ヌマンタの書斎

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マラドーナの訃報

2020-12-01 13:37:00 | スポーツ
20世紀、最高のサッカー選手であったディエゴ・マラドーナが亡くなった。

私人としては極めて難のある人だと思うが、サッカー選手としては、ペレよりもジーコよりもクライフよりも偉大であったと思っています。

身体能力やテクニックだけならば、マラドーナ以上の選手はけっこういる。リベリアの怪人ウェアやオランダのフリット、ャ泣gガルの黒豹エウゼピオそして西ドイツの皇帝ベッケンバウアーなどが即座に思い浮かぶ。

しかし、マラドーナの偉大さは世界のサッカー界全体のなかでこそ評価されるべき別格の存在。

敢えて断言しますけど、あの70年代中盤から80年代のサッカーの主流は守って、守って守り切るという実にツマラナイ戦術が主流でした。プラティニを中心としたシャンパンサッカーと称された中盤の件p的ゲームプランや、ブラジルの黄金の中盤(ジーコ、ソクラテスなど)の華麗なサッカーも、ゴール前に選手を並べた徹底守備の前に敗れ去っている。

はっきり言いますけど、実に面白くない試合が主流だったのです。守って、守ってカウンターの一撃で勝つ、いわゆるイタリアのカテナチオは、イタリアが弱いからこそ生まれた戦術(アリゴ・サッキが断言しています)です。

結果が出ている以上、つまらなくても勝てば良し、それが勝負の世界。誰もがそう思って諦めていたのです。そこに現れたのがアルゼンチンの若い青年であったマラドーナです。

アルゼンチンのサッカーも守備的であったのは事実ですが、マラドーナは二人のチームメイトと連携して、強固な敵ディフェンスをかいくぐり、突き破り、ゴールを奪って観客を熱狂に躍らせた。

みんな、本当はあの守備的なサッカーにうんざりしていたんだ。

私はあの「神の手ゴール」は嫌いです。ありゃハンドの見落としだと思います。でもあの当時のアルゼンチンの惨めな社会状況を想えば、反則でもイングランドから点を奪ったマラドーナに熱狂するアルゼンチーナの気持ちは分かる。

しかも、あの反則ゴールの後の見事なドリブル・シュートは件p品。多分、あの場面は世界中のサッカー少年が何度も何度も見直したことでしょう。マラドーナのドリブルを真似して育ったサッカー選手は数多います。

日本なら中村俊輔がその代表でしょう。マラドーナのドリブルの特徴は、ボールタッチが非常に多いことです。他の選手の倍、ボールに細かく小さくタッチを繰り返して、決してボールを取られない。

フォークランド戦争でイギリスに負けたアルゼンチンは、サッカーでやり返した。イタリアの小さな田舎町ナャ鰍フチームを、セリエA優勝に導いた英雄でもあるマラドーナ。

時代を味方につけたスーパーヒーロー、それがマラドーナでした。こんな選手、二度と出ないと思いますよ。

コメント
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