案外と、日本は東京などの大都市よりも、地方都市のほうが可能性を秘めているかもしれない。
そう思わせるのが、Jリーグ開始以来、常にJ1で活躍し、優勝もし、ACL(アジア、チャンピオンズ・リーグ)でも活躍しているサンフレッチェ広島である。
日本サッカーには二つの潮流がある。一つは日本リーグ時代からの、ブラジル流サッカーである。これは日系ブラジル人らを助っ人として、社会人チームが受け入れたことに由来する。その流れで、ブラジル人コーチを日本に呼ぶことも古くからあった。
もう一つの流れが、ヨーロッパのサッカー指導者をコーチとして迎えてきた流れである。東京五輪のクラマー・コーチが有名だが、当時はドイツのプロリーグに日本人選手を送ったり、指導を受けさせたりしている。
Jリーグは始まった当初も、読売ヴェルディはブラジル人中心のチームであり、他に鹿島アントラーズ、清水エスパルスなどがブラジル人中心のチーム作りをしていたのは前者の流れである。
一方、当初からヨーロッパ志向をみせたチームもある。それがサンフレッチェ広島である。イングランド人のバクスター監督を招聘し、以来、基本的にチーム作りはヨーロッパ志向で作られてきた。
ちなみに、どっちつかずのチーム作りをしたガンバ大阪や、浦和レッズなどはjJ開幕当初かなり低迷した。どちらが良い、悪いではなく、一貫したチーム作りをしてきたチームが強く育つのは必然でもある。
その一つの成果といえるのが、広島に本拠地を置くサンフレッチェであろう。率直に云って、資金力はさしてない。しかし、一貫したチーム作りは下部組織から透徹しており、下から育った選手たちが、今のチームを底支えしている。
今回のクラブ世界選手権は、地元開催枠という、いささか気恥ずかしい立場での出場であった。しかし、オセアニア、アフリカ代表を撃破して、リーベ(南米代表)に惨敗。その後にACLの覇者、広州恒大を逆転で破っての3位である。立派としか言いようがない。
大金はたいて、大物外国人助っ人を呼べる財力はないが、長年一貫した方針で狽チた若手選手が育っている。日本サッカーの進展を示す一例として、サンフレッチェ広島は是非とも注目していただきたいチームだと思います。