のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

ヘロデちがい

2007-05-10 | 美術
おお
ヘロデ王の墓ですって。

asahicom:ヘロデ王の墓見つかる ヘブライ大学発表 - 国際


恥ずかしながら
ワタクシは嬰児虐殺 ↓ のヘロデ王と



「サロメ」 ↓ のヘロデ王は




同一人物だと思っておりました。
今日調べてみて初めて別人と知りました。いやはや汗顔でございます。

今回墓が特定されたのは嬰児虐殺を命じた(と、されている)ヘロデ大王で
サロメに乞われて洗礼者ヨハネを殺害した(と、されている)のは、その息子のヘロデ・アンティパスなのだそうで。

ヘロデ(父)は権力者にわりとありがちな建築マニアでいらっしたそうですが
世界の美術史上により大きく貢献したのはヘロデ(息子)の方でございましょう。

なんとなれば
旧約聖書に物語られたヨハネ殺害のエピソードに着想を得て
モローさんはかの『出現』 ↓ を描き




拡大画像はこちらに。

この作品に触発されてオスカー・ワイルドは戯曲『サロメ』を書き
それに当時まだ無名のビアズリーが
挿絵を描き
以降さまざまな分野においてこのモチーフが料理されることになるからでございます。

躍るサロメ、首を持つサロメの姿は古くから描かれておりましたが
モローさんの独創的な解釈は、のちのサロメ像に決定的な影響を及ぼしました。
これを源泉としてあまたの妖しく退廃的で耽美なイメージが紡ぎ出されて今日に至っているわけでございます。

聖書でまるっきりワルモノあつかいされているようでございますが
これだけ芸術家のインスピレーションの源として活用されているからには
ヘロデ親子もそう悪い気はしないのではなかろうか
などと思ってみたりして。
スティーヴン・バーコフの舞台『サロメ』なんてその存在感からして
ヘロデが主役みたいなもんでございましたよ。(演出を手がけたバーコフが白塗り&スキンヘッド&タキシードで熱演)

ともあれ
今回特定されたお父さんヘロデのお墓から
いったいどんなことが判明するのやら。
破壊や盗掘を経ているため、遺骨などは無いだろうとの見解が既に発表されておりますが
歴史に新たな角度から光をあてる発見があってほしいものだと
最近ふたたび歴史熱が高まっているのろは思うのでございました。


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