ヌマンタの書斎

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鉄豪ニの未来

2021-04-23 12:00:00 | 経済・金融・税制
やはり日本は製造業の国なのだろうか。

脱炭素などと言っているが、要は石油の効率的な使用だろう。そうなるとエネルギー効率の悪い自動車よりも、大量輸送が可能な鉄道に物流インフラが移行することは必然である。

実際、これは現在進行形である。そのため鉄道が運ぶ物資が増えているが、困るのはその鉄道を支える軌道、すなわちレールである。鉄道車両の重量が増加しているため、従来のレールの摩耗が激しい。

鉄道は常にメンテナンスが必要であり、そのなかでもレールの交換は3年から5年間隔で行われる。しかし、鉄道が運ぶ物資の重量が増えたため、一年でのレール交換が必要となる始末である。

このレールなのだが、従来は一メートルあたりの重量が30キロから50キロが普通であった。しかし、鉄道の高速化が進み新幹線などは、一メートル当たり60キロのレールが使われていた。

しかし、これでも摩耗が激しく、また乗り心地にも悪影響が出てきた。そこで現在日本のJRは、一メートル当たり80キロのレールに交換を進めている。東海道新幹線だと、東京から神戸くらいまでは既に交換済みである。

多分、その先へ行くと乗り心地が変わったと感じたら、それはレールが従来の60キロである可能性が高い。JRは現在も、このレールの80キロ化を推進中である。

事情はアメリカも同様である。トラックが物流の中心であったが、もう90年代から徐々に鉄道輸送へのシフトを始めている。特に大陸横断鉄道の活用が進んでいる。

そこで問題となるのが、鉄道車両の重量増加に伴うレールの摩耗である。少し前の話になるが、オバマ大統領(当時)が来日した際の、日本側への要望項目の一つに、アメリカへの80キロレールの優先導入への協力要請があった。

実はこの80キロレールは、アメリカでは製造できない。いや、現在も世界中で生産出来るのは、日本の新日鉄住金とJFEの二社だけであるそうだ。どうやら技術的なハードルがかなり高く、欧米だけでなくインド、ブラジル、韓国、シナでも未だ実用化が出来ていない。

いずれは外国でも製造されると思うが、ここ暫くは日本の独占状態である。

かつて日米貿易摩擦の代表的問題の一つであった鉄高ェ、貿易問題に上がらなくなって久しいが、このような事情があったとは知らなかった。鉄豪ニなんて衰退業種だと思っていたら、大間違いでした。

もちろん日々の技術革新あってのものなのでしょう。まったく日本の製造業の底力には脱帽です。

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2 コメント

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Unknown (大俗物)
2021-04-23 15:36:46
鉄?斜陽の想像しかしてませんでした。
でも確かに世界の貨物運輸70%は水運で、残る30%の多くは鉄道なんですね。たまさか…なんですが、ウクライナとロシアの国境ですけれども、
東ウクライナでしたかね、ウクライナ全土への鉄道網のハブが沢山ある地域があって、そのラインは小競り合いが激しい戦闘区域。もう1万人は亡くなっているとか。つまり鉄道はエネルギー効率で言えば道路&自動車より遥かに良い。中世の船と馬車だと輸送コストが1対10だったと想うのですが、列車って陸の艦隊みたいなものですから。
すると荷重がかかるレールに高精度の鉄豪Z術が必要で、実はローテクに観えてハイテク。冶金など基礎技術が優れた日本の出番!と。
記事を読むと納得できるのですが、ヌマンタ様の記事を読まねば思いつきませんよ!こんなのは。
鉄て古臭いイメージがあるもの。こういう目の付け所がヌマンタ様は凄いなぁ。
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Unknown (ヌマンタ)
2021-04-26 11:54:36
大俗物さん、こんにちは。私も最近まで知りませんでしたよ、日本の鉄豪ニの技術力を。

でも、軍需分野での鉄豪ニでは、日本はまだまだなのが実情。特に砲身などは、実戦経験がないと本当に実用的なものは作れないのでしょう。民生品ならば、市場での競争原理のもとで磨かれるのですがね。

まぁいずれ80キロレールも海外の鉄鴻=[カーに追いつかれると思います。技術とは本来、そのようなものですから。
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