である。たまたま魚が食べたくて、立ち寄った漁港の傍の焼肉屋であったり、立ち食いしている子供たちに教わった駄菓子屋で買った薩摩揚げであったりと、幸運以外のなにものでもない偶然であった。

なかには勘違いからの偶然もあった。あの日、私はどうしてもタンドリーチキンが食べたかった。ところが馴染みのインド料理屋は臨時休業中で、困った私がたまたま目にした写真付きのメニュー。

私の眼には、カレーとタンドリーチキンのセットに見えたので入ってみたら、それはカレーがかかった牡蠣だった。ところがこれがカレーの辛みとマッチした甘い牡蠣であり、望外な美味しさに舌鼓を打ったものである。

後日、雑誌に取り上げられて行列が出来るようになってしまい、少し足遠くなってしまったが、勘違いからの偶然がもたらしてくれた僥倖である。偶然による出会いとは嬉しいものだが、偶然は偶然でしかない。まァ、人生は予定通りにはいかないものだと諦念しているので、美味しければ構わないのだが。

表題の書は、俳優の故・阿藤快氏が旅先で出会った美味しい店、美味しい料理を取り上げたものだ。多分、口述筆記だとは思うが、阿藤氏の人柄が偲ばれる文章は、そう悪くない。

あまりTVを見ない私ではあるが、阿藤海(改名前)はわりと覚えている。どちらかといえば渋いというか、こわもてのする俳優さんであったと思う。悪役の印象が強いのも、そのせいだと思う。

でも、得てしてこのような人がニコッと笑うと、そりゃァ、人好きのするイイ笑顔を見せるものだ。だからだと思うが、旅グルメのはしりのような番組に起用されていたのだと思う。

そしてロケ先、旅先で出会った人たちの懐に飛び込んで、日本各地の美味い店、美味い料理を食してきたのでしょう。実に楽しいエッセーでした。私も後、何年生きて、どれだけ食べられるか分かりませんけど、なるべく美味しい食事をして生きていたいものです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ニート 玄田有史 曲沼美恵 | トップ | 円高好況 »

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事